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予算委員会 総括質疑(3月8日) 松崎 淳 委員(立憲民主党・民権クラブ)

2.本県の財政運営について

(松崎委員)

二つ目の質問は、本県の財政運営についてでございます。

今回の予算委員会は4年間の総括でありますとともに、平成の時代の総括のタイミングでもございます。

私は、これまでも財政健全化について継続して取り上げてまいりました。この点、振り返ってみますと、これまで本県は、一貫していわゆる「数の行革」を進めてきたと思います。

 特に、法令により定められた警察、教員を除きまして、特に知事部局の職員定数は、平成10年度の13,551人から平成30年度は7,368人と半分近くまで減りまして、地方独立行政法人へ移行しました県立病院職員を除きましても3分の2以下となっています。

こうした取組みにより知事部局の人件費を比較いたしますと、平成元年度、2年度には940億円から990億円ほどだった人件費総額が31年度当初では744億円と200億円から250億円削減をされています。

 この間、平成17年度までに決着した三位一体改革などによりまして、地方の負担となった介護・医療・児童関係の経費は、平成17年の1,392億円から31年度は3,817億円ということで、2.7倍になっております。

また、公債費も2,970億円と平成元年当初から2.9倍となっております。

 ちなみに県税収入の方は、平成31年度が1兆1,850億円で1,800億円増えておりますけれども、介護・医療・児童関係費や公債費の増加分には到底及ばないわけでございます。

こうした状況を振り返るといわゆる「数の行革」なくしては、神奈川県の財政は破綻していたと言ってもおかしくないと感じるところです。

 一方、大変な努力で削減した人件費200億円から250億円ですら、他の義務費の増加を補うにはあまりに少ない額であるという事実に、改めて、仕事量に見合った税財源を充実するという地方税財政制度の課題を痛感させられるところでございます。

 こうした県庁組織と職員の体制で、年々増える新たな課題に対応している職員の皆さんの努力、これは、並々ならぬものであると推察をしておりますし、また、黒岩知事が4年前、「数の行革」から「質の行革」へと転換した、そのことは、まさに当を得たものであったと、私も評価をしております。

平成30年間の行財政改革の取組みをしっかりと念頭に置きながら、行財政改革の一環でございます、現在取り組んでいる「県債管理目標」について伺ってまいります。

まず、昨年12月の総務政策常任委員会で、県債管理目標について取り上げました。

平成35年度までに残高を2兆円台とする県債管理目標の達成に向けた進捗状況について、県債発行抑制のペースが、予定よりも400億円強遅れているとの答弁がございました。

 まず、県債管理目標の達成に向けた、発行抑制ペースの遅れはどうなっているのか、確認します。

(資金・公営事業組合担当課長)

 昨年12月の常任委員会の時点では、委員ご指摘のとおり、残高減少のペースが、目標達成に向けては400億円程度遅れておりましたが、臨時財政対策債の発行予定額の減少などによりまして、平成31年度当初予算段階におきましては、平成31年度末でその遅れが50億円程度となる見込みでございます。

(松崎委員)

 今、400億円だったものが、50億円というふうに、答弁がございましたけれども、目標の達成に向けまして、あとどれだけ発行抑制すればよいのか、お答えください。

(資金・公営事業組合担当課長)

 平成28年3月に県債管理目標を設定した時点で、目標達成に向けては、中期財政見通しにおける県債発行額に比べ、毎年150から160億円程度の発行抑制が必要でございました。

 31年度末で、ただいま答弁いたしましたとおり、50億円程度抑制ペースが遅れておりますので、今後32年度から35年度までの4年間で、中期財政見通しにおける県債発行額に比べまして、毎年170億円程度の抑制が必要な計算となります。

(松崎委員)

毎年170億円とのことでございます。

では、31年度当初予算におきましては、中期財政見通しと比較して、発行抑制額はどのくらいでしょうか。

(資金・公営事業組合担当課長)

 中期財政見通し上の平成31年度の県債発行額は1,970億円、31年度当初予算の新規発行額は1,588億円でございますので、中期財政見通しとの比較では、381億円の抑制となっております。

