平成18年9月県議会定例会・厚生常任委員会質疑のまとめ

<自殺対策について>

松崎       ● なぜ、精神医療センター芹香病院においてストレスケア病棟を整備することとしたのか、その経緯等についてお伺いしたい。

県側       ○ 全国で自殺者数が3万人を超え、本県でも1,700人を超える状況で、自殺者の多くの方はうつ病が原因ということである。そういった中で、本県の芹香病院は、精神科救急医療の基幹的な病院であり、また重症患者への対応など、本県の精神科病院の中で大きな役割を果たしてきた。

そういった状況を踏まえて、今年の3月に作成した「病院事業経営基本計画」の中で今後の3年間の具体的取組みとして、精神医療センター芹香病院におけるストレスケア病棟整備を位置づけた。

松崎       ● 芹香病院のA2病棟を改修しストレスケア病棟とする予定だと聞いているが、どのような病棟として改修していく予定なのかお伺いしたい。

県側       ○ 具体的な整備内容については、芹香病院と調整を行っている。

  大きなポイントとしては、うつ病患者の治療として、明るくゆったりとした開放的な雰囲気で、居心地の良い病棟が必要と考えている。

  具体的には床や壁など周辺のもの、また、病室面積はやや広めにするというようなことを考えている。

松崎       ● 今後どのようなスケジュールで改修していく予定なのかお伺いしたい。

県側       ○ 20年度当初のスタートということで考えている。

松崎       ● 病床数が変動することによって、影響はないのか。

県側       ○ 改修予定のA2病棟は、現在一般病棟であるが、現在の精神医療の方向は、入院中心の医療から自宅へとなっている。そういった中で、芹香病院の病床利用率も80%程度で、この改修によって、必要な病床が使えなくなるという現状はない。

松崎       ● 芹香病院全体がかなり古くなっているが整備についての考えを伺いたい。

県側       ○ 芹香病院はかなり古い施設であり、今年3月に策定した「病院事業経営基本計画」の中でも、精神医療センターの総合整備の推進を図る必要があるとしている。まだ基本的な考え方の整理の段階であるが、総合的な整備は必要であると考えている。

松崎       ● どのようなストレスケア医療を実施していく予定なのかお伺いしたい。

県側       ○ うつ病の方は自殺念慮があり、急性期は落ち着かせなければならず、緊急的な対応が必要である。落ち着き始めた場合にストレスケア病棟での治療ということで、そこでは、ゆったりした環境を提供したり、薬物療法以外にも、認知行動療法といった新しい治療方法に取組みながらストレスケア医療を実施していきたい。

松崎      

● (要望)

 本県における平成17年の人口10万人あたりの自殺率は全国最低ではあるが、自殺者数においては、1,700人を超え全国第3位という状況がここ数年続いており、自殺防止対策の推進は本県にとって重要な課題となっている。

  そうした中で、自殺者の多くがうつ病等の精神疾患との関連があるとされていることなどから、精神医療センター芹香病院においてストレスケア病棟を整備し、うつ病対策に取り組んでいくことは評価する。

  現在県として設置に向け検討を進めている様々な分野の関係機関・団体により構成される自殺対策連絡協議会とも連携を図り、芹香病院における取組みが自殺防止につながるよう要望する。

● 8月の当委員会において、自殺防止対策に関係する部局で構成する全庁的な組織を年度内を目途に設置する方向で、関係部局との調整を進め、外部との連携も図るとの発言があったが、その後の作業はどのようになっているか。

県側       ○ 自殺対策に係る庁内組織の設置に向けた作業については、今月12日に、関係する21の課・室等の担当者による準備会を開催した。

  この会議において、自殺の現状、国の動向等を報告し、本県における総合的な自殺対策や庁内組織の設置の必要性などについて、共通認識を得たところである。

  今後は、この準備会を数回開催し、年度内に庁内組織を設置するよう、準備を進めていく。

松崎       ● この庁内組織の位置づけは重いと思うがどうか。

県側       ○ そのように認識している。

松崎       ● 国の「健康日本21」では、自殺者数の減少を数値目標として2万2千人以下と設定し、自殺対策を取り込んでいるが、これを受けて策定された、「かながわ健康プラン21」には、自殺対策がどこにも位置づけられていない。現行のプランの計画期間の10年間の半分が過ぎ、改定の時期が近いと思うが、改定に当たって自殺対策を取り込むべきと思うがどうか。

県側       ○ 「かながわ健康プラン21」は、国の医療制度改革に併せて19年度に改定することとしており、また、現行の計画期間は平成13年から22年度までなので、最終年にも見直しが必要となってくる。

今後、プランの見直しの際に自殺対策に関する方策や数値目標などが定まっているならば、プランの改定に関わる専門家等の意見も聞きながら、「かながわ健康プラン21」に盛り込むか、検討することになる。

松崎       ● (要望)

 自殺対策は重い位置づけのあるテーマなので、全くふれられていないのは、ちぐはぐな状況である。一貫性をもって県民の皆さんにわかりやすく伝えてもらいたいと要望する。