令和8年6月30日(火) 総務政策常任委員会
(立憲民主党・かながわクラブ 松崎委員)

(松崎委員)
私からは、税収の偏在是正に向けた取組について伺いたいと思います。
ここ最近、東京都の小池知事は、偏在是正によって都税が国に収奪され、地方へ移転された財源が、地方でどのように活用されているのかを検証すべきだと訴えています。しかし、これはまるで東京都が被害者であるかのような、また、国の制度や他県の財政の目付け役でもあるかのような主張であり、想定内ではありますが、疑問を抱かざるを得ません。真の被害者は、多摩川格差に悩まされる本県をはじめたとする近隣県であることは、もはや疑う余地はありません。制度の議論は、後でもじっくりと触れたいと思います。
総務省の令和8年度地方財政計画によると、自動車税環境性能割の廃止や、軽油引取税の暫定税率廃止といった大きな減収要素がある中でも、全国の都道府県税収入は22兆5,470億円程度と、前年度比プラス5.8%となっています。
 この背景には、好調な企業収益があるものと推察され、本県でも、8年度の法人二税は7年度当初予算対比で、プラス6.7%と大きな増収を見込んでいます。
しかしながら、本県のように普通交付税が交付されている団体は、税収が増えても交付税が減ってしまうため、税収の伸びほどは一般財源が増えるわけではありません。
これと比較して、不交付団体である東京都は、税収増を更なる独自施策に活用することができ、18歳までを対象に月5千円を支給する018サポートや夏場の水道基本料金の無償化といった、他の自治体が容易に行うことができない施策を次々と展開しています。
 この行政サービス格差の根本的な原因である、税収の偏在の問題については、私が令和6年第1回定例会で質問したことをきっかけに、多くのメディアでも取り上げられ、8年度与党税制改正大綱では、ついに法人関係税について、偏在是正策を導入する旨の方針が明記されるまでに至り、その歩みは大きく前進しました。
 しかしながら、現在、東京都は国との協議会を開催し、その中で、年間1.6兆円もの都税が他道府県に配分されていることを主張するなど、国が更なる偏在是正措置を実施しようとしていることに対して反発を強めており、この問題が真に解決するまでには、まだまだ気を抜けない状況です。
 知事からは、先日の我が会派の代表質問に対して、税収の偏在是正の実現に向け、国への働きかけを強めていきます、との答弁をいただいているところですが、今後の取組も含め、この問題について質問させていただきます。

(松崎委員)
まず、税収の偏在是正に関し、令和8年度与党税制改正大綱ではどのような内容が示されたのか、伺います。
 
(税制企画課長)
令和8年度与党税制改正大綱では、特に偏在度の高い地方法人課税における税源の偏在を是正する追加的な措置として、新たに法人事業税資本割を特別法人事業税・譲与税の対象とするとともに、所得割・収入割に係る特別法人事業税・譲与税の割合を高めるなどの措置を検討し、令和9年度税制改正において結論を得る、とされたところです。

(松崎委員)
令和8年度与党税制改正大綱の内容を改めて確認させていただきました。与党もいよいよここまで漕ぎ着けたという実感があると思います。こちらも改めての確認になりますが、特別法人事業税・譲与税制度について、その制度内容を伺います。

(税制企画課長)
特別法人事業税・譲与税制度は、地域間の財政力格差の拡大や経済社会構造の変化等を踏まえ、大都市部への大法人の本店の集中等を背景として、企業の事業活動の実態以上に税収が集中している状況を解消するため、令和元年度の税制改正において導入されたものです。この制度は、地方税である法人事業税の一部を国税化し、人口を基準として都道府県に譲与する仕組みとなっています。

(松崎委員)
令和8年度の大綱を見ますと、法人事業税資本割を新たに譲与税制度の対象にする、と明記されていますが、なぜ資本割を新たな対象にするのでしょうか。

(税制企画課長)
総務省の地方財政審議会の下に設置された地方税制のあり方に関する検討会の報告書によりますと、全国の法人事業税全体における、東京都の税収シェアが20%程度である中、資本割のみに着目すると、そのシェアは30%を超える高い水準かつ増加基調で推移しているとされており、政府与党は、税制改正大綱を策定するにあたって、その点に着目したのではないかと考えられます。

(松崎委員)
資本割は、いわゆる外形標準課税の一つでありまして、大法人が集中する東京都、それを考えますと、法人事業税の取扱いは重要な視点であると、私も認識をいたします。それでは、もう一つ大綱に明記されている所得割・収入割に係る特別法人事業税・譲与税の割合を高めるとは、どのようなことなのでしょうか。

(税制企画課長)
資本金等が1億円を超える法人を例に、所得割で申し上げますと、地方税である法人事業税の標準税率は1.0%、国税である特別法人事業税の税率が2.6%となっております。譲与税の割合を高めるとは、この地方税1.0%、国税2.6%の合計である3.6%は変更せず、地方税と国税の配分割合を変更し、国税分の比率を引き上げるものと認識しています。これにより、東京都に偏在している税収を国税として徴収し、地方に譲与することで偏在是正を図るものと考えています。

