平成27年3月3日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ
○ 神奈川県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画の変更案について
松崎
12月の常任委員会で、変更素案について報告があり、質問、議論がありました。その後、県民意見募集を受け、今回変更箇所の報告があったところです。それを受けて、何点か伺います。
まず、高濃度PCB廃棄物を処理する「日本環境安全事業㈱」が社名を変更して、「中間貯蔵・環境安全事業㈱」となったとのことですが、PCB処理の事業内容が変更されたのか、確認させていただきたい。
廃棄物指導課長
日本環境安全事業㈱は、PCB廃棄物処理事業を目的とし、日本環境安全事業株式会社法に基づき、国の100%出資により、平成16年4月に設立されました。
この度同法が改正され、平成26年12月24日から「中間貯蔵・環境安全事業㈱」と社名を変更し、東京電力福島第一原子力発電所の原発事故で放出された放射性物質により汚染された廃棄物や土壌等の中間貯蔵が同社の業務として追加されました。
新たな業務が追加されましたが、PCB廃棄物の事業については、今までどおりということで、中間貯蔵とは完全に分離した形で行うと聞いています。同社のPCB処理の事業内容に変更はないものと考えております。
松崎 PCB自体大変な猛毒であり、比較はできませんが福島の事故を受けて新たな事業を追加されたということですから、現場で実際事業に携わる方々の様々な危険、負担、リスク対策、あるいは安全対策は格段に大変な策をとらなければなりません。おそらく社内で工夫をされると思うが、現場のことを思わざるを得ません。県民意見を受け、低濃度PCB廃棄物の無害化処理認定施設等での円滑な処理の推進について、処分事業者との調整や関係団体との連携を行うとのことでありますが、高濃度PCB廃棄物の処理の推進との相違点などを逆に伺いたい。
廃棄物指導課長 まず、高濃度PCB廃棄物の処理は、先ほど説明しました国が設立した中間貯蔵・環境安全事業㈱が全国5か所のPCB廃棄物処理施設において処理を行うことになっており、国、都道府県市及び中間貯蔵・環境安全事業㈱が連携して、計画的処理の推進を、各PCB廃棄物処理施設ごとに設立した広域協議会で調整する仕組みとなっています。
低濃度PCB廃棄物の処理は、民間の事業者が国の認定や都道府県の許可を受けて設立した無害化処理施設等において、処理を行うものです。
現在全国で22施設が認定等を受けており、1都3県内では、平成23年に東京臨海リサイクルパワー㈱、25年に千葉県の杉田建材㈱及びJFE環境㈱が認定され、処理が始まったところです。
今後、処理施設の設置者の状況を踏まえ、関係団体と連携し、低濃度PCB廃棄物の保管事業者に対して、処理事業者の周知、情報提供などを行い、円滑な処理の推進を図ってまいりたいと考えております。
松崎 高濃度PCB廃棄物に話を戻します。一部のコンデンサについては、処分先が中間貯蔵・環境安全事業㈱の北九州PCB廃棄物処理施設となることについて、いつごろ、どれくらいの処理が行われるのかなどの具体的な見通しはありますか。
廃棄物指導課長 東京PCB廃棄物処理施設で処理を行う予定だった1都3県内のコンデンサのうち約7,000台を、平成27・28年の2ヵ年で北九州PCB廃棄物処理施設で処理することとなりました。
北九州市で処理を行う保管事業者の選定は多量に保管している大企業を中心に行っており、本県内の事業者が保管しているコンデンサのうち約5,000台が北九州PCB廃棄物処理施設で処理される見込みです。
北九州市で処理を行なう北九州事業につきましては、新たに処理対象になった都府県を含め31都府県や政令市の広域連携会議が、1月29日に北九州市で開催されました。私もその会議に出席し、今後の受入・処理や取組状況について情報交換を行ったところでございます。
松崎 おそらくこれだけの台数が2ヵ年で処理される現場というのは、相当な緊張度のある、そしてまたスケールも非常に巨大なものではないかなと、数を聞いているだけでもそう思う。一方で、安定器等は、処分先が北海道PCB廃棄物処理施設となっているが、北九州での処理と同様に具体的な処理の見通しはありますか。
廃棄物指導課長 北海道PCB廃棄物処理施設では、1道15県の安定器等の処理が平成25年から始まったばかりであり、1都3県分は平成28年4月から処理を開始できる見込みと聞いておりますが、1道15県の進捗状況によっては、変動する可能性があります。
今後、北海道処理施設の関係都道県市等による広域協議会等において調整が図られるものと思いますので、そうした場を通じて計画的処理完了期限である平成36年3月31日までの確実な処理を図ってまいります。
松崎 前回の常任委員会で、届出を行っていない保管事業者等について国の掘起し調査マニュアルに基づいて調査をするということであったと思います。27年度当初予算で、PCB廃棄物等適正処理推進事業費が計上され、アンケート調査を行うようですが、この事業の内容についてあらためて確認したい。
廃棄物指導課長 PCB廃棄物を確実に処理するため、保管の届出を行っていない事業者等を網羅的に把握する、掘起し調査マニュアルが国から示されました。
このマニュアルに従い、国経由で入手したトランス、コンデンサなどの自家用電気工作物設置者のリストにより、調査対象約15,000者に対して、2年間で調査を実施するものでございます。
設置者に対して、調査票を送付し、PCB含有電気機器であるトランス、コンデンサ、安定器等の保有の有無について回答をいただき、調査結果データの集計を行うというものです。
27年度の経費としては、アンケート用紙の作成費、郵送料、返送郵送料など、合計139万円を計上しました。
松崎 アンケート用紙だけで調査は万全でしょうか。立入や訪問、あるいはその方がいなくなっているとかそういったことへの不安はないのですか。実地に誰かが尋ねて行って、現地を確認して、数をきちっと確認するというような、年数が経ち過ぎているので、実態を見ていかないと不安な気がしますが、そのあたりはどうでしょうか。
廃棄物指導課長 アンケート調査後、回答がない方を含めて電話照会又は現地へ行って、調べます。アンケートは2年ですが、実際にはその後も含め、一つ一つ調査をしながら確認をしていかないとPCB廃棄物の処理が終わらないと思いますので、そうした努力を引き続きしていきたいと考えております。
松崎 すべての箇所について、きちっと把握して実態を明らかにして県民の皆様には安心していただくという保証があるということですか。
廃棄物指導課長 そういう方向で進めて行きたいと考えております。
松崎
や方向ということですが、しっかりと完全なもので対応していただきたいということを強く要望させていただきます。
(要望)
PCB廃棄物の処理は、県民の生活環境保全のため必要なことであると同時に、事業者にとっては費用の負担を伴うものであるので、期限内に確実に処理が終わるよう、事業者へ丁寧な対応をするとともに、すべての関係の事業所について保管状況を含め、一つ一つ完全に確認をとって、県民の皆様にご安心していただけるような対応を強く求めます。