平成21年9月30日 商工労働常任委員会質疑のまとめ
<雇用対策全般について>
菅原委員 ● 雇用の全般についてですが、神奈川県に就労されている方の中で、その中で、県外で雇用されている方はどのくらいいるのか。
雇用労政課長 ○ 県内に居住しながら、県外で就労されている方について回答いたします。平成17年国勢調査の結果によりますと、男女計で1,002,452人、内訳は男性が717,545人、女性が284,907人となっています。
比率でみますと、全就業者に占める他県等で働いている方の割合は、男性の場合は27.1%、女性の場合は17.1%となっておりまして、それぞれ全国の10.4%、5.2%よりも上回っております。
菅原委員 ● よくこの委員会で、県内でどう雇用を創っていくかという議論も出てくるが、雇用の実際の状況を見てみますと、女性については約20%、4分の1くらい、男性に限ってみますと、27.1%という高い割合で他県に就業されている。
そして、今失業されている方でも県内でなくて、県外、東京などに職を求めている方が多いと思う。
そうすると、雇用対策を行う際に、本県だけで考えるのではなくて、東京における雇用対策がどうなっているのかということも、本県の失業率を下げていくという数字に拘るのであれば、大切だと思うが、その点についてはどういった状況になっているのか。
雇用労政課長 ○ 雇用対策というより、産業政策の話になろうかと思いますが、東京という大きな就業の場があり、首都圏の埼玉県、千葉県も神奈川県と同様に、都内に就業している方が多い現状は否めません。本県と他県も含めての産業政策の裏表の関係として、雇用対策があると認識しております。
菅原委員 ● 今、裏表という話があったが、東京都ががんばってくれれば、その分、神奈川県の失業率が下がっていくのではないか、という雇用の話をしたが、関連する部局間で東京都と話をする機会などは設けているのか。
雇用労政課長 ○ 東京を含めた1都3県で連絡会議等を行っておりますので、東京を含めた近隣3県の雇用情勢につきましては定期的に情報交換しております。
菅原委員 ● 実際にこのような状況があるのだから、東京都と共同で何か実施していく話はないのか。
雇用労政課長 ○ 現在の取組みを申し上げますと、ワーク・ライフ・バランス等の普及啓発、シンポジウム的な事業を、八都県市共同でやるといった形で行っております。
菅原委員 ● 県内に企業を誘致してくるときの、一つの観点として、雇用を創出する目的、インベスト神奈川ではそういった目的があったと思う。
県内でも、都市部と県西部では状況が違うと思う。横浜や川崎にお住まいの方は、東京都にお勤めの方の割合が高く、県西部の方は低い可能性がある。企業を誘致するときに、雇用の創出を目的として掲げる
ならば、雇用が創出される可能性が高い地域に誘致するといった戦略はあるのか。
企業誘致室長
○ 地域に応じて、産業集積の視点では、東西バランスという観点はありますが、雇用の地域バランスという視点は持っておりません。
菅原委員 ● 雇用対策を考えるときに、ただやみくもに産業創出をするのではなく、人がどの地域で雇用を求めているのか、勘案していく必要があると思う。
職業訓練の関係です、先ほど失業者という話をしたが、失業者の方はどのくらいいらっしゃるのか。
雇用労政課長 ○ 失業者数のデータにつきましては、直近のものということで、労働力調査の数字でございます。本県では約27万人という状況でございます。
菅原委員 ● 失業者27万人のうち、県としては、何人が就業の訓練が必要と考えているのか。
産業人材課長 ○ どのくらいの人が職業訓練が必要かといった数値は私ども持ってございませんが、私どもの訓練校で言えば、職業安定所の方に離職者の方は登録されて求職をする訳です。その段階で、訓練が必要であると安定所長が判断をした場合に、受講指示あるいは受講推薦という形で私どもの方に応募が来るというような形でやってございまして、現状で申し上げれば、私どもの技術校を全部合わせますと、1,200~1,300人の方が訓練をしているというような状況でございます。
