平成24年第3回 地方分権・行財政改革特別委員会(12月20日)質疑記録
松崎: 本日は、大まかに言って5点質問させていただきます。
1点目は大枠を少し確認したい事があります。
2点目は県税事務所の再編についてであります。
3点目は緊急財政対策について、
4点目は本庁機関の再編について、
そして最後が、これからの神奈川県のあり方についてであります。
それでは順次、質問させていただきます。まず、大枠について2点ほど確認をさせていただきたいと思います。
1点目ですが、道州制、それから神奈川州構想についての立ち位置とか、見解の現状についてなのでありますが、この総選挙におきまして政権交代が現実化したわけですけれども、それにともなって、例えば神奈川県としての道州制に対しての見解ですとか、神奈川州についての見解に何か変更がありますか。
川瀬広域連携課長: お答えいたします。今回、修正案ということで、現時点の本県の考え方を整理させていただいて、改めてご報告をいたしました。この考え方、道州制をめざしていくという方向において、特区等で直近の部分では、国からの権限移譲を求めていくという考え方について、現時点でその方向を堅持していくということで考えております。
今、お話がございました国の状況につきましては、現時点で、具体的な部分について明らかになっていることはございませんので、今後の国の取組の状況を注視をして、必要な対応については、その時点で改めて検討していくということで考えているところでございます。以上でございます。
松崎: そうするとつまり、神奈川県としての考え方は、地域主権型ということでもあるわけですけれども、基本的には変わりはないと。国の方でいろいろな動向があった場合には、それについてまた着実に対応を考えると、こういうことですね。
川瀬広域連携課長: 現時点ではそのように考えております。以上でございます。
松崎: では2点目ですが、行財政改革について伺います。
緊急財政対策についてですが、大枠の確認事項としてお聞きするのは、目標としている金額、緊急財政対策で一体どれだけの金額を目標としているのか、お答えください。
落合予算調整課副課長: お答え申し上げます。
緊急財政対策につきましては、全ての事務事業について聖域を設けず、ゼロベースから徹底的な見直しを行うこととしておりまして、具体的な削減目標額という点では、今定めておりません。
ただ、平成25年度には700億円、26年度に至っては900億円、2箇年合わせて1,600億円の財源不足が見込まれておりますが、現状においては、この解消の目途が立っていません。
そうしたことから、歳入歳出両面からの取組みを行って、直面している財源不足1,600億円を解消すること、これが目標額になろうかと思います。
松崎: 明確に1,600億円ということが出されたと理解したいのですが、それでよろしいですか。
落合予算調整課副課長: この1,600億円を解消しないことには、本県の予算を編成できませんので、そのように考えていただいて結構です。
中村財政部長: 今の1,600億円というのは、歳出の削減だけではなくて、歳入の確保を含めた1,600億円でございます。
松崎: では2点目ですが、行財政改革について伺います。
緊急財政対策についてですが、大枠の確認事項としてお聞きするのは、目標としている金額、緊急財政対策で一体どれだけの金額を目標としているのか、お答えください。
川瀬広域連携課長: 現時点ではそのように考えております。以上でございます。
松崎: 財政の件、当然だと思います。そうすると、更に聞きたくなるのですが、来年度予算編成を行い、次回定例会の2月上旬位には当初予算案が固めて出されることになると思うのですが、そうすると平成25年度当初予算については、その目標達成のための重要な予算ということになってくると思うのです。
中村財政部長がおっしゃるように、達成目標は歳出削減と歳入確保の両方を足し合わせての1,600億円です。そうすると、平成25年度当初予算というのは、今この特別委員会に所属している私としては、その当初予算についてどういうイメージを持っていればよいのでしょうか。
中村財政部長: 平成25年度については、700億円の財源不足を見込んでおります。
本日ご説明をいたしましたように、まず人件費の削減を大幅にやらせていただきますけれども、その分で160億円埋めるという状況、その他に、緊急財政対策で、あらゆる施策事業について見直しを進めています。
あわせて、地方交付税の増額確保ということも、毎年この年末に向けて取り組ませていただいております。
ただ、来年につきましては選挙の結果もございますので、地方財政対策自体が1ヶ月以上遅れるという情報がありますから、そういった時期なども見極めながら、歳入・歳出両面から、あらゆる手段を講じてまいります。
基本的に歳入と歳出がイコールにならなければ予算が組めませんので、仮に、そういうことが出来ないとなると、翌年度の税収を繰り上げて充用するという、まさしく、本当の財政危機になるという、そのようなことにならないよう、今一生懸命査定作業を詰めて進めているところであります。
松崎: そうすると、私の理解といたしましては、当面財源不足額として見込んでいる700億円について、このリスクを含めた件の払拭をしたいということだと思うのです。
大枠の確認だけなので、次に移りますが、緊急財政対策を見ていますと、昨日行われた各8つの常任委員会において、それぞれ所管している部局から責任ある方々の言葉で、我が所管している部局においては斯く斯く云々こういう形で進めますというご説明をわりとはっきりと出されたのですが、これ各局がそれぞれ出しているというのは、議席を得て議会に来ている者としては、そういうふうに映るのですけれども、各局がそれぞれ自分の所管している部局の事業などについて、ああしようこうしよう、2年かけます、1年かけますとわりと出してくるのですけれども、それというのは、行司が力士を兼ねているような感じを受けてしまうのです。
もう少し客観性というか、県民にとって本当にこれを切ってしまって大丈夫なのか、あるいは逆にここのところはもっと切り込みが必要なのではないかという形で、もし各局が自分の所管している事業や施設などについて言うのであれば、客観性をどうやって担保するのかと思うのですが、その辺はどうなっていますか。大丈夫ですか。