(松崎委員)
令和元年度の税制改正を見ますと、偏在是正について、一度メスを入れていることがはっきりしているわけですが、近年の行政サービスの地域間格差や東京都の財源超過額が令和7年度に約2兆円で過去最高となっているなど、もはや抜本的な取組が必要なことは誰の目にも明らかであります。そのような中、昨年度に引き続き、今年度も総務大臣及び財務大臣に対し、埼玉県・千葉県とともに要望活動を行っています。その際に、本県知事はどのようなご説明をされたのでしょうか。

(税制企画課長)
本年4月の要望活動の際、知事からは、東京都が国際都市としてインフラ整備など、地域の魅力を高めていただくのであれば、近隣県としてもありがたいことだが、個人給付のような行政サービスなどで大きな格差が生じると、住民目線から見て納得できない。一般的に人口密度が上昇するほど、一般財源の一人当たりの必要額は小さくなる傾向にある中、東京都はその傾向から大きく外れており、必要以上の一般財源を得ているものと考えられる。また、経常収支比率を見ても、東京都と本県との間では16ポイントの差があり、東京都の打ち出す施策に追いつくことができない。そのような中、与党税制改正大綱で示された方針は大変心強く感じており、その内容に沿って、着実に、偏在性の小さい地方税体系の構築に向けた具体的な取組が講じられるようお願いしたい、といった発言をしています。

(松崎委員)
大変心強いご発言をいただいております。これに対し、財務省・総務省の両大臣の反応はどのようなものであったか、伺います。

(税制企画課長)
片山財務大臣からは、個人給付などの行政サービスに格差が生じていることに関して、東京都の税収の使い道の在り方として、国土強靭化などに使うなら理解も得られるのではないか、といったご発言をいただきました。林総務大臣からは、税収の偏在是正については、与党税制調査会でしっかりと議論をしていただきたいと考えている、といったご発言をいただきました。両大臣ともに、東京都と隣接している我々3県が抱える課題や現状、偏在是正措置の必要性について、一定のご理解をいただけたものと考えています。

(松崎委員)
今答弁のあったとおり、両大臣ともに税収の偏在について一定のご理解を示していただいたと私も認識しております。ただ、財務省及び総務省の両省の本音は果たしてどうでしょうか。昨年度、財務省の財政制度等審議会や総務省の地方財政審議会などでも偏在是正の必要性について言及がされていました。夏の暑い時期から初秋にかけてのことであります。その一定の結論が与党税制改正大綱に繋がった、と流れ的に私は見ておりますが、両省のスタンスに変わりはないのでしょうか。私としては、令和8年度与党税制改正大綱の記載自体が、両省の覚悟そのものであると感じておりますが、その点について、当局の見解を伺います。

(税制企画課長)
委員ご指摘のとおり、地方税財政制度について議論が行われた諮問会議などにおいての議論を踏まえての大綱ですので、そのように捉えるのが合理的ではないか、と考えています。

(松崎委員)
そのように考えるのが合理的であると言い切られたところを見ますと、これはまさに両省の覚悟がそこにあると県も捉えているということだと思います。つまり、偏在是正を実りあるものにするということが、もはや国の必須の命題でもあるということだと思いますので、これがひしひしと伝わってくる中で、実際の動きに繋げていくことが大事だと思います。そこで、巻き返しを図る東京都の動きに少し目を向けたいと思います。東京都は、今年1月に、国との協議会の設立で合意し、4月に第1回の会議を開催いたしました。この協議会は、そもそも、どのような経緯で設立されたものなのでしょうか。

(税制企画課長)
国と東京都の協議会は、高市内閣総理大臣の提案に、小池都知事が同意する形で設置が決定したと承知しております。また、その目的は、国と東京都が互いに協力をして、グローバル都市東京の更なる発展に資する施策を展開するためである、と聞いております。

(松崎委員)
今答弁のあったとおり、協議会の真の目的は、首都である東京都の発展を議論することであり、税収の偏在を含む地方税財政制度全体のあり方を議論する場ではないと考えますが、当局の見解を伺います。

(税制企画課長)
委員のご指摘のとおり、地方税財政制度全体のあり方は、全国の自治体の財政運営や行政サービスに関わる内容であり、国民全体に及ぶ重要な議題であると考えています。また、同協議会の規程である国と東京都の協議会の開催についての第1項でも、協議会の目的は、国と東京都が相協力して、グローバル都市東京の更なる発展に資する施策を展開するための課題について検討すること、と定められております。

(松崎委員)
東京都は、協議会の本来の目的を逸脱し、地方税財政制度全体について持ち出し、必死に抵抗していることを確認いたしました。昨日、国と東京都の協議会の議長である木原内閣官房長官に対しても、3県で要望活動を実施したとのことだが、木原長官の反応はどのようなものでしたか。