松崎 ● 提出資料の中に補正予算の概要で職業技術校等における緊急特別短期訓練の追加実施の報告を頂いている。ニーズがどれくらい有って、それに対して本県としてどの程度対応できているのか、或いは予算の制約等を外せば、どのくらいのスケールで、これくらいのメリットを出せるというものが本来有るのではないか、補正予算の審議をしている訳だが、その前提として押さえておきたい。そこで角度を変えて改めて聞きたいが、今、本県で、本当であれば、予算の制約等が無ければ、一体どのくらいの人が職業訓練、資格等を含めて受講されるニーズがある、とお考えか。
産業人材課長 ○ 職業訓練の方で、いわゆる技術校の通常のコース、訓練、或いは短期訓練と、今回お願いしてございます緊急短期とございますけれど、通常のコースで申し上げますと、4月の段階での応募者数が1,833人と、倍率としては、2.8倍という状況でございます。また、緊急特別短期の方につきましても、まだ今年度半ばで、募集を開始しているものもございますけど、現時点での大体の倍率は2.5ということでございますので、どのくらいの人が必要としているのか、というのは単純には申し上げられないと思いますが、2千と少し、今申し上げました数字から判断すれば、そのくらいの方がいらした、ただ、キャパの関係がございますので、2倍とすれば、半分の方が受講出来なかったというような事だと思います。ただ、もう一つございますのは、技術校ではなくて、委託の訓練、民間の教育機関、各種学校や専修学校、こちらの方への委託の訓練もやってございまして、コースによってバラツキはございますが、大体3~4倍というようなところかと思います。
松崎 ● つまり、人数、需要、というよりもっと切実な職業、生活の基本が成り立たなくなる、或いは、住んでいる所に住み続けることも難しくなる、という深刻さがある訳で、そうした人の心情というものは、今、2千と少し、とおっしゃったが、2千数百名でしょうか、そういった方々が現実におられて、それに対して県として対応できているのは、千名を少し超えた程度であるとしますと、残りの方々は対応したいけれども対応できないという状況になる訳です。それから、民間教育機関等への委託訓練については3~4倍とおっしゃったが、そちらも対応しきれていない、ただ、民間の機関は職業技術校1校と比べれば、多数ございまして、そうした所での対応については、従前も私どもの会派、或いは他会派からも対応を強化して頂きたいと、既に要請、要望させて頂いているところなんです。補正を見て思うのは、人数規模が小さいことと、ニーズ全てに対応するのが原則であるけれども、対応しきれないのであれば、民間にも委託をしようという趣旨で行っているはずですから、そこの所に対して、同時に、間を置かずに手を打っていくことが必要なのだと思います。予算的制約があったにしても、雇用問題、雇用対策抜きに商工労働部の施策は打てませんから、その点は優先順位第1番に掲げて頂く必要があるのだと思います。実態として、ニーズがあるのであれば、間を置かずに手を打つ必要があると思うが、如何でしょうか。
産業人材課長 ○ 先ほどの委託訓練の数字でございますが、現時点で募集している中での応募者数2,767人、倍率としては2.86倍という数値が出てございます。
松崎 ● 人数はどうか。
産業人材課長 ○ 人数は、入校者数で見ますと、446人でございます。必ずしも、応募者と定員との率にはなってございませんけれど、中には定員を割っているコースもございますので、現時点での入校者数ということでは、446という数字でございます。訓練に応募しても受けられない方がいらっしゃいますが、技術校の関係につきましては、ご説明させて頂いたとおり、すでにキャパとしては一杯、通常のコースも一杯ですし、臨時の短期訓練も相当無理して詰め込んでおり、技術校で受けられる部分はもう一杯でございますので、委託の訓練につきましては、今年度当初の段階で相当に雇用が厳しいという予測がございましたので、昨年度の3倍の数で組んでございます。現在、7月募集、10月募集とやってきましたが、この後1月募集もございます、これと併せて国のポリテクセンターでも同じような委託訓練をやってございますし、あと基金の関係、これがどうなるかという議論はあろうかと思いますが、今後、幾つかの委託のコースが出て来る、というふうに聞いておりますので、今回、私どものコースに応募して受けられなかった方につきましては、そちらの方で応募頂いて、訓練を受けて頂きたい、とういうように思ってございます。