落合予算調整課副課長: 緊急財政対策につきましては、まず、知事をトップといたします緊急財政対策本部、ここにおきまして、大きな方針を決定して、全庁的に意思統一をした上で取組みを行っているという状況でございます。
こうした方針のもとに、各所管施設や各所管事業につきまして、それらに精通している各局を主体として検討を進めておりますけれども、最終的には、先ほど申し上げました対策本部において、県としての意思決定をさせていただいております。
松崎: 後ほど、もう一度詳しく掘り下げてお聞きしますので、今のお答えをお聞きしておきます。
もう一点、行財政改革で欠かせないのが、行政改革という部分でありますので、そこについて1点だけお聞きしますが、事務事業評価、あるいは県庁版の仕分け、こちらの方もわりと本来切られる側である筈の当局の意向とか色合いが、何でこの事業を選ぶのだろうと率直に感じることがあるのですが、この辺についてももう少し客観性というものを、棚に乗せてどうするか検討する時に色々な外部の人の意見を入れている事を以って客観性を担保しているというのですが、それは少々違っていて、実は、何を棚に乗せるかを選ぶ、抽出する時に、県民目線、利用者側のお客様の側の視点をもっと入れて、しかも大胆に取り組まなければいけないと思うのですが、それはどうなのですか。所管課の方の意見があったらお聞かせいただけますか。
平田行政改革課長: 事務事業評価が当局主導になっているのではないかということでございますが、事務事業評価について、外部評価として、外部の方に見ていただく今の形をとらせていただくことになって、ちょうど3年目になります。
年次の区切りでいきますと、30年以上経っている事業、また15年~30年の間の事業、そして、今年度は15年未満の事業という形で3年間でちょうど1ローテーション終わったような形になっております。
外部の点検チームの方に何を見ていただくかというところの選定にあたりましては、なるべく県民の方々にわかりやすいと思われるような事業を選択させていただいている。また、事業の金額、そうしたものを勘案させていただいて選定させていただいているところであります。
ただ、今、緊急財政対策という枠組の中で、全ての施策・事業について根底に立ち返って徹底して見直しを行う動きになってございます。そうしたことから、この事務事業評価につきましても、より効果的な実施方法を検討してまいりたいと考えているところでございます。
松崎: 折角、平田行政課長から検討しますという、前向きなお答えをいただきましたので、お聞きしますけれども、それはいつまでに検討するのでしょうか。そして、いつから改めた新しいものに変えるのでしょうか。
平田行政改革課長: 来年度の事務事業評価を、外部評価を含めましてどういう形でやるかという事について、今検討を進めてさせていただいているところでございます。
松崎: では、何をどういう形で進めるかは、全部そちらの裁量なのかも知れませんが、裁量だと言い切れないようなぐらいに厳しい財政状況を背景として緊急財政対策が行われているわけですから、そういう事を旨として取り組んでいただくようにお願いいたします。
どういうものが次に立ち上げるかで、会派としても一議員としても、また然るべき機会に取り上げるかも知れません。
県税事務所の再編について
松崎: 県税事務所の再編について、他の委員も取り上げていたが、私も角度を変えてお聞きしたい。県税事務所の機能を強化すると税制企画課長が言っているように、適正公平な賦課徴収を通じて、更なる納付率の向上による税収確保を図るという考え方は理解できる。
私も前から指摘してきたが、専門性の高い事務になるべく力を注ぎたい、集中させたいという考え方と、もう一つは、中にある無駄とか、あるいは他の人でも代われる属人的ではない事務は、なるべく代わっていただいて、代われない事務へ力を注ごうという考え方、つまりは、専門性の高いところに特化していくということと、効率化を同時に達成しようというのが、大きな考え方だと思う。それは、先ほど行政改革課長が言っていた県庁全体の行政改革ということに通じるし、本県がずっとやってきた行政システム改革も、そういう流れである。
そこでお聞きしたいが、昨日の総務政策常任委員会や今朝の報道などにも、この点については出ているが、私が観点を変えて考える必要があると思うのは、県税事務所の事務における民間委託について、どのように考えているのかについてである。そこで、民間委託化の実施状況はどうなのか、そして、どういう効果が上がっているのかを、お答えいただきたい。
長谷川税制企画課長: 県税事務の民間委託化ということでございますけれども、本県では、平成20年度から自動車取得税と自動車税、自動車二税と言っておりますけれども、これらの事務について、民間委託を導入しております。
大きく分けますと3つございまして、1つが、いわゆる自動車税関係の各種電算入力事務、これを20年4月から委託をいたしまして、その結果、それまで各事務所でそれぞれ行っていた入力事務が一元化・集約化されて、効率的かつ迅速に行えるようになり、併せて、県税事務所の事務負担も軽減されたという効果がございました。
それから2つ目が、自動車税コールセンターというものを20年8月に開設をいたしまして、ここでは自動車税に関するお問い合わせを電話で一元的に受け付けるとともに、自動車税を納めていただいていない方に納付を呼び掛けるという、二つの業務を併せて実施しております。
なお、開設した当時は、こうした2つの業務を併せて民間委託するというのは全国でも極めて珍しく、都道府県では初だと認識しておりますし、席数は30、これも当時では全国最大規模という形でスタートさせていただきました。
この実績といたしましては、まず、お問い合わせへの応答でございますけども、23年度年間で8万1千件でございます。それから、納付の呼び掛けでございますけれども、年間で約4万5千件の呼び掛けをいたしまして、この呼び掛け業務の期間中に収入化されたものが、約1万件ということでございますので、県税事務の省力化、それから納付率の向上にもつながっているところでございます。