(松崎委員)

本会議では、臨時財政対策債の残高が初めて減少に転じる見通しとの答弁があったと思いますけれども、臨時財政対策債の発行状況及び現在高について確認します。

(資金・公営事業組合担当課長)

平成31年度当初予算における臨時財政対策債の発行額は1,050億円で、30年度当初予算と比べまして、190億円の減となっております。

 また、平成31年度末現在高は、1兆8,519億円で、前年度比219億円の減の見込みでございます。

(松崎委員)

では、28年度、29年度は減収補塡債を発行しておりますけれども、そのことで目標達成に遅れを招いたと認識を私はしているのですが、その影響はどれくらいでしょうか。

また、30年度はどうだったのか。

(資金・公営事業組合担当課長)

 減収補塡債の発行額は、億円単位で申しますと、平成28年度は約214億円、29年度は約106億円、合計約321億円発行しております。

 この2年連続の減収補塡債の発行は、それだけ県債残高が増えたことになりますので、県債管理目標の達成に向けてはマイナス材料となっております。

 平成30年度につきましては、県税、地方譲与税、地方交付税の増など、年度中に確保しました財源を活用することによりまして、収支を均衡することができましたので、減収補塡債は発行いたしません。

(松崎委員)

さて、本年度は骨格予算編成ですから、通常の県債の発行額は少なくなっていると思います。肉付け予算においては、当然県債の発行額も増えていくわけでございますけれども、例えば、前回骨格予算編成でした平成27年度において、肉付け予算で公共・県単事業をどのくらい計上したのでしょうか。

(環境農政局企画調整担当課長)

平成27年度6月補正予算、いわゆる肉付け予算として計上いたしました公共・県単独土木事業でございますが、環境農政局につきましては、9億6,000余万円となっております。

(県土整備経理課長)

同じく、県土整備局では、94憶3,000余万円となってございます。

(松崎委員)

今お答えいただきましたように、公共・県単事業費も、今後の肉付け予算で増加することが予想される、つまり、通常の県債も増えていくと思われるわけでございます。何かあれば、このように通常の県債の発行額も膨らんでいくものでございます。

臨時財政対策債が減少しているのはよいことでありますが、通常の県債につきましても、発行抑制に向けた不断の努力が必要なのではないですか。

(資金・公営事業組合担当課長)

委員ご指摘のとおり、通常の県債につきましても、発行抑制に取り組んでいくことが非常に重要でございます。

今後も財政運営の中で県民サービスの低下を招かないよう、収支のバランスを見ながら、施策・事業を徹底的に見直しまして、また、優先順位を見極めまして、通常の県債の発行についても、抑制していきたいと考えています。

(松崎委員)

 そこまでは分かります。

通常の県債発行を抑制するには、事業費の抑制が必要です。そのためには、これまでも、事業のスクラップ・アンド・ビルドを進めてきてはいるところでございますが、先ほど知事から答弁がございましたけれども、今回、新たな取組みとして証拠に基づく政策立案、EBPMの導入を進めているということでございます。

事業のスクラップ・アンド・ビルドにつきましては、PDCAサイクルでこれまでもやってきたと思うのですが、新たな取組みは、従来のPDCAサイクルでの見直しとどう違うのでしょうか。

(財政課長)

 31年度当初予算編成におきましては、証拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMの考え方に基づきまして、原則としてすべての事業で、検証可能な成果目標を設定いたしました。

 本県では、これまでも成果を重視した予算編成を行い、可能な限り具体的な数値目標を設定してまいりましたが、従来は、例えば、グランドデザインに掲げるような、施策全体に係る大きな目標を設定することが多くございましたが、それですと、成果を検証する際、個々の事業が施策全体の目標達成にどこまで寄与したのか、成果を計ることが難しいという課題がございました。

 そこで、個別の事業ごとに、事業との因果関係を明確にした数値目標を設定することとしたものでございます。

 これによりまして、翌年度以降に成果を検証する際、事業のどこに問題があったのか、今後、どこを改善すべきなのかといった課題が把握しやすくなったものと考えてございます。