松崎 ● 今の答弁を聞いていると分からない、つまり、希望があっても受けられない、それがキャパの関係、施設の規模の関係、あるいは、今の体制の組み方でここまでが限度一杯、だから、そうした方々に対して対応してくださいと申し上げたところが、国からはこうする、あれはこうなるといった予測の話をするが、そうではなくて、県としてそうしたものも十分活用しながら、対応していただきたい、その方向性を聞いている。
産業人材課長 ○ 県独自でコースの増はこれ以上難しいと思いますが、そうした中で、現在、訓練を受けている方の就職率のアップと言いますか、単に技術を身に付けて頂くだけではなくて、就職にあたっての様々な支援を行いながら、一人でも多くの方に就職をして頂く、というような形で、今年度については対応して参りたいと思っております。また、先ほどから、先生がおっしゃいます、受けられなかった方につきましては、先ほど来の繰り返しになりますが、今後実施する訓練もございますので、そちらの方を選択頂きたいと思っております。
松崎 ● しっかりと対応して頂くということでよろしいですか。そのように、こちらで受け止めますけれど。部長、どうですか。
産業人材課長 ○ 厳しい雇用関係の中で、私ども直接技術校での訓練を実施しています、また、今年は民間委託が年間を通しますと35コース、1,050人と、昨年と比べますと、およそ3倍の規模になってございます。これを、できる限り多くの方々を受け入れて、しっかりとした訓練をやって行くように、私ども進めてまいります。
松崎 ● 受けられない方々は、受けられる方々と比べて、困っている点において別に差は無い訳で、実際に困っている程度において、あんまり困っていないから、今回は職業技術校に入れなかったということでは全くございませんので、そうした方々に対しても対応されるようにお願いしたい。
産業人材課長 ○ 先ほどの答弁で、委託の訓練の数値でございますが、応募者数が2,767で倍率が2.86と申し上げましたが、この数字は7月生と10月生を両方足したものでございます。10月生については、まだ、入校が決まっておりませんので、7月生までで申し上げますと、定員が472に対して、応募者が1,493ということで、入校者数は446という数字でございます。訂正をさせて頂きます。
松崎 ● 今キーワードとして「貧困率」ということが言われているが、県内で、年収が300万円に満たない方々が何人くらいいらっしゃるか、把握しているか。
商工労働総務課長 ○ そのような数値は現在、持ち合わせておりません。
松崎 ● セーフティネットの問題として、雇用保険でどこまでそういった方々が本当にカバーされているのか。あるいは失業した方々がすべて雇用保険でカバーされていないことを考えると、本当に貧しさに向き合わざるを得ない方々に、どれだけのセーフティネットが本当に機能しているのかの実態を調べて手法を検討してほしい。
先ほどの職業技術校に応募しても受けられず、明日への希望を失っていった方々が一体、本県にどのくらいいるのか。
それに対して、市町村も含めて自治体の政策としてどこまで手を打つことができているのかということを、県の立場であればこそ、実態をよく調べる必要があるのではないかと思う。
そうでないと、国の施策において手が打たれるから、それを待っていれば予算がついて、執行ができるだろう。しかしそれも、射程距離によっては、届く人が多かったり少なかったりする。
本当に困っている人を目の前にしながら、施策が打てない、届かない。あるいは気がついてもらうことすらできない場合に、どのように手を打っていくということを考えなければならない。
「選択と集中」もあるが、雇用対策というより、雇用という一つの課題を中心として、県の施策を、再構築していく必要すら私は感じる。
先ほど部長答弁いただいたところだが、貧困、生活まで含めた課題が深刻化している現状について、どのように受け止めているか認識を伺いたい。
商工労働部長 ○ 失業者の数が約27万人で、雇用保険の受給者数が6万数千人。差し引き20万人くらいの方が、失業はしていても、雇用保険を受給できないということになります。
こういった方たちが実際にどのような形の生活実態かというと、おそらく一部では生活保護を受けている方もいらっしゃるかもしれません。ただ、現行の県のデータ上では掴みきれていないのが、正直なところでございます。
