平成24年11月7日 神奈川県議会決算特別委員会での質疑のまとめ

○ 財政問題について

松崎        平成23年度決算については、ひとまず黒字決算となった。しかし、今後を見通した場合は、いまだ将来に向けて課題ばかりが目につくところである。この平成23年度決算の審議を今後に活かすべく順次質問を行う。

 平成23年度県税収入決算額は、9,971億円であり、当初予算額9,958億円とは13億円の差であった。かつて、私が平成20年度決算において、税収見積もりについては精度を向上させて欲しいと要望しているが、今回については相当な正確さであったと思う。しかしながら、最終予算額は9,921億円となっており、当初予算額を下回る状況であったが、決算になると、一転して当初予算額を上回る状況になっている。そこで、この間の状況の変化について伺う。

長谷川税制企画課長            平成23年度当初予算編成時点での状況でございますが、23年度の経済見通しについて、政府では、名目経済成長率を1.0%のプラスと見込んでいたところでございます。私どもが県税収入を見込むに当たりましては、こうした経済動向の見通し、様々な経済指標、それからさらには、これまでの税収実績の分析なども踏まえまして、慎重に見込んでいるところでございます。

 23年度につきまして、税目ごとに算定しているところでございますけれども、まず、主な税目を申し上げますと、個人県民税、こちらは、リーマン・ショック後、所得環境が改善してきたというような指標がございましたので、前年度最終予算額に対しまして若干の増収、プラス12億円でございますけれども、このように見込んだところでございます。

 それから、大きなところで申し上げますと法人二税でございますが、これは平成23年3月期の決算の見通し、実は二桁の増益とかなり好調な状況でございました。ただ、その前のリーマン・ショックを受けまして、過去の欠損金をかなり抱えてございましたので、大きな伸びにはなりませんでしたが、2.9%程度の伸びと当初予算上では見込んでございました。

 それ以外の税目につきましても、様々な税制改正等、細かなものがございますので、そういったものを織り込んで算定した結果、県税収入全体としては、1兆8億円と見込んでございます。ただ、23年度は骨格予算として編成いたしましたので、この見込額のうち、法人事業税の50億円を留保した9,958億円を当初予算として編成したところでございます。

 続きまして、その後の状況でございますが、これはもうご案内のとおりでございまして、当初予算編成後、直後といっていいかもしれませんが、3月には国全体に大きな影響がございました東日本大震災、原子力発電所の事故がございまして、これは直接的な被害はもちろんでございますけれども、これによりまして生産の停滞、消費の低迷といったものがございました。

また、下半期にはタイの大洪水もございまして、これでも税収のマイナス影響が生じておりました。このため、9月の時点では、もうすでに県税収入は、当初予算額に計上した額を確保するのは難しいのではないかという見方をしていたところでございます。

そして、最終予算でございますけれども、最終予算の見積りに当たりましては、それまでの税収実績、それから、その時点での各種の経済指標、こういったものを踏まえまして、税目ごとに算定したところでございまして、個人県民税につきましては、若干の増収と当初予算の時にご説明いたしましたが、実績といたしましては、伸びが見込んでいたほどなかったということがございまして、当初予算額に対しては74億円の減収を見込んでございます。

 続きまして、法人二税でございますけれども、これは23年3月期決算で、大法人中心に災害の特別損失の計上というものがございまして、押し下げ要因となりました。ただ、一方で中小法人が比較的堅調に推移していた状況もございますので、肉付け後の6月補正後予算額に対しましては、プラス9億円の増収でございます。ただ、当初予算編成時の収入見込額に対しましては、23億円のマイナスと見込んだところでございます。

 それ以外では、地方消費税もやはり国内消費が低迷した影響がございますので、国内取引分の譲渡割が落ち込みまして、当初予算額に対して15億円の減収でございます。

ただ、消費関連では、軽油引取税、県たばこ税が見込みを上回ってまいりました。軽油引取税につきましては、やはり震災の影響もあるのかもしれませんが、物流が活発になって需要が増えたというふうに私どもは認識をしております。