(税制企画課長)
木原内閣官房長官からは、国と東京都の協議会は、我が国の強い経済を作るという観点から進めているものであるということ、地方税財政制度については、地方全体に関わる議論であり、首都であると言え、一地方団体である東京都の意見のみを聞くということはない、税制改正は、年末の税制改正プロセスを通じて決定されるものである、税収の偏在是正については、3県以外の首長からも同様のご意見、ご要望をいただいており、多くの意見を受け止めながら進めていくことを約束する、といったご発言をいただいたところです。

(松崎委員)
 木原長官のご発言を聞き、地方税財政制度に関して、この協議会で議論すること自体への言いようのない違和感は決して間違っていないことを再認識いたしました。しかし、この協議会で東京都は、地方交付税の制度に問題があるという主張を展開していますが、これはどのような内容なのでしょうか。

(資金調査担当課長)
東京都としては、地方自治体は税収増があっても地方交付税が減らされるため、新たな財源として活用できるのは税収増の僅か25%分であり、国税、地方税ともに過去最高となる中、現行の地方交付税制度は自治体が努力するインセンティブを阻害していると主張しています。しかし、地方交付税の留保財源の割合を仮に引き上げた場合には、税収規模が大きい団体は、留保財源が大きく増えることに比べて、税収規模が小さい団体は、留保財源がそれほど増えないということになり、地域間格差を拡大させる懸念があると考えています。

(松崎委員)
地方交付税制度を含む地方財政制度を県民の暮らしを支える観点で、常に見直し、より良くしていくべきだという点は、そのとおりであります。しかし、東京都は不交付団体であるため、地方交付税の制度改正に関して直接的な影響を受けることはありません。また、都のこのような主張は、全国の自治体の財政状況を十分に反映、また考慮しておりません。実際には、税収の偏在是正から地方交付税に議論を置き換えたいがための動きとも捉えられております。行政サービスの地域間格差は、すでに見過ごすことができない水準まで到達しており、税収の偏在是正は待ったなしの状況なのは、もはや誰が見ても明らかです。そこでお聞きしますが、今後、東京都の巻き返しの動きが強まることが想定されます。これに対して、県にはブレのない、毅然とした姿勢が求められますが、どのように対応していくのでしょうか、財政部長に伺います。

(財政部長)
東京都はこれまで、税収に地方交付税などを加えた人口一人当たりの一般財源は全国平均と同水準であり、是正すべき税収格差は存在しないということや、子ども施策などの行政サービスの地域間格差については、各団体が何を重視するか、いわゆるプライオリティの問題である、といった主張をしてきています。その点については、一般的に人口密度が上昇するほど、一般財源の一人当たりの必要額は減少する傾向にありますが、東京都はその傾向から大きく外れており、人口密度の高さとは不釣り合いな規模の一般財源を得ている、と考えています。   
また、東京都は最近、様々な場面で地方交付税制度の見直しを唐突に主張していますが、これは地域間の格差拡大にもつながる主張であり、自治体の努力によるインセンティブといった一面だけで捉えるのは適切ではなく、慎重な議論が必要であると考えています。本県は、多摩川格差と呼ばれる行政サービスの地域間格差について、その根本的な要因が、税収の偏在であると繰り返し主張してきました。
今後もあらゆる機会を活用し、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて、令和8年度与党税制改正大綱に示された具体的な取組が確実に実行されるよう、国への働きかけを行っていきたいと思います。

(松崎委員)
ただ今の答弁の中にあった令和8年度与党税制改正大綱には、9年度についての言及がございます。これについては、しっかりと不退転の覚悟に基づいて、堅持されるよう、当局の取組を期待し、また、応援させていただきます。
今回、税収の偏在是正について議論をさせていただきました。
東京都はこれまで、巨額の財源を活用して、本県では及びもつかないような手厚い子育て支援策を実際に行っており、近隣県の出生者数が減少している中でも、10年ぶりに出生数が増加に転じたことは、もはや究極のエビデンスと言わざるを得ません。
地方自治体が独自の施策を打ち出し、住民から選ばれるような自治体に作り上げていくことは地方自治の観点から、もちろん必要なことで、重要なことですが、多摩川を挟んで、また、都県境を挟んで行政サービスが著しく異なっている今の状況は、首都圏の姿をいびつなものにしており、決して正常なものとはいえません。
この状況に加えて、これまで東京都が独自に行っていた私立高校の授業料無償化について、本年度から、国費で行われることとなったため、東京都が浮いた財源を活用して、新たな個人給付を行えば、近隣県との行政サービスの格差はますます拡大していきます。税収の偏在是正は待ったなしの状況です。
ここに来て、東京都は税収の偏在是正策の阻止に向けて、地方交付税の見直しなどの別の観点の主張を強めており、仮に、東京都の主張が認められてしまえば、最悪の場合、せっかく機運の高まった偏在是正そのものが骨抜きになってしまいかねません。
12月の税制改正大綱の公表に向けて、これからが勝負の時期となりますので、税財政当局にあっては、引き続き、この問題について国への働きかけなどを積極的に行っていただくよう要望します。