3つ目でございますが、自動車を登録する運輸支局に自動車税管理事務所の駐在事務所が併設されておりますけども、ここで行っている自動車取得税・自動車税の申告等の受付業務の民間委託を、21年4月から順次実施をしております。
主な効果でございますけれども、どうしても自動車の登録というのは、月末にかなり集中する傾向がございますので、かなり窓口が混雑し、場合によっては建物の外まで並んでいただくような状況がございましたけれども、民間委託によりまして、多いときにはより多く人員配置をするというような柔軟な対応が可能となりましたので、混雑の緩和・改善につながったというのが一番大きな効果と認識してございます。
松崎: 今、税制企画課長から報告があった3点、電算入力、コールセンター、運輸支局併置の本県機関。お聞きしていると、実績は確実に上がっているんだということがよく分かった。そこでお聞きするが、自動車二税における民間委託の実績を踏まえて、なぜ他の税目に拡大しないのか。
長谷川税制企画課長: 今お答えさせていただきました自動車二税でございますけども、県税の中でも最も件数が多い自動車税は、年間に250万を超える台数の課税がございまして、極めて量が多いということがございます。それに加えて、反復・継続的に生じる事務が非常に多いということがございますので、県税の中でも最も民間委託に馴染みやすいということで、まず実施をさせていただいたということでございます。
こういった実績がございますけども、自動車二税のやり方を、若干性格が異なります他の税目、例えば法人事業税などにそのまま当てはめられるかというと、これはなかなか一概には難しい面があると思っております。
自動車二税以外に民間委託化をするに当たりましては、かなり様々な観点の検討が必要でございます。特に税務の事務は、かなり公権力性が強い事務であります。したがって、公権力の行使に当たらないのかどうか、あるいは税理士法の規定に抵触しないかどうかということをまず考えなければいけないですし、その次に、いわゆる定型的でマニュアル化できるような事務であるかどうかや、民間委託化の効果を生み出せるだけの事務量があるかどうかということが、大事なポイントだと思っております。それからもう1点は、かなりたくさんの個人情報を扱いますので、その個人情報の保護をどうやって図っていくのかということも、大事な視点であると思います。
これらのことを考えた上で、民間委託が本当に納税者のサービスにつながるのか、そして税収確保に寄与するものなのかというところも含めて、様々な観点から十分な検討をしていかなければいけないと認識をしております。
松崎: 私は覚えているが、平成20年の導入の頃、当局は、まず自動車二税からと言っていたはずで、その他のものについては、かくかくしかじかというような答弁があったが、そのようには言ってなかったというのが私の記憶である。
それはともかくとして、今の4つの条件、公権力性と定型性と事務量と、もう一つが個人情報。そこでお聞きしたいが、例えば、自動車税関係で既に民間委託化を実現し、実績が上がっている入力事務や申告書の受付といったところに、公権力性あるいは処分性はあるのか。あるいは、逆に定型性はないのか。それから、事務量は膨大ではないのか。 そして、個人情報保護、これは的確なルールを定めて、制裁とかペナルティー、罰則などもきちっと備えておけばクリアできるのではないか。こういったことを考慮すると、入力事務とか申告書の受付といったところは、すぐにでも民間委託化できるのではないか。
長谷川税制企画課長: 御指摘のとおりでありまして、入力事務ですとか申告書の受付だけに着目すれば、民間委託が可能な事務はございます。ただ、先ほど申し上げましたとおり、自動車税につきましては、申告の件数で申し上げますと100万件を超えるようなボリュームがあります。これを4箇所の駐在事務所で受け付けているということで、一定程度集約化されているという面があります。
一方、次に申告等や入力事務が多いものになりますと、やはり法人二税でございますけれども、これは年間で約20万件ということで、相対的に自動車税に比較するとボリュームが少ないということもございますし、例えば入力、あるいは申告を受け付けたときに、申告書の記載内容の形式的な確認ですとか、添付書類ですとか、法人の規模などによってそれぞれ違ってきますので、自動車税に比べると、若干複雑な面があるという側面もございます。
したがって、先ほど申し上げましたように、一つひとつの事務を見ますと、民間委託が可能な事務もありますけども、やはり、民間委託の効果が生み出せるまでの事務量というのは、なかなか難しいのではないかという考えがございます。
ただ、私どもも、民間委託化は内部事務の省力化・効率化に寄与するという認識がございまして、自動車二税の民間委託を始めた後も検討はしております。今回、平成26年度に県税事務所を再編するという方向に向けて、様々な事務の見直しを進めているところでありますが、その中で、例えば一つひとつの業務では難しいですけども、いくつかの業務を組み合わせて、ボリュームをもたせて民間委託をするような方法ができるかどうか、そのようなことも含めまして、内部事務の見直しの中で十分検討を進めていきたいと考えてございます。
松崎: 今の答弁、最初は消極的なのかと思ってずっと聞いていたが、最後は積極的な感じを受けた。県税事務所の再編は26年度からであり、それと機を合わせてという答弁なので、そこのところはしっかりと御検討いただいて、結果をきちんと出していただきたいと思う。事務量の点についても、いくつか事務を複合的に民間委託化することによってクリアできるような見通しをお持ちのようなので、しっかりと取り組んでいただきたいと思う。
とにかく、県税事務所の機能強化と効率化を同時に進めるということで、再編の年限を切っている以上は、そこでやっぱり一つの出口というか、どういう形でアウトプットするのかということを、内容面にもわたって、しっかりと県民の前に御説明いただけるよう検討と熟考をお願いしたい。
緊急財政対策について
松崎: 続きまして、緊急財政対策について伺っていきます。お聞きするのは、県民利用施設の関係と補助金の関係の2点です。
