平成18年12月14日 県議会定例会 厚生常任委員会質疑のまとめ

<国保連の剰余金について(医療課)>

松崎       ●  前年度からの繰越金、ここ10年、各年度どういう状況にあるのかをお聞かせ願いたい。

医療課長               ○  平成17年度の決算で申し上げると、収入済額から支出済額を差し引いた差引残高は19億8,878万2,248円で、そのうち15億4,022万円は前年度からの繰越金である。

松崎       ● ここ10年間ということでお聞きしたいのだが。

医療課長               ○ 10年全てはないが、14年度、15年度、16年度を追加して申し上げる。平成14年度は25億1,900万円である。平成15年度は21億2,400万円、それから平成16年度は20億6,000万円ということである。

松崎       ● そうすると確認であるが、平成14年度から25億、21億、20億、それから15億ということか、繰越金は。

医療課長               ○ 平成17年度は差引繰越金の残高が19億8,000万円である。

松崎       ● だから、前年度からの繰越額はどうか。

医療課長               ○ 前年度からの繰越額は、15億4,000万円である。

            (暫時休憩)

松崎       ● 今の答弁で平成17年度の国保連の決算において前年からの繰越金が15億4,000万円あるということが明らかになった。私自身がこの国保連に深く関係している保険者機関の皆さんから色々お聞きすると、過去ずっと繰越金が大変大きな問題になっていたと。具体的にいうと、この繰越金は今回示された額でも15億円と大変巨額であるが、こうした繰越金がずっと貯まっていて、それをどうするかということが課題になっていたわけだが、それはそのとおりか。

医療課長               ○ これまでの繰越金について、平成17年度については15億4,000万円ということで、その前の年も大体同じ程度はあったのではないかということは認識している。

松崎       ● 県と国保連はどういう関係に立っているのか、つまり、県はこの国保連に対してどういう権限を持っているか。

医療課長               ○ 国保連の事業運営については、基本的には国保連と保険者の当事者間で協議し、決定していくということになるが、県の立場として財産の管理執行等について、経費の不当支出とか、財産の不当処分など法令に違反するものがある場合には、是正改善命令等ができるという国民健康保険法の規定がある。

松崎       ● 「是正改善命令権」を有しているということである。そこでお聞きしたいのだが、この15億円もの多額の剰余金が累年発生しているということを県は承知していたか。

医療課長               ○ 平成17年度にそういう繰越があったということについては承知している。

松崎       ● いつごろ知ったのか。

医療課長               ○ 決算については、県に決算書の報告をいただく中でその内容については承知しているところである。

松崎       ● どうも齟齬が見られるのだが。是正改善命令という法令違反に関しての権限を有しているというが、今の答弁では財政上の剰余金が日常的にあって、しかも決算報告書は提出させているという。会計の内容を質問したところ、関係書類は問い合わせてとの答弁であった。その辺がどうも良くわからないので、県と国保連の関係を整理してお答え願えないか。

医療課長               ○ 当該年度の剰余金の内容については聞いていたところである。

松崎       ● 今年度になって15億円もの巨額の剰余金があることを知ったというが、知ってどうされたのか。

医療課長               ○ 剰余金の問題について、国保連に指導助言という形で伝えていきたい。

松崎       ● これから、指導助言していきたいという答弁であるが、ところが最初のお答えでは、17年度だけでなく、その前の年度も、さらにその前の年度にも、いわゆる複数年度にまたがって継続していたとことも実は把握されているわけである。ところで、これから指導助言していきたいというわけだが、私の方で調べたところでは、この15億円は実はもう何かに使われているのである。その何かというのは、どうもレセプト関係の電算化システム、あるいはコンピューター機器の購入なのであろうか。そういったあたりはどのように把握しているのか。

医療課長               ○ 剰余金を含めて、国保連の予算・決算については、保険者と国保連で構成する理事会等で審議され、承認されている。その中で、比較的大きな経費として磁気化レセプトシステムの開発というものを決定したと伺っているというところである。

松崎       ● 指導、助言していきたいと先程は言われたが、私が問うたところでは今の状態である。実は磁気化レセプトシステム作りに使われるということも把握されているということか。

医療課長               ○ 指導助言については自主的に指摘というか、使い道については理事会等でお考えいただくということで今後もお願いすることになるかと思う。それで、今年度と昨年度について予算として、今ご説明している磁気化レセプトと通信関係費というものについては、比較的大きな額になっているということを申し上げたということである。