(松崎委員)

 そこで最後に改めまして、県債管理目標の達成に向け、知事の決意を伺いたいと思います。

(知事)

 平成35年度までに県債全体の残高を2兆円台に減少させる「県債管理目標」は、高いハードルではありますが、将来の公債費負担を減少させるためには必要不可欠な取組です。

 そうした中、平成31年度当初予算では、県債の新規発行額を1,588億円計上しまして、前年度比で281億円減少させることができました。

 特に、臨時財政対策債の新規発行額は、前年度を190億円も下回っておりまして、残高も初めて減少に転じる見通しとなっております。

 臨時財政対策債につきましては、昨年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」、いわゆる「骨太の方針」におきまして、「発行額の圧縮に取り組む」との方向性が初めて明記され、平成31年度の地方財政計画にもその考え方が反映されています。

 本県の県債発行額や残高の減少には、こうした国の方針が大きく影響しておりまして、臨時財政対策債の廃止や縮減を国に粘り強く要請してきたことが、ようやく実を結びつつあるものと考えております。

 また、通常の県債の発行額を抑制するため、県独自に施策・事業の見直しを進めることも大変重要であります。

 平成31年度の予算編成では、EBPMの考え方に基づきまして、すべての事業で成果目標を設定しましたが、今後は、各事業の実績をしっかりと検証し、成果に着目した「スクラップ・アンド・ビルド」を強化していくことで、施策・事業の見直しをさらに徹底していきたいと考えております。

 今後とも、臨時財政対策債の廃止や縮減を国に力強く働き掛けていくとともに、施策・事業の見直しを徹底し、県債の発行抑制に努め、「県債管理目標」の達成を目指してまいります。

(松崎委員)

今、知事から縷々答弁をいただきました。県債管理目標の進捗状況、この質問を最初に伺いました。31年度の当初予算で若干の改善はしていますが、50億円の規模で、依然抑制のペースが遅れているとの答弁がありました。

本県はこれまで、多額の臨時財政対策債を発行していて、それが大きな要因ともなってはおりますけれども、その他の県債を含めまして、県債全体の残高をしっかり管理していく必要がございます。県債管理目標の達成は、将来の公債費を縮減することで、義務的経費の比率が高い本県の財政構造を改善するうえで必要なことでございます。

その点をしっかりと意識していただいて、目標達成に向けて努力をしていただくことを強く要望して、次の質問に入ります。

次に「中期財政見通し」について、質問いたします。

私は、これまでも、ことあるごとに財政問題について取り上げ、この「中期財政見通し」につきましても、何度も議論を行ってきたところでございます。

最近では、昨年の第2回定例会におきまして、「『中期財政見通し』については、推計期間中であっても適切な時期に見直すべきだ」と質問いたしまして、知事からは「国の制度改正等の影響を見極めた上で、適切な時期に見直していく」との答弁があったところでございます。

また、今定例会におきましても、先日の代表質問におきまして、我が会派の質問に対し、知事から「推計を改めて行う必要があると認識しており、今後、財政影響を見極めながら、検討していきたい」と、前向きな答弁がありました。

現在の財政状況を踏まえて、将来の財政状況を的確に見通すことで、今後の財政運営の方向性を定め、財政健全化に向けた道筋を明らかにするためには、「中期財政見通し」は、非常に重要と考えているところです。

そこで、「中期財政見通し」について、何点か伺ってまいります。

まず、平成31年度当初予算案と、「中期財政見通し」における31年度の推計では、どのくらいの差異、違いが生じているのか、確認します。                              

(財政課長)

「中期財政見通し」におきましては、31年度の財源不足額を950億円と推計してございました。

 一方、31年度当初予算案では、収支を均衡させるため、30年度に確保した財源である360億円を活用してございますので、31年度単年度で考えますと、360億円の財源が不足している状態でございます。

 したがいまして、31年度当初予算案は、「中期財政見通し」と比較して、590億円、財源不足が縮小したことになります。

(松崎委員)

今、590億円というお答えがございました。その違いが生じている主な要因は何ですか。            

(財政課長)

