次世代育成・デジタル戦略推進特別委員会質疑概要
令和4年12月13日(火)
松崎委員(立民)
○ 9月5日に静岡県牧之原市で、認定こども園の送迎用バスで登園した園児が、バスの中に取り残されて熱中症で亡なられた。大変痛ましい事故であった。
去年の7月にも福岡県で同じ様な事案が発生しており、教訓が生かされていないことが大変残念でならない。
私自身も4歳になる子どもがおり、親の気持ちでこの事件の報道に接すると、とても心が苦しくなる。また、来年の4月から実際に通園をすることになるので、通園バスの事件を受けた県の対応というのは、とても他人事とは思えない。そこで、何点か伺いたい。
まず、県として通園バスの状況について、実地調査を行っていると聞いているが、その後どうなったのか。県が調査した対象施設、進捗状況はどうなっているのか伺う。
山中私学振興課長
○ 県が行っている実地調査の対象施設数と進捗状況でございます。まず、私立幼稚園は、県が所管する私学助成園300園のうち、通園バスのある250園に対して調査を実施しています。現時点の状況を申し上げますと、調査が完了しているのが197園で約8割程度、今後、調査を実施する残りが53園になります。
○ 合わせて保育園の実地調査につきまして申し上げますと、県所管域に所在し、バスを所有している39施設を対象として、保育の実施主体である市町村の意向も伺いながら、連携して実施をしています。現時点の状況では、調査が完了しているのが27園で約7割程度、今後、調査を実施するのが12園になっております。
○ 状況については、以上になります。
松崎委員(立民)
〇 静岡の残念な事件以降も、通園バスの中に児童が置き去りになるケースが報道されている。実地調査を行っている中で、私立幼稚園等の現場においては、どのような対応が実際に行われているのか。危ないケースは無かったのか。またこうしたケースがどのくらいあって、園に対して、どのような印象を持ったか、いわゆるヒヤリハット事例、確認されている事例を伺う。
山中私学振興課長
〇 現在、実地調査を実施している中で、多くの施設では、適切に通園バスの運営が行われており、私立幼稚園等の教職員の方々が、多忙の中で、日々尽力していることが伺われます。
○ 一方、ヒヤリハットのような事例もございます。どこでも事故は起こりえるという認識も改めて持ったところでございます。
○ これまで、調査を実施している中で、ヒヤリハットの事例を申し上げますと、
登園時に、園児の乗車名簿の確認が不十分だったために、通園バスの運転手が、所定の場所で待っていた保護者、園児を見落とし、バスに乗車させることができなかった事例がありました。
逆に降園時に、乗車する予定の園児を残して乗車させずにバスを出発させてしまい、途中で引き返した事例もございました。
さらには、同じ苗字の別の園児を乗車名簿に誤って記載してしまい、本来、乗せるべきでない園児を乗せてしまったという事例もございました。
松崎委員(立民)
〇 1つ1つの事例は、その場面でどうなったのかを実地検証しなければ、なかなかそれについて論評することは差し控えたいと思う。ただ言えることは、明らかに、話を聞いているだけでも、それがもしかすると重大な事例につながりかねないと感じるものもあって、そうした事例について、しっかりと、なぜそうなったのか、防ぐためにはどうすればよいのかを関係の方々だけでも検証する必要があると思う。ヒヤリハットのような事例に学ぶというのは、医療の現場だけではなく、こうした現場でも必要なことではないか、検討が大事だと思うが当局はどう思っているのか。
山中私学振興課長
〇 指導にあたって、現場で手順を明確にしてないところがありました。職員間でしっかりと共有をしていただいて、一人ひとりが自覚を持って行動していただくというようにお伝えしている。そういった事例のところでは、送迎のマニュアルの整備がされていない状況もあり、手順が遵守されていないことが原因であると思いますので、改善を要請しています。園の方も今後検証をしていくとか、マニュアルを作るなど対応をすると回答しています。
○ 今後、改善の措置状況について、個別にヒアリングを実施して、その後の措置状況を確認して、フォローアップに努めてまいります。
松崎委員(立民)
○ 確認だが、一つひとつの園について、きっちりと検証するということなのか。
山中私学振興課長
○ 全部の園の実地調査を行いますので、結果を整理して、一つひとつフォローアップしていくということでございます。
松崎委員(立民)
○ ぜひ、よろしくお願いする。
一つひとつのヒューマンエラーが重なって、このような命に関わる二度と繰り返して欲しくない重大事故につながっている。安全対策としては、ヒューマンエラーの防止を補完する仕組みが必要である。人と技術の両面からの対策が今後欠かせないと思う。国では、通園バスの安全装置の設置を義務化すると公表しており、幼稚園には新たに設置費用の負担が生じると思う。
子どもたちの命を守るために、安全装置の設置を速やかに進めるためには、設置費用の負担に対する補助が欠かせないため、本定例会に補正予算を計上したことは評価している。速やかな設置に向け、県は今後、どのように進めていくのか、伺いたい。
山中私学振興課長
○ まず、補正予算案の具体的な内容ですが、まず、安全装置が義務化される施設として、幼稚園、保育所、認定こども園、特別支援学校がございます。これらの施設のバス1台あたり18万円を上限に設置費用に対する補助を行いたいと考えております。
○ また、義務の対象ではありませんが、小学校、中学校などのスクールバスに対しても、半額程度として約10万円の補助を計上しています。
○ 通園バスの安全装置については、国の省令等が改正され、令和5年4月施行で、通園バス等への設置が義務化され、令和5年度中は経過措置として扱われると伺っております。
○ さらに、現在国では、安全装置の仕様に関するガイドラインを、12月中を目途に策定中です。具体的な内容がわかり次第、早急に施設等に情報提供を行い、補正予算案が成立した際には迅速な手続きを進めてまいりたいと考えております。
松崎委員(立民)
○ ぜひガイドラインですね、どのようなものがどうなるのか分からないでは困るので、12月ということであり、今月なので、早急な正確な情報提供に努めるようお願いする。
園児、児童等の命を守るために、通園バスの安全対策に、継続的に取り組んでいく必要がある。今後、県としてどのように対応をしていくのか伺う。
山中私学振興課長
〇 今後についてですが、実地調査で収集した取組事例や統計データなどを集約した事例集を作成したいと思っております。幼稚園等の施設や、関係団体、市町村などに提供し、研修に活用していただくなど、事故防止に向けた取組がさらに進むように、県としても継続的に取り組んでいきます。
〇 また、定期的に行っております幼稚園を含む学校検査の中でも通園バスなどの安全管理の体制を重点項目として位置付けまして継続的に確認をしてまいります。
○ 今後も、安全対策の取組が形骸化しないように、国や市町村、関係団体と引き続き連携を図って、子どもの命が奪われるような痛ましい事故が二度と起こらないように、安全対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
松崎委員(立民)
(要望) 今回の痛ましい事故を二度と繰り返さないため万全な対策を求める。子どもたちの安全確保を図るためには、ソフト面とハード面の両方の対策が必要。国も様々な検討を進めているところだが、県としても今後実地調査の結果をしっかりと検証し、国や市町村と緊密に連携をし、状況をよく把握し、毎日安心して通園バスを利用できるよう子どもたちの命を守る取り組みをしっかりと進めていくよう強く要望する。