この結果といたしまして、県税全体の最終予算額は、当初予算編成時点の収入見込額を86億円下回ります9,921億円、これは、6月補正後予算額に対しましては、54億円の減額補正をお願いしたところでございます。

 それから、決算ということでございますけれども、今の最終予算額に対してこれだけの決算増差がでたというお尋ねでございます。

まず、法人二税でございます。12月決算の法人は、2月から3月にかけて申告をいただくわけでございますが、ここで主要な法人を個別に見込んでおりましたが、いくつか見込みを上回った申告額があった好調な法人がございました。先ほど申し上げました中小法人もかなり堅調に推移してきたということもございまして、最終予算額に対して36億円のプラスということでございます。

 それ以外には、自動車取得税でございますけれども、年末にエコカー補助金が再導入されたということがございます。その影響が強く現れてきたという分析をしておりますが、約3億5千万円のプラス。

 それから、先ほど申し上げました軽油引取税も、やはり需要が好調でございまして、約4億円のプラス。

 以上の結果といたしまして、最終予算額を49億円上回る9,971億円となったという状況でございます。

松崎        県税収入の見込みの難しさについては理解したし、毎年度毎年度そのとき、期中に起きる状況というのは様々だから、その都度その都度、やはりこうした特別委員会においては、お聞かせいただかないといけない一つの項目だと思っている。今、厳しい財政状況の中で緊急財政対策も示されており、未だ1,600億円の財源不足が平成26年度まで想定されているところである。今年度の状況について伺っていきたいのだが、今年度と言っても24年度自体が折り返しの時期を迎えている。まさに、今年度自体も財源対策を行っていかなければいけない状況と認識している。

 そこで、県税収入について、知事は、本会議の質問において、「24年度は当初予算額を確保できる見込みだ」と答弁しており、その上で、「来年度25年度の県税収入については、24年度と同水準になることを期待している」と答弁をされている。一方で、今回の緊急対策案の中の財政見通しを見てみると、平成25年度の県税収入は1兆160億円、つまり平成24年度当初予算を208億円上回っている。

そこで聞きたいのだが、先ほどの説明を色々伺っていくと、税収の見込みは現時点で見ても200億円以上の財源が見込める状況にあるのではないかというふうに思えるわけだが、そのあたりはどうなのか。

長谷川税制企画課長            まず、平成24年度でございますけれども、今の経済環境を考えますと、まだかなり不透明な要素が強くございます。ただ、主要な税目、最も税収規模が多い個人県民税につきましては、毎年度6月に当初課税がされているということがございまして、もう現時点で年度間の課税額が9割以上把握できている状況でございます。個人県民税につきましては、見込んでおりましたよりも、課税実績として見込みを上回っているという状況でございますので、年度間としても増収が期待できる状況でございます。

 その余の法人事業税、法人県民税、あるいは地方消費税につきましても、当初予算で見込んでおりましたレベルで概ね推移しているところでございます。特に法人二税につきましては、製造業はあまり芳しくない状況でございますが、一方で、非製造業がかなり好調でございまして、概ね上半期の税収は好調ということでございます。ただ、上半期の税収というのは、24年3月決算、この実績が税収として反映してまいります。今後、下期に向けましては、24年度以降の実績が税収に反映してくるということでございますので、特に今月に入りまして、9月中間期の決算発表がかなり増えてきましたが、どれを見ましても下方修正という文言が新聞報道でもかなり目につくという状況でございます。加えまして、一部新聞報道等を見ますと、既に年度当初から景気後退局面に入っていたのではないかというエコノミストの見方も報道されている状況でございます。

 従いまして、私ども、知事から答弁させていただいた段階、9月でございますけれども、その段階でありますと、まだそういった中間期の状況がわからない段階でございますが、先ほど申し上げましたとおり、個人県民税では一定の増収が見込める、それから法人二税では、上半期はほぼ見込みどおり、若干上ぶれして出てまいりましたので、県税全体としてみれば、24年度は当初予算を確保できるのではないかと、その時点で見通していたという状況でございます。

