神奈川県議会 平成17年9月定例会環境農政常任委員会質疑のまとめ

(4)横浜の子どもたちの学校給食にかながわ産のお米を               

松崎        本年7月に「食育基本法」が施行され、学校給食への地域内の農林水産物の利用拡大など、食育活動の推進を図ることとしている。こうした学校給食を活用した取組みは地産地消を推進するためにも、たいへん有意義なことである。

 そこで、県内産農産物の学校給食への供給について何点か伺いたい。

食育及び地産地消を推進していくためには、学校給食における県内産農産物の利用が重要であると考えているが、現在の県内産農産物の利用状況について、伺いたい。

県側      学校給食への県内産農産物の利用については、県内の小中学校の給食で利用されているお米は、横浜市を除き、100%県内産米が神奈川県学校給食会を通じて供給されている。

 その他の、野菜・果物につきましては、各地域の給食センターや学校が独自に発注しており、県内産農産物の利用は、利用の状況、割合とも各地域で様々である。

松崎        食育基本法の趣旨から見ても学校給食における県内産農産物の利用は重要と考えるが、どうか。

県側        食育の面、地産地消の面からも学校給食に県内産農産物を利用することは重要であると考えている。

松崎        確認するが、お米は100%県内産米を県下全域で使用しているということか。

県側        横浜市を除いて、100%県内産米を使用しているということだ。

松崎        横浜市が県内産米を利用していない経緯について教えていただきたい。

県側        学校給食におけるお米の利用については、県内では、平成10年度までは、政府米を学校給食に使用していたが、平成11年度から教育関係機関や生産者団体の理解と協力のもとで、米飯給食の全量を県内産米とした。

 しかしながら、横浜市学校給食会では、平成13年度より学校給食で利用している米については、それまで県学校給食会から購入していたものを、安く安定的に調達できるようにと、横浜市学校給食会が直接購入する入札方式に切り替えた。その結果、県内産米ではなくなった。

松崎        入札だとなぜ県内産米にならないのか。横浜市はどこの米を使っているのか。

県側        入札方式なので、その年度、年度によって、産地が異なっていて、たとえば、平成13年度については青森県、山形県、石川県が入っているといったような状況になっている。県内産米については、県の農業協同組合が集荷しており、県内の学校給食へは県の学校給食会を通して提供されている。

松崎        横浜市が入札制度に移行するに際して、県として横浜市へなんらかの働きかけをしたのか、どんな働きかけをしたのかうかがいたい。

県側        平成13年度から競争入札方式に移行するという情報が平成12年度に入っていたので、平成12年度に農政部及び教育委員会が市の緑政局及び教育委員会に対し、県内の子供たちの学校給食の充実を図ることは重要であるとの考えから、引き続き横浜市に県内産米の利用をお願いした。

松崎        それに対し、横浜市は何と答えてきたのか。

県側        特にその段階で明確な回答はいただいていないが、横浜市が入札制度に移行したという事実がその答えなのかなと考えている。

松崎        確認したいのだが、本県における米の生産状況とその流通状況について伺いたい。

県側        本県の米の生産量は、平成16年度は16,600トンとなっている。

 生産量のうち、農協には15%の約2,400トンが集荷され、学校給食等に利用されている。その他の米については、農家が自ら、あるいは親類縁者での消費や直売などでの販売となっている。

 なお、農協に集められた米のうち1,600トン余りが、神奈川県学校給食会を通して、米飯給食に使用されている。

松崎        仮に横浜市の学校給食に県内産米を使用した場合、どのくらいの米が必要となるのか。

県側        横浜市以外の学校給食に供給している県内産米の量と、横浜市の現在の児童数から推計すると、横浜市分としての必要量は700から800トンと考えている。

松崎       さて、県の農産物の生産努力目標の中で、米については増やしていこうと考えているのか、減らしていこうと考えているのか、伺いたい。

県側       米につきましては、国の施策としては「需要に見合った生産」ということで、根本的には生産を少し抑制して行くという考えがある。

 しかし、神奈川県では、学校給食にも手当てをしていかなければならないということで、「かながわ農業活性化指針」の中で生産努力目標を定めたが、米の生産量の目標数字については、平成14年に対して平成27年には104%ということで、県としては米の生産量を伸ばしていきたいという考え方で目標を立てたところだ。

松崎       「横浜市の子供達にも県内産の米を」ということでは、平成27年で104%ということは、向こう10年については、まずは継続していけるという見込みもつくと受け止めて考えてよいのか。

県側       今回の生産努力目標については、平成27年までは安定的に供給していきたいという考え方で設定した。

松崎       県として、これからは横浜でも県内産の米で給食を使って欲しいと考えているのか、伺いたい。

県側       学校給食は、地産地消、食育を推進していく上で大変重要であると認識しているので、県内の他の市町村と同様に、横浜市においても、県産米が利用されるようにしていくことが重要であると考えている。

松崎       具体的に横浜市に何を、どのように、働きかけをしようと考えているのか。

県側       神奈川県では本年度から、食育の推進、地産地消の推進を図るために、食育推進事業に取り組んでおり、この中では県下19の小学校において食育のモデルの給食を実施するなどしており、横浜市内の小学校にも入っていただいている。これを契機として、調達の制度の問題や供給体制等あるが、今後さらに教育委員会、横浜市、農業団体等と相談しながら進めてまいりたいと考えている。

松崎        米に限ったことでなく県内産の農産物をどうするかということも考えていかなければならない問題であるが、学校給食に関して言えば、協議していく、話し合っていくとの話があった。学校給食については、どのような考え方で取り組んでいきたいと決意されているのか、法律が既に施行されているわけだから、今一度、お答えいただきたい。

県側        学校給食に県内農産物を利用していただくことについては、未来を担う子供達に本県の農業、農産物について理解してもらうということだけでなく、神奈川県という郷土に対する理解をしていただくということでもあると認識している。

一方、生産者の立場に立つと、子供達の学校給食の一翼を担っているという、大きな誇りややりがいにもつながるものと考えている。そういった意味で県の行政を推進していく上でこの問題は大変重要な問題であると認識している。そういう観点に立ちまして、食育は農政だけで実施できない問題であるので、関係する教育庁等と連携を取りながら進めてまいりたいということだ。

 今回、提案した「神奈川県都市農業推進条例」の中でも、基本的な施策ということで、食と農の理解の促進を掲げている。この問題については、教育の関係者や農業団体等の理解がなければ実現できないし、実現するための制度、仕組み等の問題を解決していく必要があるので、ご指摘いただいた様々な課題もございますので、十分、関係機関の皆さんと食育のもつ意味について協議し、取組に努めてまいりたい。

松崎       大変、心強い答弁を得たので、是非ともその線に沿って進めていただきたい。

 地産地消を推進するうえでも、また、教育的な配慮という意味からも、全ての米飯給食に県産米を利用することが望ましいということについては、異論をはさむ余地のないことである。横浜市への働きかけと、県内産農産物の学校給食へのさらなる利用促進に向けて、格段の取組を要望しておく。