神奈川県議会2004年9月定例会 次世代育成特別委員会のまとめ
児童自立支援施設の増設と個別ケアの強化を確約
松崎: もうひとつ、子どもたちを巡る深刻な課題が少年犯罪であり、少年法の改正が今法制審議会で検討されている。14歳に満たない「触法少年」といわれる子どもたちは、児童自立支援施設に行くことになっていて、神奈川県には「おおいそ学園」がある。このような児童の立ち直りやその親への指導と支援は大変重要であり、難しさが伴うと思うが、現状は。
県側: 児童自立支援施設は教護院から名称が変わり、対象となる児童も「不良行為をなし、または、なすおそれのある児童」から「家庭環境その他環境上の理由により生活指導等を要する児童」に拡大された。いわゆる非行のある児童に加えて、思春期における問題行動が見られる児童、情緒不安定で指導を要する児童も対象とされて、範囲が広がっている。入所手続きは児童相談所が行っていて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援することを目的としている。
松崎: 神奈川県の児童自立支援施設「おおいそ学園」の実情は。
県側: 今年9月の時点で、38人の児童が入所している。内訳は窃盗や傷害、恐喝など触法行為による11人、怠学、家出など不良行為による12人、その他家庭環境による15人となっている。学年別では小学生2人、中学生27人、高校年齢の児童は9人である。おおいそ学園では、一日の日課を通して指導と支援を行っていて、日中は施設内の分校での学校教育と、農作業、クラブ活動を行っている。多くの児童が授業に集中することが難しく、授業を離れたり妨害したり、児童間でのトラブルや、時に無断で施設外へ出て行ってしまうこともある。職員は一人ひとりとの関わりを密にして信頼関係を築き、児童が自分の今までの生活や行動を振り返り自立していけるよう支援を行っている。
松崎: 制度の建前では、虐待を受けた子は児童養護施設へ、法に触れた子は児童自立支援施設へそれぞれ入所することが前提だと思うのだが、今の話ではおおいそ学園にも虐待を受けた子が入所するのか。そうだとしたらどのような課題があるのか。
県側: 虐待を受けた児童はおおいそ学園にも入所している。いまいる児童のうち半数にあたる19人は虐待を受けた経験がある。いま、おおいそ学園では2寮体制で、いわゆる非行系の児童と情緒不安定により問題を起こす児童が同じ建物内に混在して生活していることから、児童同士のトラブルが多発するなど、個々の児童の課題に対する支援が保障できていない実態がある。特に情緒的な問題を持つ児童の4人部屋居室での集団処遇は、児童の精神的な不安を招き適切な援助ができないとともに、入所している児童の権利擁護の観点からも居室の個室化を推進する必要がある。
松崎: 待ったなしの課題だ。児童自立支援施設としてのおおいそ学園の機能を充実させるため、施設改修を含む見直しを行ってもらいたい。
県側: 現在の2寮体制は非行系の児童と情緒不安定の児童の混合利用となっているため、寮を増やし、3寮体制にして課題別の援助を実施する。来年4月には個室等も整備して、3つの寮において、それぞれの児童の課題に即した個別的な支援を行い、成長と自立を促していきたい。
松崎: よろしくお願いする。