平成26年12月18日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ
○ PM2.5対策(ガソリンベーパー等)について
松崎
PM2.5に関する当委員会への報告もあったところでございます。先の当常任委員会で、私から黒岩知事の積極的な行動を求めさせていただき、九都県市首脳会議、また関東地方知事会議、或いは週刊誌には知事ご自身が寄稿されるなど、積極的な展開をなさっていただき、大変すばらしいことだと思っております。その上で、何点かお聞きします。
まず現状を確認したいのですが、本県における昨年度のPM2.5の環境基準の達成状況はどんな状況なのか。
小林大気水質課長 PM2.5の環境基準の達成状況ですが、平成25年度において、評価の対象となる年間250日以上測定した局は34局ありました。
この34局の中で、環境基準を達成したのは1局のみであり、達成率は3%となっています。
松崎 大変厳しい状況であります。1都3県や全国における環境基準の達成状況はいかがですか。
小林大気水質課長 まず1都3県の状況ですが、平成25年度において、有効な測定局は174局ございました。このうち環境基準を達成したのは1都3県で9局であり、達成率は5%となっています。
次に、全国の状況ですが、実は環境省からは、まだ平成25年度の全国の状況が公表されていません。国の最新のとりまとめは1年前の平成24年度ですが、環境基準の達成率は40.5%となっています。
松崎 これまで県内で広範囲に環境基準値を超過した日について、季節的な特徴があるのか伺いたい。
小林大気水質課長 平成25年度の一年間の状況でご説明します。県内で広範囲に環境基準値を超えた日は、1日に県内10局以上環境基準値を超過した日を目安とすると、平成25年度は延べ16日でした。
このうち、7月の梅雨明け後と8月中旬の猛暑の時期が、広い範囲で環境基準値の超過が集中し、16日のうち延べ11日がこの間に集中しております。
この時期は光化学スモッグ注意報が連続して発令された時期とほぼ重なっています。
一方、冬場は、気象条件から大気が地表付近に滞留しやすく、一般には大気汚染が悪化する時期ですが、PM2.5が広い範囲で環境基準値を超過したのは、11月と12月に各1日、2月が3日と、夏場に比べて少なく、また分散しています。
今年度もこれまでのところ、ほぼ同じような状況にあると考えております。
松崎 春先から夏場にかけてまた心配しているわけです。そこでお聞きしますが、春先から夏場にかけてPM2.5の濃度が上昇している事実があるが、この要因についてどのように考えているか。
小林大気水質課課長 PM2.5の生成メカニズムは複雑で、十分解明されていませんが、考えられる要因として二つほどあげさせていただきます。
一つは、夏場は光化学スモッグが出るということで、ガス状の大気汚染物質が空気中で粒子化する反応が促進されていることが推定されます。
もう一つ、光化学スモッグとPM2.5の原因物質は、窒素酸化物(NOx)と揮発性有機化合物(VOC)の2つが共通しておりますが、特に夏場においては、気温が高いことから、VOCがより揮発しやすくなることが影響しているものと考えています。
松崎 先の定例会、また6月の定例会もそうだったのですが、黒岩知事は知名度が高いわけでして、世論を喚起して、また首都圏全体での取組が必要だ、ということで私どもは広域的な行動を求めたところです。
報告資料によると、この10月に関東地方知事会議に知事が提案したとのことだが、具体的な提案内容について伺いたい。
小林大気水質課課長 提案内容ですが、国内でもガソリンベーパーの大型回収装置を装着しているORVR車の早期義務付けを図るため、国に対して、道路運送車両法に基づく保安基準など法令の改正を実施するよう要請することを提案しました。
提案理由としては、PM2.5及び光化学オキシダントに関する環境基準達成率は低い状況の中、既存の対策だけでは、更なる改善が見込めない。さらに、ガソリンベーパーは、平成14年に国の中央環境審議会で「早期に結論を出すことが適当」と答申されたが、未だに法律による規制は行われていないこと。
一方、欧米では、既に規制されており、この対策の中でも、給油時、走行時、駐車時のあらゆる場面でガソリンベーパーを回収できる、車側での対策であるORVR車の導入が効果的であること。
さらに、米国向けの輸出車は国内でも生産されているが、これらはORVR車であり、国内の自動車メーカーは、技術を持っていること、などから提案したものです。
松崎 関東地方知事会議では、具体的にどのような意見があったのか。また、どのような合意がなされたのか伺いたい。
小林大気水質課長 関東地方知事会議においては、2点ほど質問がありました。
一つ目は、ORVR車とするのに、どのくらいのコストアップになるのかというものです。
これに対して、知事から「大体1万円から2万円くらい」と回答しました。
二つ目は、大型回収装置は、すべての車に搭載できるのか、という質問がありました。