まず、お配りいただいている資料で説明をいただいているのですけれども、分からない事があります。それは、県有施設について、一番最初、議員である私自身を含めて受けたのは、県有施設の全廃という事からこの話は始まっているのですが、県民利用施設について、これまで市町村とか利用者と具体的にどのように調整してきたのか、簡潔にお答え願います。
平田行政改革課長: 利用者を含めた県民の方々に対しましては、県内各地で、対話の広場だとか県民説明会の場などを利用しまして、知事あるいは副知事から直接、説明や意見交換の場を設けさせていただきました。
また、県民利用施設の見直しにあたりましては、移譲を検討する施設に限らず、その見直しの内容によっては、まず地元市町村に与える影響が非常に大きいのではないかという事から、これまでの間、市町村を中心に説明に努めてきたところでございます。
説明にあたりましては、個別の施設につきまして、所管局から直接説明を行うのが良いのか、または窓口を集約化してまとめて説明するのが良いのか、市町村のご意向を聞きながら丁寧に対応しているところでございます。また、利用者や利用団体の方々につきましても、県民センターをはじめいくつかの施設で説明を行い、意見を聞いているところでございます。
松崎: 市町村を主にというのは分かるのですけれども、今お話をされるのか、会合を持たれるという場合もありますけれども、有償で譲渡するのか、無償で譲渡するのかとか、そういうことが決まってなくて、調整とか相談をされても、される側の市町村はたまったものではないと思うのですが、その辺どうお考えですか。
平田行政改革課長: 緊急財政対策として、検討の方向性、それぞれ移譲を含めた検討という形でお示ししたのは、県の内部で検討した結果をお示ししたものでございます。
そうしたことから、まず、そうした県の方向性を整理するに至った考え方、これをまず市町村の方々に丁寧にご説明して、その中で、市町村の方の考えをよく聞きながら、移譲に当たってどのような事が課題になっているか、それを整理しながら調整を進めているというところでございます
。
松崎: 確かに、議会の場で答弁するとなると、今のようなお答えになるのだろうなというのは想定の範囲内なのですけれども、現実問題として、基本的な事項がはっきりと定まらない中で、移譲を検討すると書いているものがあるわけですけれども、そのような移譲にあたって、どういう考えですよという条件というものは、県として示してもらわないと、市町村は、これ移譲してくれと別に頼んでいたものではないというのが実際のところだったりするわけですから、その辺何か移譲にあたっての条件等はお示しになったのでしょうか。
平田行政改革課長: 現時点での調整状況といたしましては、まず市町村の方に私どもの考え方をご説明して、市町村の方がどう受け止められたか、そのご意見を頂戴しているところでございます。具体的には、今委員がお話されましたように、
・今の状況で何も不満がないので引き続き県で管理運営してもらいたい。
・市町村も財政状況が非常に厳しいので、維持管理費がネックになる。
・移譲を受けるメリットは何なのか。
・利用者にとってのメリットは何なのか。
・施設によっては、老朽化しているではないか。
など、そのような様々な意見を、それぞれご説明に上がった時点で頂戴しております。
そうした移譲にあたっての課題を、これからどのように解消していくか、その着地点を見出していくかということを、今検討しているところでございます。
松崎: 確かにそうです。最後の答弁が一番リアルな感じがして、おそらくは担当者の人も県の側の人も、どうしていったら良いものかと考えていらっしゃると思うのです。
ただ、一方で緊急財政対策を打ち出して、先ほどご説明いただきましたように、原理原則からすると、色々な出っ張り引っ込みを含めてですけれども、1,600億円、来年度に限って言うと、700億円の財源不足をしっかり念頭におく取り組む事になってきます。そうしますと、色々な事でぎしぎしと軋みが音を立てながら起きてくると私は思います。
もう一つ考えなければいけない、当然の事ですけれども、県民の皆様、利用者の皆様に対して、ではどういうふうに向き合うのかという事です。
具体的な見直し内容が今の段階で明らかでないというのが、どうしてもネックとしてあるので、今の段階で利用者の皆様に具体的な意見を言ってくださいと言っても、意見が出ないのではないかと思います。個々の施設の見直し内容が具体的に明らかにされた段階で改めて県民意見を募るという必要性が私はあると思うのですが、今後パブリックコメントなどを実施する、あるいは県民の皆様からどういう形で意見を、具体化した段階で募るのか、具体化したからといって、それに対して県民の皆様から猛烈な反発があった場合に、これは改めて修正なり考え方を見直すという事は考えているのかお聞かせいただけますでしょうか。
平田行政改革課長: まずは、私どもが示した検討の方向性の考え方につきましては、例えばそれぞれの県民利用施設におきまして、県としてはこういうふうに考えているのだという今の時点でご説明してご意見を伺う事も必要だと思います。ただ、委員がお話されましたように、もう少し方向性がはっきりした段階で意見を伺う必要も確かにあろうかと思います。
今後のスケジュールといたしましては、県民利用施設の見直しにつきましては、来年度前半には一定の方向性についての結論を出していきたいと考えています。
そういうスケジュール感を見ていきますと、来年の第1回定例会で、施設の見直しに関する県としてのロードマップを何らかの形で示していきたいと考えておりまして、これに合わせて、パブリックコメントのように広く県民の方々から意見を伺うという機会も設けていきたいと考えているところでございます。
松崎: 少し観点を変えまして、「別添資料2」のところに県単独補助金の調整状況と書いてありますけれども、こちらの方もお聞きします。
この補助金について、市町村、関係団体とどのように調整してきたのかをお伺いします。
落合予算調整課副課長: 市町村に対して、知事から市町村長、あるいは副知事から副市町村長、または課長から課長へと、機会を捉えて丁寧にご説明を行ってまいりました。
