2010年7月定例会 防災警察常任委員会の質疑のまとめ
高齢者交通事故防止対策について
山口委員: 近年、県内の人身交通事故は減少傾向にあると聞いていますが、高齢者が関係する交通事故は依然多いということなので、高齢者の事故防止対策としてどのようなことを実施していらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
まず、高齢者が関係する事故の割合はどのくらいなのか、発生状況と併せてお伺いします。
くらし安全交通課長: まず、県内の交通事故の発生状況でございます。今年の2月に入りまして県内で交通死亡事故が多発しまして、一時全国ワースト1位という状況が生じましたが、6月末までの交通事故死亡者は、全国ワースト5位となっております。
具体的な数字を申し上げますと、本年6月末までの交通事故発生状況につきましては、発生件数が20,084件、怪我をされた方は
23,827人、亡くなられた方は85人で、昨年の同時期と比べまして、発生件数と怪我をされた方は減少しているものの、亡くなられた方は、昨年同時期と比べまして増加傾向で推移しております。
次に、高齢者が関係した交通事故でございます。交通事故が減少する中で、65歳以上の高齢者が関係する事故は、この数年、年間1万件を超えております。今年に入りましても、高齢者の関係する事故は、6月末までに、発生件数は4,890件で前年より42件減少しているものの、事故全体の約24%を占めています。
特に亡くなられた高齢者の方は38人おられます。前年の同時期と比べまして12人増加しまして、交通事故で亡くなられた方全体の約
45%と高い割合で推移しております。
山口委員: 高齢者の事故の特徴は何かございますか。
くらし安全交通課長:
県警察の分析によりますと、昨年、交通事故で亡くなられた高齢者は65人おられます。このうち約65%にあたる42人の方が歩行中に事故に遭っておられます。
その原因を見ますと、約62%の方に、走行車両の直前直後の無理な横断がございました。
また、半数以上の方が、自宅から500m以内で事故に遭っております。
このように、高齢者の死亡事故の特徴といたしまして、歩行中、自宅の近くでいわゆる乱横断により事故に遭われる傾向にございます。
今年に入りまして、6月末までに交通事故で亡くなられた高齢者の方は38人おられますが、昨年と同様の特徴、傾向が続いております。
山口委員: 高齢者の交通事故は、ここ何年もこういう傾向が続いていると認識しております。特徴も家の近所で飛び出しだとか、このくらいなら渡れるだろうとか、そういうことだと認識しているんですけれども、高齢者のそういう傾向は、私が知っている限りでも数年続いているのですが、いつ位から続いているんでしょうか。
くらし安全交通課長: 平成15年から、年間1万人以上の方が交通事故に遭われていると承知しています。
山口委員: なかなか高齢者に対する事故防止策というのは取り組みことの内容がすごく難しいと思います。高齢者の方々でも年齢に差があるでしょうし、会話の状況だったり、そういったものがいろいろ違うと思うんですけれども、端的にどんな取組をされていて、ここ数年どんな対策が効果が出ているのか、教えていただきたい。
くらし安全交通課長: 高齢者の方に、体力や反射神経の衰えを自覚していただくことを目的としました、参加体験型の交通安全教室を実施しております。
具体的には、参加された高齢者の方に、どのくらい車と離れている場合に道路を横断するかということをお聞きした後に、歩く速度を測りまして、自分が考えているよりも早く車が接近することを繰り返します。
このように、無理な横断の危険性を理解していただいたり、あるいは、目を閉じての片足立ちをおこなうなどいたしまして、高齢者の方に、現在の身体機能を再認識していただくように、参加体験型の交通安全教室を実施しております。
また、この教室では、夜間光ることによりまして、ドライバーに自分の位置を知らせる夜光反射材の有効性を説明するとともに、受講者の方々に反射材を配布しまして着用の促進を図っているところでございます。
山口委員: 対策を講ずるのは、なかなか難しいことがいろいろあろうかと思いますが、ここ数年の対策の中で、今年何か対策を追加するような計画はあるんでしょうか。追加教育と言うんでしょうか。
くらし安全交通課長: くらし安全指導員の教室の充実強化、これは従来どおり行ってまいります。
それから、県警の方で実施しております、「ゆとり号」という動体視力ですとかを参加していただいた高齢者の方に実感していただく適性検査車を所持しておりますので、こういった部分で力を入れて参加体験型の高齢者交通安全教室の充実強化を図ってまいりたいと考えております。
特に新しい施策というのは、今のところございません。
松崎委員: 今、お答えのあった交通安全教室を開催しているという点で少しお聞きしたい。
強化するということだが、これまでの開催回数とか参加者数は、県民の対象となるべき高齢者のうちの何人くらい、あるいは、何パーセントくらいで、回数は何回くらい行われているのか。
強化するとおっしゃっているということは、それを何回ぐらいを増やして、何人くらいの参加を目標としているのか、お聞かせいただきたい。
くらし安全交通課長: 昨年度の参加型高齢者交通安全教室は、8市2町で18回、延べにしますと参加人員は
1,200人参加いただいております。
20年度につきましては、4市6町で20回、延べ980人に参加いただいていおります。
また、県警との連携により、先ほど申し上げた「ゆとり号」による合同開催の計画、回数については、手元に資料がございませんので、後ほど答弁させていただきます。
松崎委員: 最初にお答えのあった数が目標なんですか。21年度の実績が1,200人、20年度が