実際に生活に困っている方に、県の身近な相談機関や市町村の窓口等で、就労相談、生活相談をしていただき、少しでもセーフティネットを利用していただければと考えております。
所得階層については、個人情報の点もございまして、ワーキングプアといわれる、年収200、300万円未満の方々の生活実態をすべて把握するというのはなかなか難しい面があるかと思います。
ただ、本当に生活困って、明日どうするかといった方に対して、県として、しっかりと手を差し伸べる必要性は感じております。
松崎 ● そこでお伺いしたいのですが、ワーキングプアの方々、中高年の方々の支援をどのように行っていくのか。
また、補正予算で、先ほどの職業技術校の訓練とならんで、再就職支援として、予算額が1,200万円の緊急離職者の事業が組まれている。対象となる方が、55歳未満の、しかも主たる生計維持者とのことだが、解雇や雇い止めによる失業も長期化してくると、その方の生活がどのように成り立つのか、先ほど申し上げた問題につながってくるかと思う。雇用保険も10年間ずっと支払われるというものでもなく、しかも失業状態は長期化している。
今回の事業の対象人数が、100人とのことだが、対象となりそうな方が本当はどのくらいいらっしゃるのか。
雇用労政課長 ○ 基本的に、全県でどのくらいといデータは私どもでは把握しておりませんが、この事業につきましては、すでに第1回から第3回まで定員50名で3回募集を実施し、3回の応募の合計が245名となっております。
募集定員を超え、抽選等で受講できなかった方が100名前後いらっしゃることから、最小限の数字で、今回100名を追加させていただきました。
松崎 ● 前回までの抽選にもれた方を対象に、とのことだが、分母となる、対象となりそうな方の数字はわからないということか。
どのくらいニーズがあって、どのくらいの方が困っているのかが、わからないのか。
雇用労政課長 ○ ご質問とおり、全体の数字はわかりませんが、この事業に関心を持って応募していただいた方の中で、約100名ほどの方が受講できなかったので、その数字を基礎に検討しました。
その中には、既に再就職した方もいらっしゃるでしょうし、新たに失業してこの事業に応募したいという方も増えているだろうということで、先ほど申し上げたような予算計上をさせていただきました。
松崎 ● スタートアップのときに、100人、50人から始めますとか、職業技術校のキャパシティの中でとりあえず対応するというのは理解できた。また、予算の規模に応じて、行うというのも理解する。
しかし、本県で雇用保険を受給していない方が20万人くらいいるといった深刻化した状況下で支援を受けられない方々については、手の打ち方を考える。例えば、民間の訓練についてはもっと増やす、年度の途中でも、補正の中で新たに枠組みをつくるとか、国が組んで来た基金事業を実施するだけではなく、本県の実情を踏まえて国に対して提案していこう、というように、市町村も含めて実情からスタートして組み立てていかないと、常に、何度やってもアプライズされない。県にとって声の届かない人たちの存在が解消されないと思う。
施策の組み立てについて、どのようにしていこうとしているのかが見えないが、いかがか。
雇用労政課長 ○ 確かに、そういった方々を救う手法として、職業訓練と併せて生活費の支給ですとか、今回の補正予算では保健福祉部の緊急のつなぎ資金や生活福祉資金の貸付事業の拡大など様々な手法が講じられておりますが、これだけで全部の方を救えないのはご指摘のとおりだと思います。
ただ、私どもも、責任をもって予算計上させていただくにあたって、少なくともこの事業に関してはこれだけの需要がありますといったことで計上させていただいております。
これらの事業で全部の方を救えるかというと、まだまだですので、国も含めまして、新しい事業を考えるなり、要件緩和といったことを一緒に考えていなかなければならないと考えております。
松崎 ● これから年末にかけて、昨年度同様、だんだん雇用問題が深刻化してくる。
言うまでもなく、経営に課題のある企業では、年末資金繰りがどんどんきつくなり、弱いところから生活の維持が厳しく、雇用問題が深刻化するという状況になってくる。
今週末か、失業率が発表されると思うが、おそらく5.7%ではなく、6%を超えるのではないかと言われている。そういった点も考えると、なおのこと、雇用政策の再構築と強化をお願いしたい。