松崎        今のご説明は、確かに現時点に引き直してみると、当を得たというふうに受け止めなくもないのですけれども、ただ、ある時期までは、1,600億円の財源不足ということが先行して伝えられていたにもかかわらず、実際のところは1,400億円に圧縮ということを正しく伝えないといけない時期が結構長くあったのではないかと私は個人的には受け止めていますので、そのことは申し上げておきます。

 それともう一つ伺いますけれども、今回かなり漠としたものでありますが、義務的経費と歳入総額との関連が示されております。それによると、平成30年代の前半には義務的経費さえ歳入総額では賄ない切れなくなるというものでございました。私は、毎年度、毎年度、できる限りの努力をして歳出を抑制して後年度の負担を少しでも軽くしていく必要があると考えます。多くの先生方と同じ立場でございます。ただ大方の議論は、将来に焦点が当てられて進められているわけです。ただ、今現在の対策もたいへん重要だと思います。そこで、財政当局としては、この23年度の決算を認識した上で、24年度中にはどのような対策を打つつもりなのか伺います。

宮越予算調整課長                お答え申し上げます。23年度の決算を受けて、本年度の財政をどのように運営していくのかというご質問をいただきました。ただいま、税制企画課長からもご答弁申し上げましたけれども、県税収入の動向、これは、欧州の金融危機、あるいはチャイナ・リスクですとか、さまざまな状況の中で、特に法人二税については、非常に厳しい状況であると私どもは承っています。一方で、介護・措置・医療関係経費については、今後、後半にかけても、さらに伸びてゆくのではないかと私どもとしては見ているところでございます。したがいまして、これまで一定の増収が見込まれると考えていた税収につきましても、今後は、やはり我々といたしましても、厳しく見込んでいかないといけない。さらには、歳出につきましても、多額ではないにしても、当初の見込よりも幅のある歳出が見込まれるということも考えつつ、本年度の財政運営を図っていかなければならないと考えています。現段階で、直ちに、現在の予算運営をどうこうということは、なかなか申し上げにくいところではございますけれども、少なくとも今年度の予算につきましては、そういった経済環境なり、あるいは歳出の状況を十分に認識し、踏まえつつ、適切な財政運営に努めていかなければならないと考えているところでございます。以上でございます。

松崎        今、最後のところで、宮越課長からは、十分認識し、踏まえつつという発言がありましたが、23年度の公債費は2,140億円となっており、22年度の2,530億円からは減少したということで、これは既にこの委員会で答弁があったとおり、22年度に後年度負担軽減のため前倒しで積立を行った結果だということでありました。しかしながら、義務的経費の中で、この公債費につきましては、先に提出された推計によれば、45年には4,500億円、それもピークにはなっていないということで、公債費の増加は毎年度2,000億円という臨時財政対策債を発行せざるを得ない状況が招いているということは明白なことであり、これは私自身も、会派としても、あるいは議会としても、分かりやすい明確な設定が必要であるという考えで、その点について何点か伺います。まずは、23年度決算におけるプライマリーバランスについて確認の意味でお伺いいたします。

和泉資金調査課長                お答え申し上げます。これまで、私どもの方からは、プライマリーバランスにつきましては最終予算の方でお答えを続けて、主な答弁とさせていただきました。最終予算でお示しすると赤字の791億円でございますが、今、委員のご質問は、決算ではどうかというご質問でございましたので、これを公債費マイナス県債で計算をいたしました。そうしますと、719億円の赤字ということでございます。以上でございます。

松崎        公債費について、今、ご説明がありましたけれども、それを抑制するためには、県債残高の減少が重要であるということは、かねがね主張してきているところでございます、そして、その県債残高の減少につきまして、第一歩としてはプライマリーバランスの黒字化を目指すということだと考えております。プライマリーバランスの黒字化につきましては、昨年度の予算委員会におきまして、総括質疑の中で私から質問させていただき、黒字化をしっかり目指して取り組んでいくという答弁を当時の財政部長からいただいたところでございます。黒字化をいつまでに明確に示すべきと考えていますか。ここで目標年次を示していただけるでしょうか。