980人、目標としてはどういう数を目標としているのか。
それとさっきの質問に答えてもらってないんだけど、それは、対象とすべき高齢者の何割ぐらいなのか。
くらし安全交通課長: 現在、資料を持ち合わせておりませんので、後ほど答弁させていただきます。
松崎委員: この質問をすること自体はすでに、山口委員の方から伝えてあったはずなんで、お答えいただく内容に関わる部分ですから、資料が整い次第、この委員会の間ということは求めませんから、次回でも資料をいただきたい。
くらし安全交通課長: ※ 答弁保留部分の答弁
7月23日常任委員会
先の安全防災局単独の常任委員会におきまして、答弁を保留させていただいた部分につきましてお答えいたします。
まず、松崎委員のご質問についてお答えいたします。3点ございます。
1点目でございます。
高齢者交通安全教育について、開催回数、参加者数、対象となるべき高齢者の受講率につきまして、先に、開催回数が18回、参加者数が約1,200人とお答えいたしましたが、これは、参加体験型の高齢者講習のみの回数、人員数でございました。
昨年度は、これ以外に、くらし安全指導員が、通常、行っております参加体験以外の高齢者交通安全教室等を加えますと、平成21年度の開催数の合計は136回、参加人員が
約6,700人となります。これを、平成21年度の65歳以上の高齢人口約172万人で割りますと、受講率は、約0.4%となります。
2点目のご質問であります、運転適正検査車ゆとり号を用いた高齢者交通安全教室の実施回数についてでございます。
所管外でありますが、県警察所有の運転適正検査車ゆとり号は、後ほど説明させていただきますが、県の実施しております交通安全シルバーリーダー養成研修会に派遣を依頼しております。
平成21年度は、5回依頼しております。
また、今年度は、6月末までに1回となっております。
3点目のご質問であります高齢者交通安全教室の開催の目標回数でございますが、これにつきましては、目標は、特に定めておりません。
しかしながら、くらし安全指導員の行う交通安全教室等の開催の見込み回数を、本年度は、
1, 600回予定しております。
本年度6月末現在、交通安全教室を608回開催し、61,281人の方が参加しておりますが、このうち、高齢者に対する交通安全教室は、24回開催しまして、1,208人の方が参加しております。
そのほかに、交通安全教室と防犯教室を同時に併せて実施した高齢者安全教室が121回、参加人員が6,149人でございますので、本年度6月末の合計で145回開催しまして、
7,357人の高齢者の方が受講しております。
山口委員: 高齢者に関して引き続きお尋ねしますけど、先ほどの人数等もあるんですけど、交通安全教室に参加できなかった方もいらっしゃいますよね。そういった方々、参加しようと思ってもできない方々への対策はどのようにとっていますか。
くらし安全交通課長: 交通安全教室に参加できない高齢者のために、平成9年度から、県の委託事業としまして、神奈川県交通安全母の会連合会の会員の方々が、警察からの交通事故情報をもとに、事故多発地帯の周辺の高齢者世帯を中心に戸別訪問しております。ここで高齢者が関係する交通事故の具体例を挙げるなどして、高齢者の方と対話する中で、交通安全教室に参加できない高齢者の方にも、安全意識を高めていただくことを目的としました高齢者セーフティアドバイズ事業を行っております。
山口委員: 参加できない方に対しては、母の会が委託で事業を行っていることは理解できたんですけれども、一回参加された方も、高齢者というのはやはり継続して安全教室に参加して、意識を持っていただくということが重要だと思うんですけれども、アフターフォロー的な活動というのはされていますか。
くらし安全交通課長: 平成15年から、年間1万人以上の方が交通事故に遭われていると承知しています。
山口委員: なかなか高齢者に対する事故防止策というのは取り組みことの内容がすごく難しいと思います。高齢者の方々でも年齢に差があるでしょうし、会話の状況だったり、そういったものがいろいろ違うと思うんですけれども、端的にどんな取組をされていて、ここ数年どんな対策が効果が出ているのか、教えていただきたい。
くらし安全交通課長: 手元に資料がございません。的確な答弁ができません。
※ 答弁保留部分の答弁
7月23日常任委員会
最後に、山口委員からご質問がございました交通安全教室に参加できない高齢者への対策としまして、先にお答えいたしました母の会連合会に委託して実施しております高齢者セーフティアドバイズ事業での戸別訪問後のアフターフォローについてお答えいたします。
県では、直接的なアフターフォローのための施策はございませんが、県では地域における高齢者に対する交通安全教育の推進役となる交通安全シルバーリーダーを養成するための研修会を実施しております。
この交通安全シルバーリーダーは、各市町村の老人クラブ連合会あるいは自治会などから推薦をいただいた適任者の方々でございます。
現在16市町村で約3,000人おられます。この方たちが、老人クラブや自治会等の各種会合において、それぞれの地域の高齢者の方々に声をかけていただき、交通事故防止に必要な情報等を伝えていただくことによって、アフターフォローを実施しております。
山口委員: わかりました。
委員長: 暫時休憩しますか。後ほど答弁でよいですか。
山口委員: 後日で結構です。
最後に要望を申し上げます。
近年の交通事故の件数は減少傾向であるものの、高齢者の事故が増加傾向であることから、例年と同じようなやり方では減少していかないと思います。ですので、第9次交通安全計画の策定に取り組むとともに、今まで見てこなかった数字だとか、今まで考えてこなかった連携だとか、そういうものを強化していただいて、今後、より効果的な施策を実施していただきたいと思います。