また、各局におきましても、市町村の担当部局に対して、緊急財政対策の対象となっている補助金について、それぞれ情報提供を行ったうえで、現在調整に臨んでいるという状況です。また、団体の皆様に対しましても、各局において、まず本県の財政状況と今回の緊急財政対策の取組みについてご説明をした上で、補助金の見直し等について、ご協力をいただくよう調整を進めているという状況です。
現在、できる限り、平成25年度当初予算に反映すべく取組みを行っているところでありますけれども、市町村・団体ともに予算、事業計画の策定を進めておりまして、時間的制約もあると考えられますので、年内を目途に見直しの方向性が整ったものについては、平成25年度予算に反映し、それが難しいものについては、平成26年度以降の見直しにつきまして、引き続き調整をさせていただいているという状況でございます。
松崎: 今の答弁ぶりから察するしかできないというのは、つまり資料のどんなところを調べても、その内容がブラックボックスになっているのです。
でも、実際に財政当局の中では相当な削り込みをして、手元の中で実は集計して、総額も大体把握しておられる。ただ、それは色々な諸条件を精査しなければならないから、日々上下動するくらいの、かなりギリギリしたやりとりをしているやに仄聞しております。敢えて調整中であったり、センシティブなものが山のようにあるから、ここでそれを一々質問しませんけれども、少なくともお聞きしたいのは、何時ごろ見直し内容について公表する考えなのですか。
落合予算調整課副課長: 現在調整を進めておりまして、先ほど申し上げましたように、年内を目途に平成25年度当初予算への反映の可否を見極めていきたいと考えており、その上で、第1回定例会におきまして、平成26年度以降の見直しの方向性も含めまして、ロードマップを公表させていただきたいと考えております。
その際には、市町村や団体、県民の方々にも、なるべく分かりやすい形で「見える化」していくことが必要と考えております。
松崎: ある意味、予算にはいくつか原則があるのですが、その中で言うと、原則に沿った落合副課長のお答えだと思うのですが、そうは言っても、せーのドンみたいな感じで、何百という項目についてあれは30%、これは50%、これはゼロ、あればどうだと出してしまうと、原理原則はそうなのですけれども、それで本当に事足れりとされるのかどうか、という事を私は大変危惧します。それによって、関係団体だけでなく、県民の皆様とかマスコミの方を含めて、県は一体何だという話で、説明責任をこれで果たしたと言えるのかという話に私はなると思うのです。その辺、もう少し丁寧さが必要なのですが、その辺どのように考えていますか。
落合予算調整課副課長: 個々の補助金の状況につきましては、それぞれ様々な背景等ございますので、一律に明らかにすることはできないと思いますけれども、平成25年度当初予算編成に向けては、今後時間的な制約もございますけれども、丁寧に調整を進めているところでございます。また、調整が整わない場合は、私どもの方から一方的に削減という事は考えてございませんので、丁寧に調整を進めさせていただきたいと思っております。
松崎: 私は責任会派、責任政党と思っていますし、実際そうでありますので、総論賛成、各論反対、自分の関係する団体については絶対認めないぞというようなオンパレードを始めると、全て止まってしまいますから、そのような主義はとらないのですけれども、ただそうは言っても、生活の基盤をバーンと引き抜くような、そういうカットのようなものがオンパレードで続いてしまうような、もし財政改革、補助金の見直しがはじまるのだったら、それはちょっとストップをかけなければいけないと思っています。
ですから、そういった事を含めて聞いているのですが、丁寧さというかそういうところをよく説明をして、整わないところについては時間をかけたいという考えを財政当局が持っているという事ですから、そこを取り敢えず、今の段階では、資料はないのですが、信用しますから、実際そうでなかった場合には、きちんとやらせていただきます。
ですけれども、そこは覚悟を持ってお進めになると思うので、また、先ほど中村財政部長からご説明がありましたとおり、財政危機は深刻ですから、そういうところの観点はしっかり持っていますので、進め方、県民の生活とか産業の基盤、基本的なところで、ガクッと落ち込むような事が明らかなようなやり方というのは、私は取るべきではないと思っていますが、基本的には財政、その中で、しっかりと相手方の理解と協力が得られる形で進めていただきたいと思います。
本庁機関の再編について
松 崎: それでは続きまして本庁機関の再編について、何点か伺ってまいります。
まず、9月に一旦本庁機関の再編をお示しになっていますが、その時議会でも議論があった訳ですけれども、これをどのように見直されたのかを簡潔にご説明ください。
大竹人材課長: 9月にお示しした再編案でございますけれども、議会から様々なご意見をいただきました。主なものを3つ申し上げますと、特に高齢福祉と障害福祉といった福祉の部門について、これは引き続き保健福祉局の中でやるべきではないかというご意見。それから当初、経済局という局の名前をご提示していましたけれども、労働という名前を名称から落としていいのかというご意見。あと、当初、政策局に位置付ける案となっておりました国際部門につきましては、県民生活の視点が必要ではないかというご意見をいただいたところでございます。
こうしたご意見をいただきまして、改めて庁内で検討を行いまして、9月にお示しした案から、今回の再編案におきましては、今申し上げた高齢福祉、障害福祉につきましては、引き続き保健福祉局が所管する。保健福祉局からは、次世代育成部門を県民局に移管して、一元化して次世代育成の取り組みを進めていく。
また、商工労働局については、新たな局の名称を、経済局から産業労働局という形にしております。さらに、国際関係業務についても、引き続き県民局が所管する形で戻したというところでございます。
大きな見直しの点は以上でございます。
松 崎: 今の答弁を聞いていますと、やはり県民代表である本県議会における各議員からの意見というものが当局の最初の再編案に影響を与えて、今回出された再編案になっていると理解しているのですけれども、確認ですがそれでいいですか。