和泉資金調査課長                プライマリーバランスにつきましては、リーマン・ショックにより税収が大きく落ち込む中、県民生活を守るため臨時財政対策債を発行せざるを得ない状況が続いております。この臨財債は、平成25年度までの時限措置とされておりますが、本来、地方交付税に臨時財政対策債が復元されれば、プライマリーバランスは即座に黒字ということになりますが、現下の国の財政状況から考えますと、制度の終了を見込むということは現実的ではないと考えております。したがいまして、今回の緊急財政対策における財政収支見通しにおきましても、当面、臨時財政対策債の発行を見込んで集計をしてございますけれども、現時点では、プライマリーバランスの黒字化の時期を明確に示すことは困難でございます。しかしながら、プライマリーバランスにつきましては、財政運営上、今の世代と将来の世代の受益と負担の公平性を図るための重要な指標でございます。今後、緊急財政対策による委託事業の見直しに取り組み、歳入歳出両面からの改革を進める中で、併せてプライマリーバランスの黒字化の目標設定についても検討してまいりたいと考えております。

松崎        今までより、少し輪郭が見えたかなという答弁でございましたけども、私としては、なかなか承服しがたく、これだけでは、分かりましたとは言えません。今後に作成される緊急財政対策の目標値の中で、いつまでにどうするかということがイメージされるという理解でよろしいのでしょうか。

和泉資金調査課長                県債の残高を減らしていくという目標値も検討の俎上に上げようと考えております。当然のことながら、県債の全体の額を下げていくためには、プライマリーバランスにおきまして、黒字化をしなければ、そういった目標値には繋がらないところでございますので、今後、県債残高の減少等を検討する中で、プライマリーバランスにつきましても、同時に検討してまいりますので、今ここで、この時期までにはっきりお示しする、とは申し上げられませんが、検討の中で、そういった指標について、目標値のような、この年度というものが出てくれば、しっかりとお示ししてまいりたいと思っております。

松崎        今の答弁を裏支えするもう一つの事柄は、臨時財政対策債を含む県債の抑制ということです。それがないと、年次ができないと考えるわけですけれども、一つ気がかりなことは、23年度決算に話を戻しますけれども、県債発行額の大部分を占める臨時財政対策債の当初予算は2,450億円ですが、決算額は2,454億円で、予算額を上回っている。県税収入が予算額を上回っている中で、臨時財政対策債の発行可能額ぎりぎりまで発行しなければならない。そして、例え4億円といえども、厳しい財政状況の中で、公債費の抑制を議会で議論している中で、なお、予算計上額以上に発行しなければならないのか。抑制すべきではないのか。その方針、お考えがあれば聞かせいただきたい。

和泉資金調査課長                臨時財政対策債は、国の厳しい財政状況を背景に、本来であれば、地方には地方交付税で払われるべきものであります。それにもかかわらず、臨時財政対策債というものが地方に示されて、国がその発行可能額を決定している赤字債です。本県では県税の急激な増収を見込めない一方で、介護・措置・医療関係費などの財政需要が毎年度増加しています。また、年度後半にかけまして、やはりこうした需要がさらに増えるということが見込まれました。そのため、臨時財政対策債についてはその財源として発行可能額全額を発行したという経緯がございます。しかしながら、こうした臨時財政対策債は、県民にとって、やはり将来に償還という負担を迫られます借金であるということには変わりませんので、公債費として後年度負担をともなってまいります。緊急財政対策に基づく財源対策の取組みを進めていく中で、臨財債を含めた県債全体の管理目標につきましても、先ほど申しましたとおり設定をしていくなど対応してまいりたいと考えています。

松崎        これは顕著な例だったので取り上げさせていただいたのですが、当初見込んでいたものよりさらに多くのものを発行していたということは、あってはならないことだと思っています。今、発行抑制、管理目標について徹底していくという答弁がありましたので、その動向の詳細をこれから注視させていただきます。時間もあまりありませんので、次に健全化判断基準について何点か伺いたいと思います。実質公債費比率や将来負担比率について、この特別委員会が始まるときに説明がありましたが、まさに健全な団体として神奈川県はそういう数値になっているのでありますが、確認の意味でこれはどうしてなのですか。