要因でございますけれども、31年度当初予算案は「中期財政見通し」と比べまして、まず、歳入面では、県税・地方譲与税の総額が、税交付金等を差し引いた実質ベースで、約550億円の増、一方で、地方交付税と臨時財政対策債の総額は、県税収入の増などに伴いまして、約150億円の減となっております。

 次に、歳出面でございますけれども、公債費が約100億円の減、介護・医療・児童関係費が約90億円の減となってございます。

これらによりまして、約590億円、財源不足が縮小したものでございます。

(松崎委員)

公債費について伺います。

31年度当初予算案における公債費と「中期財政見通し」における31年度の推計は、それぞれいくらなのか。

また、その違いが生じている原因は何でしょうか。

(資金・公営事業組合担当課長)

31年度当初予算での一般会計公債費は、2,979億円、中期財政見通しでは3,080億円となっています。

 31年度当初予算と中期財政見通しで差が生じている大きな要素といたしましては、現在、日銀の金融緩和の影響によりまして歴史的な低金利が継続しております。中期財政見通し策定時の平成28年度以降、低利で県債の発行が続いていることによる利子の減が要因としてあげられます。

 また、26年度から県債残高が減少に転じておりまして、こうした残高の減少も公債費減少の要因の一つとしてあげられます。

(松崎委員)

ここまでお聞きして、次、どうしても聞きたいのは、中期財政見通し、そもそも「県債全体の残高を2兆円台に減少させる」、この目標を設定しておりますが、その意味は何ですか。

(資金・公営事業組合担当課長)

県債は、適切な県民サービスを維持するうえで、有効に活用する必要がございます。

ただ過度に発行した場合は、義務的経費である公債費が増加しまして、財政を硬直化させる要因となります。

 そのため、県債の発行抑制に取り組む必要がございます。

 平成28年3月に策定しました中期財政見通しでは、公債費が平成30年代半ばに3千数百億円程度まで継続的に増加すると見込まれたことに加えまして、介護・医療・児童関係費も毎年度100億円単位で増加する傾向でございました。

 この義務的経費の増加分を、公債費を抑制することにより、県税の増収の範囲内に抑え、政策的経費を圧迫しないようにと考えた場合、平成27年度末で3兆6,000億円あった県債残高を、6,000億円抑制する必要があったことから、「平成35年度までに県債全体の残高を2兆円台に減少」という県債管理目標を設定したものでございます。

(松崎委員)

 今の答弁を聞いておりまして、聞きたいのは介護・医療・児童関係費についてでございます。

今、答えの中にありましたけれども、31年度当初予算案における介護・医療・児童関係費と「中期財政見通し」における31年度の推計は、それぞれいくらか。

そして、その違い生じている原因は何か。

さらに、今後どのように推移すると見込んでいるのか、三点伺います。

(財政課長)

介護・医療・児童関係費につきましては、31年度当初予算案では3,817億円でございます。「中期財政見通し」では3,910億円と、約90億円の差、減となってございます。

 このような差が生じている理由についてでございますけれども、「中期財政見通し」では、介護・医療・児童関係費については、策定当時見込まれていた制度改正を織り込んだ上で、事業ごとに、当時の増加傾向を踏まえまして、推計を行いました。

 しかし、その後、例えば、国民健康保険におきまして、社会保険の短時間労働者への適用拡大などによる被保険者数の減など、「中期財政見通し」では見込んでいなかった制度改正の影響ですとか、障害福祉では、24年度に創設された「放課後等デイサービス」の利用者が、制度の開始時点では高い伸び率で推移しておりましたが、徐々に落ち着きをみせたことなど、「中期財政見通し」で見込んでいた伸び率が、推計ほどは伸びなかったことなどにより、約90億円の差が生じたものでございます。

 また、今後の推移についてでございますけれども、31年度当初予算の介護・医療・児童関係費は、「中期財政見通し」よりも下がりましたけれども、推計期間初年度の28年度より400億円弱の増加となってございまして、年平均いたしますと100億円程度の増となってございます。