大竹人材課長: 組織再編に関しましては、いろいろな観点がございます。今回いただいたご意見を踏まえて、改めて庁内で検討した結果という形でお示しさせていただいたところでございます。
松 崎: 何点か具体的に伺っていきます。
まず、医療と関わりの深い高齢者施策ですとか、障害者施策を引き続き保健福祉局で所管することとしたことは評価しております。一方で、依然として保健福祉局の規模は大きい訳でありまして、意思決定の迅速化という課題があったはずなのですけれど、これについてはどう解消していきますか
。
大竹人材課長: 保健福祉局は、現在の規模で2千人を超えるということで大変大きな規模でございます。この意思決定の迅速化をどう図っていくのかということは、ひとつ大きな課題でありましたけれども、それにもまして医療と介護の連携という同じ局の中で取り組んでいくということが重要という観点から、今回、次世代育成を県民局に移管したということでございます。
この結果、相変わらず保健福祉局につきましては引き続き規模が大きいというところでございます。何とかしていくために、局内を大きく保健医療、福祉、生活衛生という部門に区分いたしまして、特に福祉部門につきましては、局長級の福祉政策担当の参事監を専任で、新たに設置いたしまして、意思決定の迅速化を図っていきたいと考えております。この新たな参事監につきましては、福祉に関する局長の職務のうち、高齢福祉、障害福祉またその他の福祉施策に関する総合調整を持たせて、担当の職務に関する決裁権限も持たせる中で意思決定の迅速化を図っていきたいと考えております。
松 崎: その参事監は、同時に県民局の次世代育成についても、参事監を兼任する形ですか。
大竹人材課長: 保健福祉局から県民局に次世代育成部門を移す訳ですけれども、相変わらず次世代育成の部門につきましても、福祉との連携、保健福祉局との連携が必要になってくるということから、今ご指摘があったように県民局に次世代育成の参事監を置きまして、同一人物が兼任するということで、局を越えた連携を図っていくということを考えております。
松 崎: そうすると、先ほど別の委員から質問があった、これまでも他の常任委員会等で質問があったクロスファンクションですけれども、この場合、1人の参事監という人は、クロスファンクションを参事監ご自身がなさるということですか。
大竹人材課長: 特に次世代育成と福祉との連携という観点については、まさに参事監が両局を取り持ち、調整するということでございます。
松 崎: そうしますと、お子様からご高齢の方々にまでという広さが保健行政の特徴ですよね。本県の場合には、急速に高齢化の進む地域もこれからたくさん出てくると思われて、一方で、子育て支援というのも、量の子育て支援から質を高めた子育て支援をどうするか。あるいは、子どもたちの抱える様々な障害ですとか、生活環境の問題とか、そこら辺をどうするかという風に非常に政策的な深まりというときれいな言い方なのですけれど、実際には、やることがたくさん出てきて、どういう風に予算を取っていくのか、国とどういう風に組むのか、戦うのかという細かいいろいろなことが出てくる。そういうことを一人の人がやらなければならない。逆に参事監は保健福祉局長が負っている責務より場面によっては重くなるし、実際に決裁は迅速にしなければいけないという場面も出てくると思うのですけれど、局との関わりというと逆に大丈夫ですか。
大竹人材課長: 今申し上げたとおり、保健福祉局が非常に大きな課題を抱えている、大きな問題を抱えているということですので、保健福祉局内を保健医療、福祉、生活衛生という大きな3つのブロックに分けていきます。このうちの福祉部門に関してこの参事監に意思決定の権限を付与していきたいと考えておりますが、次世代育成の部門につきましては、調整をしていくということになろうかと思います。ですから、全体を全部決裁権限を持つというよりも、保健福祉局の中で保健福祉局長が持っている権限の中の特に福祉部門に関しては、専決してやっていただく。あと、次世代育成に関しては施策連携が非常に必要になってくると思いますので、県民局と保健福祉局の次世代育成の部分に関する施策連携を図っていく役割を果たしていく。こんな形を考えているところでございます。
松 崎: 聞いているとなるほどという感じになるのですけれど、たぶん実際動き出すと様々な課題も出てきて、絵に描いたこと、想定したこととはまた違うこともたくさん起きるかと思うので、そういったところは当局の中の話ですから、そちらの作業に帰するところだと思うので、そこをよく連携していただいて、私が心配するのは唯一県民利用者の方々にご不便がかかる方に動くのか、それとも、付加価値が高まって、より神奈川県という組織が存在してよかったという風になるのか。この2つに1つですから、もちろんよかったという方になってほしいと私は願っております。
もう一つお聞きしますけれども、商工労働局が、今ちょっとご説明があったように、産業労働局に変更するとなっていて、目玉として、エネルギー部門が環境農政局から移管をされるということであります。どういう効果を狙っているのかお聞かせいただけますか。
大竹人材課長: このたびエネルギー部門を環境農政局から商工労働局に移して、より一層産業の活性化を強めていくということで、産業労働局という名称に変更いたします。エネルギー部門を移管するということに関しましての効果でございますが、現状も太陽光などの再生可能エネルギー、それから電気自動車だけではなくて、水素エネルギーなどをはじめとした、次世代自動車の普及等々、こういったエネルギー関係につきましては、産業関連で、市場が急速に拡大しているという状況が今後も予想されるところでございます。
こうした中で、エネルギー関連分野を産業労働局に移管することによりまして、例えばエネルギー関連企業の誘致、集積や育成、また、新たな技術開発が期待される分野への中小企業の新規参入促進、ベンチャーの事業化促進などをやっていく中で、県内産業の活性化につなげていくことができるのではないかと思います。
具体的に申し上げますと、現在、エネルギー関連分野におきまして、ベンチャーが取り組むプロジェクトを募集して、神奈川での起業化ですとか、事業化を支援する取組みなども行っておりますが、こうした取組みについても産業労働局が所管することで、今産業労働局の中にあるいろいろな蓄積があるところで、より効果的な事業展開が可能になると考えているところです。
