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2019年3月6日 経済・産業振興特別委員会 における質疑

 働き方改革について

昨年6月に成立した働き方改革関連法により、長時間労働の是正や均等・均衡待遇の整備等が講じられることとなり、この4月から順次施行されることとなる。

労働者がそれぞれの事情に応じた多様で柔軟な働き方が選択できる社会を実現することは、生産年齢人口が減少していく中で極めて重要な取組であり、県として民間企業の働き方改革が進むよう、取り組んでいく必要がある。

そこで、民間企業の働き方改革の推進にあたり、何点か伺いたい。

問1
まず、民間企業での働き方改革の推進に向けて、県ではこれまでどのような取組をしてきたのか。

(答)

〇企業の経営者、管理職等を対象としたセミナー等の開催

〇働き方改革の手引きの作成・配布

〇働き方改革アドバイザー(社労士等の専門家)の個別企業への派遣

〇働き方改革推進支援センターや商工会議所等と連携したセミナー及び相談会の開催

問2
働き方改革推進支援センター等と連携してセミナーや相談会を実施しているとのことだが、まず、働き方改革推進支援センターとはどのようなものでどんな役割を担っているのか、伺いたい。

(答)

〇働き方改革のワンストップ相談窓口として国が平成30年度に開設。47都道府県に設置

〇社労士等の専門家による相談や労務管理セミナーの開催等を行っている。

問3
働き方改革の大きな柱の一つは長時間労働の是正であり、このたび法律により時間外労働の上限規制が導入される。一方で、いわゆる高度プロフェッショナル制度も創設され、対象となる労働者は、一定条件のもと、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定から除外されることとなる。運用によっ

ては、長時間労働にも繋がりかねないことから、企業に適正に運用してもらう必要があると考える。そこで、県は高度プロフェッショナル制度の適正な運用に向け、どのような取組みを行っていくのか。

(答)

〇制度が適正かつ有効に活用されるよう、国等と連携して実施しているセミナーや、労働センターなどが行う労働講座、労働相談等において、使用者と労働者双方に制度の周知を図っていく。

問4
長時間労働削減に向け、国では指導監督を強化するとのことだが、県においても、企業に遵守してもらうため何らかの対応をしていくべきだと思うが、何か対応は考えているのか。

(答)

〇中小企業等の労働者の労働環境改善を図るため、企業を訪問する「中小企業労働環境改善訪問」において個々の企業へ助言

〇労働センターが行う労働講座等で周知

〇違反が認められる企業の情報を神奈川労働局へ提供

問5
働き方改革を実現するには企業における取組が不可欠である。しかしながら、中小企業等では、人的・財政的に余裕がなく働き方改革の取組みがなかなか進まないという声をよく聞く。中小企業にける取組を促進するため、県としても支援をしていく必要があると思うがどうか。

(答)

〇働き方改革の手引きの作成・配布

〇国等と連携したセミナーや相談会の開催

〇取組に活用できる国の助成金の紹介

〇こうした取組により中小企業の取組を促進する。

問6
働き方改革の大きな柱の一つとして、非正規社員の処遇改善の取組がある。働き方改革関連法の成立に先立ち、雇用期間の定めがある有期契約労働者が繰り返し契約期間を更新し、通算5年を超えた場合に、雇用期間の定めがない無期労働契約に変わることができるいわゆる「無期転換ルール」が導入され、平成30年4月から実際の適用が始まった。このルールの適用に向け県ではこれまで、企業等へどのような取組を行ってきたのか。

(答)

〇県のたより(H30.2月号)、労働かながわ(H29.11,12月号)等の広報紙への記事の掲載

〇「中小企業労働環境改善訪問事業」による普及啓発

〇昨年3月には、「解雇、雇止め等相談強化期間」とし、「弁護士労働相談」「街頭労働相談会」「解雇・雇止め等相談110番」「セミナー」を実施。今年も行っている。

問7
労働相談において無期転換ルールに反するような雇止めの相談があった場合、どのように対応しているのか。

(答)

〇無期転換ルールの権利が発生しているか確認

〇事業主に申し出ることを助言

〇要望があれば、あっせん指導

問8
働き方改革に関連する法律がこの4月から順次施行されていく状況で、今後、県としてどのような考え方で、どんな取組を進めていくのか。

(答)

〇企業における働き方改革が進むよう普及啓発と支援が必要。

〇引き続き、国と連携した相談会の実施、各種労働講座等における啓発、労働相談における助言を行うとともに、テレワークの促進、ワークライフバランスの推進にも取り組む。

(要望)

働き方改革は、働く人の視点に立って、労働制度の抜本的改革を行い、働く方一人ひとりが、より良い将来の展望を持ち得るようにするものである。

働く人誰もが柔軟で多様な働き方が選択できる社会を実現していくには、企業における取組が不可欠であり、実施が難しいという中小企業に対して、経営者の視点も入れながら取組の促進を図っていくことが必要である。

こうした考えに立って、県としても働き方改革が進むよう、国や関係機関などと連携しながら取り組んでいってほしい。