松崎       ● これまでの答弁が、ひとつひとつ切り離してみればそれに答えているようで、実は全体をお聞きすると矛盾点が多いと思う。大きな幹の部分でお聞きしたいのだが、それぞれの保険者からは15億円の剰余金に関して、もともと国民健康保険として県民が払ったお金なのだから、その15億円で何か買うというよりも返してもらいたいというような要望を出されていたと聞いているのだが、それを受けとめないでこうした磁気化レセプトのシステム開発に使うとかそうしたものに充てたという経緯については知っていたか。

医療課長               ○ まず1つに、システム開発については一応繰り返しになるが、理事会等で必要性があるということでご了解いただいて、それについて予算上組んでいるということがある。それ以外に剰余金について委員のご指摘のように保険者のほうに還元すればいいのではないかというご意見があるので、国保連としては審査支払い手数料を引き下げたり、あるいは保険者負担金の減額というようなことについて取り組まれていると私どもは聞いているところである。

松崎       ● 何か釈然としないというか、判然としない。答弁されていることが一方では法令違反の場合は是正命令が認められるというようなお答えだったり、一番最後の今のお答えだと、相当細部にわたって実は県は指導あるいは監査的なことをされているようにも見える。もう一度矛盾のないお答えをいただけないか。

医療課長               ○ 私の説明が十分でなく申し訳ないが、私の方で国保連から聞き取って得た情報を申し上げたものと、あと今後国保連の方に、お考え頂きたいというものがあろうかと思う。それで剰余金については、これまで自主的にあるいは理事会等でお話をなさって、審査支払い手数料の引き下げとか保険者負担金の減額とかいう形で、お考えいただいているという事であるが、また今後県として、この剰余金についてどう考えるかという事について、本日の委員のご指摘もあるので、県は国保連に対して指導助言という立場であるので、その中で国保連にその考え方について整理していただきたいというようにお伝えしていく事を今後考えたいと思う。

松崎       ● ご高齢の方の本人負担が引き上げになっていて、これがまず2006年、今年からは現役所得並みの75歳以上については2割負担から3割負担に、それから2008年には現役並みでない方についても1割負担だったのが2割負担にというのが間違いのない現状である。そうした中で、県民の多くの皆さんは、私もそうだが、この国民健康保険の加入によっているわけだが、多くの国保に加入している県民の皆さんからみれば、15億円ものお金が剰余金となって、しかも累年に亘って繰り越し繰り越しとされていた。一体県はそれを把握していて、細部にわたって指導もされていて、助言もしていたのに、その事自体全く今日こうして質問をさせていただくまで、この当委員会に対してご報告いただかなかった。そうした点については、今までの姿勢を改めていただくというか、取り組み方というのを考え直していただきたいと思う。最後に、もし何かあったらお答えいただきたい。

保健福祉部副部長               ○ 国保連は保険者である市町村の集合体であり、公的な機関という位置付けである。県と国保連の関係にしてみれば、県は認可庁、そういった意味で法の範囲内で動くということになる。一方、国保連は法人であるので、自分の事業の運営あるいは財産の処分という繰越金の使い方等については、県は、国保連の中の主体性を重んじるということである。それについて、我々が知り得た範囲の中でおかしいところがあれば、県として指導申し上げるが、一般的には私は国保連の主体性に従うべきものと考える。お話の中味で言えば、国保連は国の動きの中でレセプトの磁気化に取り組んでおり、今後とも剰余金については、それが適正に使われるよう県として指導をしていきたいと思う。

松崎       ● 今、副部長からお答えを頂いたが、そのようにお答えになることも、私は判る。しかし、医療課長から今まで色々なご答弁があったが、私としてはやはり両方の要素があるのだと思う。自主性を重んじなければならない、しかし、いささかの疑念も生じさせてはならないという事も、認可庁あるいは日常的な指導の中で指導を行うという立場であろうかと思う。是非とも15億円の剰余金については剰余金がもともとたくさん生じたのをずっと年度を跨いでつないでくる事自体が非常に疑問の残るところであり、そのお金の使途について、またこれからの手数料改定のあり方等についてもこれまで以上に十分に見極めていくというか、あるいは適切な指導助言をするという事をお願いして、私の質問を終わる。その前に1つ、県が把握している範囲で各年度の決算、特にその前年度からの繰り越し金額について資料要求をしたい。

茅野委員長           ○ 当局は対応できるか。

医療課長               ○ できる。

茅野委員長           ○ いつまでに用意できるか。

医療課長               ○ 次回委員会開催日の18日朝に用意できる。

茅野委員長           ○ 松崎委員はそれでよいか。

松崎       ● 結構である。

茅野委員長           ○ ただいま松崎委員から資料の請求があったが、本委員会として要求するという事で異議はないか。

委員一同               ● 異議なし。

茅野委員長           ○ それでは当局からの資料の提出は次回までにお願いしたい。

松崎       ● 質問はこれで終わる。