松 崎: これは、別途特別委員会、エネルギー関係もございますので、環境農政なのか、産業労働なのか、そうした特別委員会の中で議論があると思うのですよ。組織再編ということでお聞きしていますが、知事は太陽光に関することが目玉だった訳ですよね。これが補助金については、今年度限りだと、この間記者会見でも述べられていて、本会議でも答弁があった訳ですけれども、本県としての取り組む部分と産業政策というと少し色合いが違ってくる。他の産業との関連も踏まえてどうなのかと。どういう風に振興させて、雇用に繋げるだとか。そっちの方面だと思うのですね。そういった視野の広がりみたいな部分とかそういうものも含めて取り組んでいっていただければと思っています。
あと、この関係の質問では、最後にもう一つですけれど、基地対策についてお聞きします。9月の再編案の時には、国際・基地部門として政策局に位置付けられていたと思うのですけど、今回どのように見直してこうなったのか。また、今回の再編で基地対策業務の強化がどのように図られているのか、併せてお聞きします。
大竹人材課長: 9月にお示しいたしました再編案では、委員ご指摘のとおり国際・基地部門ということで、政策局に位置付けさせていただきました。ただ、先ほどご説明したとおり、国際関連業務につきましては、例えば外国籍県民の方々への支援など県民生活の視点が大事だというご意見等々も踏まえまして、今回の再編案では国際部門につきましては、引き続き県民局に位置付けるということにいたしました。
一方、基地対策部門でございますが、本県として一層の取組みの強化が必要でございます。今回の再編におきましては、所管を政策局に移しまして、政策局の中に基地対策部基地対策課という形で置付けることとしたところでございます。
ご指摘のとおり、基地対策につきましては、昨今、オスプレイですとか米軍人による事件事故など、県内の米軍基地をめぐる様々な課題が山積しております。在日米軍ですとか米国大使館、外務省等々、国内外の諸機関との高度な折衝ですとか県内市町村との調整が今まで以上に必要になってくると考えております。
そこで、今回の再編に伴いまして、政策局の中に、基地渉外担当の参事監を局長級でございますが、新たに設置いたします。体外的な交渉につきましては、強くやっていく必要があることから、こういう職を設置しまして、基地対策業務への取組みの一層の強化を図ってまいりたいと考えております。
松 崎: ご答弁いただいた人材課長ご自身が基地対策をずいぶん長くやってこられたことも知っていますけれども、そこで1点だけ、基地対策業務の強化をどのように図られるのかということをお聞きしているので、やはりアメリカ軍との関係、それから日米安全保障改正を県としてやっていかなければならない。さらには、本県としては、災害にあった時の支援の関係、自衛隊を含めて。いくつか系図があると思います。そういった意味で言うと、そこをコマンドするという訳ではないですが、統括して、どういう風に一貫性を持って、本県として対処していくのかという問題があります。もう1つは日米という意味もありますけど、地位協定の関係が大きな問題とされてきていまして、本県もそうでしょう。そういった意味では、基地対策部門の強化を図られるということですので、よろしくお願いしたいと思います。
改めまして、要望することはそれぞれで申し上げましたので、ありませんけれども、しっかりと再編の効果を検証して、県民サービスに繋げるということには変わりがありませんのでその点をよろしくお願いします。
これからの神奈川県のあり方について
松 崎: それでは最後、これからの神奈川県のあり方ということについて、何点か伺っていきます。
この点については、ずいぶんと取り上げてきたのは、わが会派も同様でございます。それで、市町村からの意見というものが出されて、あまり沢山は数が出ていないのかな、という気もするんですけれども、修正案に反映させる時に、何に一番注意されたのか、あるいは、どういう視点を持って市町村の意見を聞いておられたのか、ということをお聞きします。
川瀬広域連携課長: お答えいたします。市町村と県の関係につきましては、このあり方の検討だけではなくて、従来から、さまざまな場面で意見交換を行っております。
権限移譲につきましても、別に、協議をする場面というのを常設しておりますので、改めて市町村からご意見を伺うにあたっては、やはりもう少し大きな視点からご意見をいただくと、現状の権限移譲の仕組みを超えた形で、どのような考えをお持ちなのかということで伺っているところでございますけれども、そういった中でも、やはり市町村としては、今回の緊急財政対策と時期が重なったということもございまして、市町村財政に対する県の支援、あるいは県の考え方について大変心配されている向きが多々ございました。そういったことが、一番多く寄せられた意見でございます。
そうしたことを踏まえまして、今回の修正案におきまして、何点か修正をしております。
例えば、県と市町村の関係で、財政措置のところでございますけれども、市町村の実情に応じた選択できる権限移譲を進めるだけではなくて、それに加えまして、「それに伴う財源措置」というのも、併せて進めるといったことを加えております。
それから、新たな特区制度のところにつきましても、基本的には県が進める新しい神奈川モデルでございますけれども、市町村からの提案を踏まえて、協力できるところは協力する姿勢を示すということで、「県と市町村の創意と工夫」という表現を新たに加えさせていただきました。
それから、市町村間の連携という部分も、今回、改めて確認しているところでございますけれども、そこの県の役割として、近隣市町村間の連携にあたって、広域の枠組みづくり、あるいは市町村間の調整支援についても、県として一定の関わりを持っていくといったところを、改めて記載をさせていただいたところでございます。以上でございます。
松 崎: よくわかりました。それで、これからは、市町村の規模別に意見交換を行うということなんですけれど、それはどういうねらいで、具体的に何かテーマはあるんでしょうか。何かあれば。なかったらないでいいですから。