和泉資金調査課長                財政健全化判断比率でございますが、実質公債費比率につきましては、公債費の負担が地方団体の財政に及ぼす影響を示す指標でございます。将来負担比率につきましては、地方団体の借入金、あるいは将来支払っていく可能性のある負担金等の現時点での残高を指標化して、将来財政を悪化させていく可能性の度合いを示す指標ということになっております。委員のおっしゃるとおり、ともに、早期健全化基準、あるいは全国平均を下回っているものでございます。実質公債費比率につきましては、元利償還金の多寡が影響します。また、将来負担比率につきましては、現在の残高の多寡が大きく影響を及ぼします。本県は、3つの政令指定市を抱えておりまして、道路など社会資本整備につきましては、政令指定都市に実施していただいておりますから、経費が実質的に少ないということがあります。また、本県では、平成9年度から県債の発行抑制など業務システム改革に取り組んできておりますので、こうした結果が指標に現れていると考えております。さらに、この比率の算定につきましては、臨時財政対策債の元利償還金など地方交付税で措置される金額を除いて算定する仕組みであるということも大きな要因でございます。もし除かなければ、もう少し比率が悪化するということでございます。

松崎        毎年、毎年、報告をいただくのですけれども、これを聞かされるたびに非常にむなしい気になるのは私だけではないと思います。4つの指標のうち実質赤字比率や連結実質赤字比率については、まったく問題の対象にならないくらい。それから実質公債費比率については10.3、将来負担比率については185.1ということで、それぞれ25、400に対してもまったく問題はなく、非常に優等生であると示されているわけです。そこでお聞きしますけれど、これは、はっきり言うと、我が県などが押し付けられている臨時財政対策債を正当化するために、このような指標を扱っているのではないですか。臨時財政対策債の影響を除けば、これらの健全化判断基準というのは神奈川の場合どうなるのかお伺いしたい。

和泉資金調査課長                お答え申し上げます。実質公債費比率の23年度決算数字は、確かに委員おっしゃるように10.3%ということで非常に問題ない数字でございます。早期健全化基準につきましては25%で、その半分以下ということでございます。これを臨財債の影響を除いた形で試算をいたしますと、10.3%が13.3%ということになります。また、将来負担比率でございますが、これはお示ししている23年度決算ですと185.1%でございます。これも早期健全化基準は400%でございますが、臨財債の影響を除いた形で試算をいたしますと、276.8%というところでございます。

松崎        今、お答えがありましたけど、それぞれ実質公債費比率も将来負担比率も、実質公債費比率の方が、10.3が13.3、将来負担比率については、185から276にぐんと上がって随分苦しい、厳しい状況が見えてくると思います。

 そこで伺いしますけれど、特に神奈川県のような大きな都市部の地方公共団体にとって、この比率というのは、現行のものでいくと厳しい財政状況を示していない、厳しい現実を示していないが、どのように思っておられるのか伺います。

和泉資金調査課長                お答えいたします。本県は経常収支比率が高く、財政が硬直化してございます。特に人件費の比率が高いために、もともと公債費関係の指標というものにつきましては、他県よりも厳しい状況に考えておく必要があるだろうとは考えております。そうした中、ただ今答弁いたしました実質公債費比率などは、現実の本県の公債費負担の実態を正確に表していないというところがございます。本県財政は、比率で見る以上に大変厳しい状況にあるという認識でございます。今後も義務的経費の大幅な増加が見込まれますので、見かけ上の健全化比率に関わらず、緊急財政対策を通じて、本県の財政構造の改善に努めていく必要があると認識しております。

松崎        折角、国が一応は定めてくれているはずの4つの指標が、本県においては県民の皆様に向かっては、全くアナウンスされる状況にございません。言わば、多くの納税されている県民にとっては、知らない間に実は神奈川県は財務内容が悪くなっている。誰の責任なのだ。そのことについて県民の前で県としてしっかりと示すべきだったのに、なぜしなかったのかということが、積もり積もって、今、そういうマグマのような声、声にならない声というのが、私は満ち満ちていると思います。そういった意味からしても、やはり、県営施設全廃だとか、補助金が一時凍結だとかいろいろなことを言い出している中で、それはなぜなのだというところをしっかりと示していき、知っていただくためにも、公債費あるいは県債管理目標、それから、先ほどのプライマリーバランス黒字化の年度を明示するということは、本当にしっかりとやっていただきたいということを、皮肉ではなく本当にしっかりやっていただきたいということをお願いして、この項目について財政関係の質問を終わらせていただきます。