 本県では、今後、全国でも一、二を争うスピードで高齢化が進展することが見込まれておりますので、介護・医療・児童関係費は、今後も増加していくと想定しています。

(松崎委員)

100億という金額を聞くと相当な規模であると思うわけでございます。今年の10月から実施される「幼児教育・保育の無償化」については、28年3月に策定いたしました現行の「中期財政見通し」では、その影響を見込んでいないと思います。

31年度当初予算では、事務費を除きまして、半年で99億円を見込んでいるとのことでございますけれども、32年度以降の経費については、どのように見込むのでしょうか。

(次世代育成課長)

平成32年度以降の経費につきましては、通年分となりますので、31年度当初予算の2倍程度と見込みますが、無償化の対象となる利用児童数の動向を踏まえて計上していくこととなります。

(松崎委員)

確かにそのとおりだと思うのですけれども、しかし、その部分というのは、考慮しなければならないというふうに思います。

そこで聞きますが、平成29年3月に策定されました「神奈川県公共施設等総合管理計画」、こちらでは、将来見通しとして、維持更新費の年平均が現状の1.4倍になると見込んでいますが、現行の「中期財政見通し」では、このような維持更新費の増加を見込んでいるのでしょうか。

(財政課長)

「公共施設等総合管理計画」は、「中期財政見通し」の1年後に策定されたことから、政策的経費につきましては、原則として、28年度予算額と同額と見込んでおりますので、維持更新費の増は見込んでいないものでございます。

(松崎委員)

今、見込んでいないという答弁がございました。それでは困るわけでございます。そこで聞きますけれども、公共施設の維持更新費につきましても、「公共施設等総合管理計画」と整合させて、適切な額を見込む必要があると思いますけれども、どうですか。

(財政課長)

 「公共施設等総合管理計画」では、今後30年間の維持更新費を約3兆円と見込んでおります。本県財政に与える影響が非常に大きいため、次期「中期財政見通し」におきましては、適切な維持更新費を見込むことは大変重要であると考えています。

(松崎委員)

私も同感です。

このように「中期財政見通し」につきましては、策定当時と比べますと県財政を取り巻く環境が変化して、実情と乖離が生じているところでございます。

現在の財政状況を踏まえて、今後の財政運営の方向性を明らかにするためにも「中期財政見通し」は、推計期間の平成32年度を待たず、前倒しで推計し直す必要があると考えますけれども、知事の見解を伺います。

(知事)

 現行の「中期財政見通し」は、平成28年3月に策定したものでありますけれども、策定当時と比べまして、県財政を取り巻く環境は大きく変化しています。

 これに加えまして、財政健全化に向けた継続的な取組の成果もあって、財源不足額は、策定当時の推計を下回って推移しています。

 また、これまでは、「幼児教育の無償化」など、県財政に大きな影響を及ぼす制度改正の中身が不透明でありましたが、平成31年度の国の予算編成を経て、その具体的な内容や影響が概ね明らかとなり、今年10月からは、消費税率の引上げも実施される予定となっております。

 財政運営の方向性をしっかりと見定め、持続可能なものとしていくためには、県財政を取り巻く環境の変化を踏まえ、新たな制度改正の影響を、今後の財政見通しに的確に反映させていくということが大変重要であります。

 そこで、現行の「中期財政見通し」につきましては、推計期間の最終年度である32年度を待たず、31年度中に「前倒し」して、推計し直すことが適当と考えております。

(松崎委員)

今、知事から前向きな答弁をいただきました。「中期財政見通し」につきまして、見直しの時期に言及されたのは、これが初めてでございます。

「中期財政見通し」は今後の財政運営の舵取りをしていくうえで、非常に重要なものでございまして、船で言えば羅針盤でございます。これが正常に機能しない場合は、県財政を適切な方向に導くことも難しくなります。

地方消費税の税率引上げ、それから、地方法人課税の税源偏在是正などの「税制改正」や、「幼児教育の無償化」など、県財政に大きな影響を及ぼす制度改正の内容が、概ね明らかとなったため、31年度へ前倒しし、その中でも、可能な限り早期に「中期財政見通し」の見直しを行うように強く求めておきます。