平成22年3月3日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

中小企業対策:<成長分野へのてこ入れについて>

松崎       ● 成長分野へのてこ入れ、ということで伺う。国の方では、医療、あるいは環境といった分野での成長戦略の方針というのを閣議決定したが、神奈川県としてはこの政府の取組をどのように受け止めているか。

産業活性課長       ○ お話の成長戦略につきましては、昨年の12月30日に閣議決定されていまして、基本方針として公表されたものでございますが、その中で、「環境・エネルギー」ですとか、「健康」、あるいは「アジア」、「観光・地域活性化」、「科学技術」、「雇用・人材」、こうした6つの分野の戦略分野が掲げられておりまして、これら分野に係る基本方針、それから達成するべき目標といったものが示されたというところでございます。

 この中で、例えば、環境・エネルギーの分野における太陽光など、再生可能エネルギーの普及拡大支援ですとか、蓄電池や次世代自動車など、革新的技術開発の前倒しといった施策につきましては、本県の新エネルギーの導入促進や、電気自動車の普及促進などの成長分野の支援による地域の経済の活性化、こういった施策と方向性が合致するものと考えています。

 国の新成長戦略、具体的な施策については、検討中と伺っており、具体的な部分が見えない部分もございますが、基本的な方向性につきましては、県の方向と同じくする部分が多いのではないか、と受け止めています。

松崎       ● むしろ神奈川県の方が、しかも県庁よりも先に、民間あるいは技術者、研究所、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス、あるいは東京工業大学があるが、そういった非常に先を行く取組が神奈川から起きていって、神奈川でいろいろやっていこうとして、かなり具体的なものが見えてきた、という段階でこの成長戦略というものが政府の方で決めた事実経過からすると、神奈川がリードする部分が成長戦略についてもある、と逆に県民の皆様は受け止めてくださっているのかな、というふうに思う。

 昨年、ちょうど1年前の予算委員会で、わが会派として、「神奈川版グリーンニューディール政策への取組」というものを提起させていただいたが、地域経済を支えるという意味での責任と役割を県が負っている、という観点でそういう提起をしているわけだが、今後、そういう今までの取組を踏まえて、国とも連携した成長戦略に取り組んでいく必要があろうかと思う。

 本来、地域主権と言うのだから、政府がこう言うからこうやらなければいけないという以前に、県民の皆様との議論、県議会との議論とかいろいろ踏まえて、神奈川としてこうしたいということを、成長戦略として明確に打ち出す必要があるのではないかと思うが、如何か。

産業活性課長       ○ ただいまの成長戦略につきましては、まだその具体的な施策の部分が見えてこない部分がございますので、それが見えてきた段階でいろいろ検討することになろうと思います。

 一般論になってしまいますけれども、神奈川県では、「神奈川県中小企業活性化推進条例」を制定いたしました。

 この条例の基本理念としまして、国を始め、様々な団体と連携・協働して中小企業活性化に取り組んでいく、という理念をたてております。

 そうした意味におきましても、国との意見交換のチャンネルもありますので、そういった場で、国の施策、考えも聞き、十分把握した上で、効果的な連携が図れるように取り組んでいきたい、そのように考えております。

松崎       ● 私は、神奈川オリジナルというものがたくさん並ぶ、できれば100なら100、200なら200、見える形でどんどん出てくる。それが、県民の皆さんに実感された段階が本当に成長戦略が戦略たる性格を持つのだと思う。

 その中におそらくは入ってくるであろう「インベスト神奈川セカンドステップ」にも、共同研究を支援するということが盛り込まれている。一例として、県内産業の競争力を強化するという観点で成長戦略としては、どう位置づけていけると見込まれているか。

産業活性課長       ○ 経済成長というのは、労働力をどれだけ投入するか、資本をどれだけ投入するか、イノベーションにより生産性をどう向上させるのか、この3つの要因によって、成長が促進されるということでございます。

そこで私どもとしては、投資を促進すること自体が成長戦略になるだろうと考えています。

 それから併せて、生産性や技術革新という面から申しますと、新興国の技術力の向上、又、円高基調となっている中、厳しい競争環境の中で、本県産業の競争力を強化していくためには、幅広く技術優位性を確保していくことが必要であろうと考えております。

 こうした意味で、セカンドステップにおきましては、引き続き本県に研究開発機能を高度に集積する中で、共同研究開発を促進し、企業のイノベーションを推進することとしたいということです。

 また、その際、共同研究に県内中小企業の参加を義務づけたいと思っています。

 R&Dネットワーク構想のさらなる取組に加えて、こうした共同研究、中小企業との共同研究を義務づけることによって、幅広く技術波及効果を加速させていきたいと思います。

 また、企業誘致室で人材紹介機能を持とうと思っております。研究開発人材から技能人材まで、立地企業の人材確保を支援していきたいと考えております。

また、雇用助成金につきましても、インベスト神奈川では、雇ってくれたら支払うといった報償的なものから、人材育成費用に対する助成という形で、企業が競争力の源泉である技術力や人材を磨くことに対する支援、人材の高度化、人材の価値を上げるということに対して、総合的に支援していくということにセカンドステップでは取り組んでいきたいと考えております。

松崎       ● (要望)成長戦略について伺ったわけだが、投資を呼び込む、それには技術力。では、その技術力は何が源泉になるかといえば「人」。だから、神奈川としては人材育成というところに力を入れていくということが、第一歩であり、スタートであり、そこがまたゴールであるということだと受け止めた。このことにしっかりと取り組んでいただきたい。