松崎        まず、一点目、自治体国際化協会の負担金について取り上げさせていただきます。23年度の資料では、自治体国際化協会に対する負担金は、3,100万円となっております。21年度は2,800万円、22年度は2,600万円と減少してきていたのですけれども、23年度は3,100万円と20年度の3,200万円に次ぐ規模に膨らんでいるところでございます。事業目的もいろいろ調べると、きちんと書いてあるわけですが、世界の各地域との多様な交流、それから地域の発展、外国籍県民の増加や定住の中での、その支援策の充実による多文化共生の地域づくりを推進するとなっています。本県における外部評価では、しかし、この負担金についてはE判定です。事業の廃止を視野に入れて検討すべきものとなっていたのですが、その後の総合評価ではC判定となっていて、後退をしたといわざるを得ない状況となっています。そこで伺いますけれどもこの団体に対する負担金支払は1年で3,100万円でありますが、その額にどのような認識をもっておられるのか、所管のお考えを伺います。

船本国際課長        お答えいたします。額とその認識ということでございますが、額については、今、年度推移のご紹介がございましたが、23年度は確かに対前年で増えておりますが、3,100万円という自治体国際化協会への負担金につきましては、年末ジャンボ宝くじで国際交流の推進ということで100億円の宝くじを発行しております。この100億円のうちの事務的な経費を除いた収益にあたる部分、その部分につきまして、全国の都道府県、政令市が、それぞれの地域での売上額に按分して負担をするという取り決めがございます。それに伴いまして、平成23年度は宝くじの売上げが本県で多かったことなどから、3,100万円と額が増加しております。認識ということでございますけれども、今、委員のご紹介がございましたとおり、この協会につきましては、設立の際に、全国の知事会、市長会、町村会が出捐をし、全国の共同組織として、先ほどご紹介のありましたように、昭和63年当時でございますが、我が国の国際化の進展に伴って、地域における国際化の機運も高まったことなどから、国際化に対応した地方公共団体の振興、先ほどの多文化共生の推進ということで、負担をさせていただいています。本県としてもこうした共同組織の必要性を認識し、負担金を支出しているところでございます。以上でございます。

松崎        緊急財政対策の社会教育施設の関係で、横浜、川崎の歴史ある図書館の廃止ということが事実上言及されているわけですが、今のご答弁を聞いていると、そういった切迫感、危機感が、残念ですが、私としては受け取ることができません。23年度当時からこの負担金については厳しい財政状況も踏まえ、負担金の軽減や事業見直しを求めていくとなっていましたが、どのような対応を実際にはとられたのか。

船本国際課長        23年度の見直しでありますが、この協会につきましては全国の自治体の中でもこれまで協力して見直しの要望等を行ってきたところです。その件について23年度の取組みをご紹介させていただきたいのですが、23年度につきましては負担金の縮減につきまして要望等をこの団体についてさせていただいているところです。なお、経費の効率化についても、負担金の削減と併せまして、事業内容について多文化共生に資する内容にしていただきたいという事業内容の充実についても要望をさせていただいているところです。以上でございます。

松崎        とお答えになったのですが、その前の答弁の中で宝くじの収益金についての言及がありましたので、こちらで調べさせていただきました。実はこの自治体国際化協会の資金というのは、宝くじの売り上げから賄われているということでございます。本県の場合について言いますと、本県における宝くじの収益金の2分の1に、現在は10分の8を乗じて得た額が自動的にこの自治体国際化協会の資金として、本県にいったんは来る宝くじの売上金がまたここへ還流をしていくという仕組が続けられているということでございます。したがって、10分の10だったものが、10分の8になったということも仄聞しているのですけれども、現実にはこの仕組が続く限り、つまり、言い方は悪いが、神奈川だけが足抜けしない限りは、実は、足並みそろえて支え続けるという仕組みが永続していくのではないでしょうか。その点お答えください。