これに対して、米国向けの輸出車にはすぐにでも対応できるが、コンパクトな車はスペースがとりにくいという話を聞いている。しかし、規制を作れば、逆にそういった車を作っていくということになり、市場の創出にもつながると考えている、と回答しました。
このような質疑を経て、最終的には本県の提案どおり、国に要請することで合意されました。
松崎 そこではどのような内容が合意されたのか。
小林大気水質課長 合意の内容については、ORVR車の早期義務づけを法制度化する、これを国に要請することが合意された、ということです。
松崎 次に、11月に九都県市首脳会議にも提案したとのことだが、提案内容について伺いたい。
小林大気水質課長 九都県市首脳会議への提案した内容は、2点ございます。
一つ目は、関東地方知事会議と同じ趣旨・内容で、ORVR車の早期義務付けを、国に対して共同で要請することを提案しました。
もう1点は、ORVR車の早期義務付けの必要性を国民に対して広く認識してもらうために、各種広報媒体による啓発・情報発信を行うほか、九都県市首脳会議から全国に発信することを併せて提案しました。
松崎 九都県市首脳会議では、どのような意見があったのか。また、どのような合意がなされたのか。
小林大気水質課長 九都県市首脳会議の主な質疑内容ですが、ORVR車とした場合、ガソリンスタンド側でも対応が必要か、といった質問や関東地方知事会でもありましたが、コストはどの位かといったものでした。
このなかで、埼玉県の上田知事からは、「この問題は大きく声をあげたらいい」との賛同が示されました。
会議では、本県の提案どおり、国に要請することで合意されました。
松崎 RVR車の早期の法制度化を国に要請した際に、国の反応はどうだったのか伺いたい。
小林大気水質課長 九都県市首脳会議が開催されたのは11月12日ですが、翌日の13日に、九都県市首脳会議を代表して、本県知事が望月環境大臣に面会し、直接要請書を手渡しました。
その際、望月環境大臣からは、要請内容は理解した。環境省としても、ガソリンベーパーを抑制していく必要があると考えている。要請の内容について、国としても、検討していかなければならない。
という話がありました。
一方、国土交通大臣とは面談できませんでしたが、担当部署に要請書を持参しました。
国土交通省の反応は、環境省の所管する中央環境審議会で今後進展があれば、それに従っていくという反応でした。
このようなことから、今後は環境省への働きかけを強める必要があると考えています。
松崎 今年度の初め、6月の定例会に取り上げていた頃と比べると、半年ぐらい経ってかなりの進捗が見られると受け止めました。
今般、当委員会に当局から報告があった中でも、県民の皆様の県ホームページへのアクセス数が800万件を超えているという報告があり、内容を詳細に見ると、昨年度とか一昨年度ではなく、本年度だけでも400万件を超えるアクセスがあるということがわかります。それは非常に県民の皆様の関心があり、県域を越えた関心があるのかな、と受け止めています。
そこで更にお聞きしますが、ORVR車の早期の制度化に向けて、国民に広く周知する必要があると思うが、九都県市首脳会議や関東地方知事会議において議論がなされ、是非取り組もうとなっているわけですが、具体的に今後どのように取り組んでいくのか。
小林大気水質課長 RVR車の制度化に向けて、国を早期に動かすということで、全国的な国民の理解が不可欠と考えています。
そこで、この問題を全国に発信していくため、本県独自の取組に加え、九都県市首脳会議でも共同取組が合意されましたので、本県主導のもと、広く国民に対し周知していきたいと考えております。
具体的には、ガソリンベーパーは目に見えませんので、その排出状況や対策の効果をできるだけわかりやすく視覚に訴えるような工夫ができないか、考えております。
また、月並みではありますが、ポスターの作成や各種のメディアを活用した周知、さらにはORVR車の普及促進をテーマとした議論を展開する、こういったことをやっていきながら、九都県市とも連携して取り組んでいきたいと考えています。
松崎 (要望)積極的な取組をお願いしたい、ということで先般の本会議においても、党の討論の中でも取り上げたこの問題です。知事が積極的な取組をなされていることについては感銘を受けております。
同時に取組をこれからいよいよ進めていかなければならない状況になっている、ということは、発言をした分だけきちんと責任を持って推進をしていく必要があると思います。引き続きの取組を是非求めたいと思います。
特に東京オリンピックがまもなく開催されるという中で、欧米諸外国が既に先進的に取り組んでおり、我が国においても環境省を中心として、やらなければならない、ということを打ち出しており、環境大臣も知事が手交された際にお話をされているということですから、国に対してもより積極的に我が県がリーダー役でしょうから、声を大にして取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。