川瀬広域連携課長: お答えいたします。規模別ということで、一番端的に主張がはっきりしておりますのは、指定都市との関係ということでございますが、指定都市につきましては、11月に、改めて事務レベルでの意見交換の場というものを明確に設けまして、指定都市側が提案する「二重行政」といわれているものについて、個別に検討していくということを、明確に位置づけた意見交換の場を設置をいたしました。
その他の市町村につきまして、特に、中核市、特例市の部分と、あるいは一般市、町村部においては、やはり権限移譲の考え方、あるいは県との連携、補完の考え方について、やはりそれぞれの状況に応じて違う考えをお持ちだということをこれまでいただいておりますので、やはり一定の規模に応じて、意見交換の場を設定していきたいと考えております。
その場のテーマにおいては、中核市、特例市について言えば、やはり権限移譲についてどう考えていくかということが中心になろうかと思いますし、町村部においては、県との連携の部分が中心的な課題になっていくだろうと考えておりますが、その点についても、個々に市町村と調整をしていきたいと考えております。以上でございます。
松 崎: 今、お答えの中にありましたけれど、横浜市との二重行政について、それも含めて横浜市の特別自治市といっている構想の検討状況については、県としてどう把握していますか。
川瀬広域連携課長: お答えいたします。先般、新聞報道等でもございましたけれども、年度初めの段階では、横浜市としては、横浜市の考え方をまとめました「横浜特別自治市大綱」というものを、年内、今月ですけれども、年内に策定するということで、作業を進められていると承知していたところでございますが、国の検討状況等を勘案して、その大綱をまとめる時期を、年をまたいで検討していくということで、先般、議会等でのご報告があったと承知しております。
年をまたいだ以降、いつということについては明確に承知しておりませんけれども、当初予定よりは先に送られたというふうに承知しております。以上でございます。
松 崎: 今回、議会に対して報告していただいた、修正案ということでありますが、最初に案が出て修正案が出たわけですね。案そのものはいつ確定するのでしょう。いつ確定するかということも含めてどう考えているのかお聞かせください。
川瀬広域連携課長: お答えいたします。このあり方につきましては、今回、秋口に説明会、県民説明会や市町村からのご意見をいただくということを行ったわけでございますけれども、引き続き、今申しましたような市町村との意見交換等を行いながら、議論を深めていく課題であろうと受け止めております。
また、このあり方の検討自体は、「地域主権実現のための指針」の中でも、期限を区切るということではなくて検討を進めて行くという整理を、今回させていただいておりますので、今お話のございました次の案と申しますか、案をいつ取れるかということにつきましては、現時点では明確な時期を見積もっておりません。
引き続き、県民の方からのご意見あるいは市町村との意見交換等を重ねるということと、具体的な事例については、庁内でさまざまな場面を活用しながら事例の検討を進めて行くと、新たな神奈川モデルの提案に向けて検討を進めて行くという取組を進めていきたいと考えているところでございます。以上でございます。
松 崎: 案の確定の時期ははっきりしないんだけれど、道州制に対する見解とか、神奈川州についての見解は変更するものではないと、先ほどお答えになりましたよね。
そうすると、案を確定しないんだけれど見解を変えないんだっていう、そういうのって、何となくしっくりこないんですけれど、どうなんでしょう。
川瀬広域連携課長: お答えいたします。道州制に対する考え方につきましては、指針の中で、「道州制をめざす中で」と、そのスタンスは明確に位置づけをしたということでございます。
ただ、その前段のところ、今の地方制度の中で、今回、特区というものを中心的なテーマとして案を作成いたしましたけれども、市町村との関係も含めまして、もう少し、県民の皆様にも具体的なメリットが伝わりやすいような案を作成すべき、というご意見が多々ございましたので、基本的な考え方、方向につきましては、先ほどご答弁いたしましたように、一定のものまで決めているわけでございますが、それではそれを、あり方として今回報告をしたものが最終のものかということにつきましては、引き続き検討をしていきたいということでございます。以上でございます。
松 崎: これで最後ですけれど、新たな特区制度を提案して、併せて施策の例示を増やしていくことが、私も大切なことだと思うんです。最後にお聞きしますけれど、今後どういうふうにこの点については、具体的に取り組んでいくのでしょうか。
川瀬広域連携課長: お答えいたします。新たな特区を活用して、新しい神奈川モデルを提案していくということで、その事例を積み重ねるということが、県民の皆様にもメリットが伝わるひとつの手法になるだろうということでございます。
その新たな神奈川モデルの検討でございますけれども、すでに庁内で、さまざまな場面で、国の権限移譲、あるいは規制緩和のあり方について検討が行われております。
例えば、神奈川の教育を考える調査会といった取り組みも、今行われているわけですけれども、その中でも、結果的にそういった新しい神奈川モデルにつながるような議論というのも行われていると考えておりますので、そうした成果を一定の時期に取りまとめるといったこともしながら、トータルとして一定の時期に県の考え方をまとめられたらということで、取組を進めていきたいと考えております。以上でございます。
松 崎: 縷々、お答えをいただきましたけれど、これからの神奈川県のあり方というのは、同時に日本の、国の形ということにも通じるものがございまして、市町村の意見も大切ですし、それから国民である、一人ひとりの神奈川県に暮らす方々のご意向も、やっぱり十分に捉えていただきたいと思います。
そのためにも、やはり分かり易い説明と、それから県の真意、考えている根幹にあるものが何なのかということを、十分ご説明いただくようお願いしまして、民主党かながわクラブの質問を終わります。