船本国際課長        今、ご紹介がありましたように、この自治体国際化協会への負担金は、当初のスキームからは、2分の1ということが、20%削減となっていますが、平成19年に10%削減となり、さらに21年にさらに10%削減されてきたという経緯がございます。そうした見直しをこれまで進めてまいりましたので、今後この自治体国際化協会への負担金につきまして見直しをしていくということにつきましては、さまざまな場面で調整をしていく、まったく不可侵ということでは考えておりません。

松崎        ここで延々と続く問答をしても時間がありませんので次へ進みます。もう一つ類似の団体で財団法人地域創造というのがございます。これにつきましては、以前の決算特別委員会で私自身取り上げさせていただいたところですが、20年度の決算が1,111万円の負担金額でございましたのが、調べさせていただきましたところ、21年度について、また、22年度、23年度は1,211万円と、実は決算の審議が行われた20年度よりも、段々年を追うごとに負担金額が増えている時期があります。そこでお聞きしますけれども、この負担金額というのは、緊急財政対策が打たれている現状、また23年度の決算の時点でも十分な見直しを行うべきだという意見が出ていたと思いますが、当局としてはどのように考えて支出をしているのでしょうか。

山﨑文化課長      地域創造への負担金でございますが、これにつきましても宝くじが財源となっておりまして、宝くじの売り上げの一定の比率について、都道府県の売り上げの率に応じて徴収するということでございます。その仕組みに基づいて、今、委員からお話のありましたように、20年度の1,111万3千円から23年度は1,211万5千円ということで金額としては増えております。これにつきましては、この枠組みの中でこの法人が設立された趣旨にそった形で支出をさせていただいているということでございます。以上でございます。

松崎        今、ご説明があったとおり、こちらも宝くじの売上収益金で、ジャンボ宝くじの売上げについて神奈川県の割合を掛けたもので、6億3千万円という金額が、あらかじめ財団法人地域創造から必要なお金はこれだけだということが示されて、そのうちのジャンボ宝くじの売上げの全国の中での神奈川県の割合が1.9%だから、それを乗じた額ということで自動的にはじき出されるから、年度ごとに金額も違い、23年度は1,211万円に負担金が上がったということでございます。こちらの方も先ほどの団体と同じく、県がいくら見直すといっても、あるいは、行政刷新会議の中で仕分けの対象になっているのですけれども、そういったことがあったとしても、売上金の何%ということを地方自治体どうしで申し合わせてしまったら、結局、どのような改革努力をしても及ばないのではないかと思うのですけれども、その辺についてどのような見解をもっておられるのか、県民局長いかがでしょうか。

武山県民局長        この両団体につきましては、負担と受益のバランスが取れているかということは、大きくいうと問題だろうということで、特に自治体国際化協会につきましては、私どもとしても事業内容の見直し、負担金の検討を幾度となく要請をして、一定の対応が図られているところです。しかしながら、確かに、構造的に委員ご指摘のとおり、宝くじの売上げの一定割合という仕組みになっており、そしてこの組織は地方公共団体の共同組織として設立されており、いわばそうしたくびきがあります。しかしながら、受益と負担の関係があまりに適切を欠くのであるならば、この負担金については支払の停止ということも視野に入れて、現在、両団体に対して、経営改善、負担金の削減、あるいは自治体が本当に望む事業の構築ということを要請している最中でございますので、もう少しお時間をいただいて見直しをさせていただければと思います。 松崎        県有施設の全廃とか、補助金についても先ほどの質疑でございましたとおり、本当に細かな補助金についても見直しをしていくということを打ち出しているというような危機的状況というわけです。一方で、これについては、システムだから続けるのだ、神奈川だけ抜けるわけにはいかないのだということで、見直せ、見直します、行政刷新会議の中でも、また、決算特別委員会の議論の中でも取り上げて、見直していくのだ、頑張るのだという答弁までありながら、実際にはここまで額が増えていった。局長からも今、答弁がありました。停止も視野にということでありますので、その覚悟があるならば、是非とも県民の方、議会の前でお示しいただいて、そうした中で検討していただきたい。