平成21年12月14日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<団体補助金等(含む労働センター再編)について>

菅原委員               ● 補助金関係について、特に運営費補助金関係について質問していきたい。

一番最初に部長に伺いたいのだが、商工労働部の全ての事業をもちろん把握されていると思うが、更に商工労働部の関係で補助金を出している団体の事業まで含めて、全てを把握している人というのは商工労働部内にいるのだろうか。

小林商工労働部長               ○ 補助金を出している団体の事業全てを把握している人は、各課単位で出しているわけだが、なかなかそれを、課を超えて全体の枠で承知しているという人は、部長、副部長が全体を把握していれば一番よいのだが、細部にわたるまでは正直に言うと、把握しているとはいい難いと思っている。

菅原委員               ● ということは、逆に言えば課のレベルであれば、その範囲内において、課の全ての事業及び課が団体補助金を出している事業に対しては把握しているという人がいるということでよいか。

小林商工労働部長               ○ 課で補助金を出している範囲ならば課長が掌握していなければならないと思っている。

菅原委員               ● そういった中で、私も商工労働部に係る事業というものを予算見積書のベースまで含めて、何百事業とあるが見る、団体の事業もくまなく見る、こういった中で、私が商工労働に関して詳しくないからかもしれないが、大変似通った事業が多いような気がしないでもない。何か類似の事業を行っている部分もあるのではないかと、私は、そのように思っているのだが、実際そういったことは、あるのだろうか、ないのだろうか。

小林商工労働部長               ○ 県の行政目的を達成するために県自らがやる事業、それから団体にも例外規定がついてない事業があって、例えば相談事業といったものがある。様々な地域での経営者からの相談を受ける形、これは商工会議所でも実際相談を受ける。また商工会でも受けているし、商店街等の関係の団体でも受けていて、相談事業等に関しては、一部重なっている部分もあるかもしれない。

菅原委員               ● それでは、団体の補助金、運営費の補助について一般論から伺いたいと思う。

まず、こういった運営の補助金を出すときの基準というものはあるのだろうか。

川崎商工労働総務課長       ○ 団体に対する補助金というものは、公益的な目的を有する団体で、かつ県の施策との方向性が一致するもの。これについては、事業主体者が行う事業について、補助対象経費として捉え、これに対して経費を出す。基本的には法定の補助金ではなく任意であるので、一つの考え方として、団体に対する助成については、運営費の2分の1を超えないよう整理している。

菅原委員               ● 2分の1を超えないということであるが、実際に2分の1を超えている団体もいくつか存在するわけだが、その点はどのように考えているのか。

川崎商工労働総務課長       ○ 事業の性格だとか、あるいは代替性、例えば、県が行っている事業に対してそれが他の事業で代わりが効かないといったものについては、所要の財源については、ある程度、2分の1を超えての助成というものはある。ただ、そのことを「良し」とするのではなく、団体の自立性を促すといった観点から、団体自らの自己財源を充実させながら、補助の割合を下げていくといった方向で、私たちは立ち向かっている。

菅原委員               ● 団体の自立性を促していくという答えがあったが、そうあるべきだと思う。

逆にそうであるのであれば、補助金も支出された年から見てみますと、かなり古い時代から補助金が支出されているものが存在するが、ある程度団体のことを考えるのであれば、補助金の期限というものを区切って支出をしていくということも必要なのではないか、つまり、期限を区切らないからこそ、団体がいつまでも補助金をもらえるのだなと。

逆にこういった財政になったときに県が切りますよということになってくると、それは困りますよということになるわけで、5年後といえば5年後にこの程度の補助金にしかならないのですよという形であれば、その団体はそれなりの努力を、やはり真剣にやると、私は考えるわけだが、その点はどのように考えるのか。

川崎商工労働総務課長       ○ 事業の時限の扱いについては、補助金に限ったわけではなく、県の事業については、毎年の予算編成方針に基づき、いわゆるゼロベースで毎年毎年事業を捉えているところである。

ただ大きな考え方として、この激しい社会情勢の変化を捉えて、概ね3年の時限を設けて、あらゆる事業について基本的には事業評価をしていくという、こういった視点に立って事業の見直しをしている。

従って、全ての事業が継続して、「事業ありき」ということでは全くなく、また、そういった事業評価についても、自主評価、外部評価あるいは総合的な評価を踏まえて、最終的な判断をさせていただいている。

菅原委員               ● ということは、例えば、昭和といったかなり古い時代、30年代とか40年代くらいから存在するわけだが、それが今まで続いているというのは、適正な評価をしてきた結果であるということでよいのか。

川崎商工労働総務課長       ○ 確かに開始年度がかなり古い年度から始っているものもある。これについてはただ単に事業が継続しているという形ではなくて、県としては、色々な理由で助成に対する考え方が設けられている。

例えば、一定程度のモデル事業があって、これは民間が育つまでの間、あるいは国と県と役割分担をしながら、中には、直接国がお金を出さないで、県の役割として分権の立場から実施しているものもある。そういったものについては、ある程度協議を進めながらやっていくので、直ちに県の判断だけでできるものではない。中にはそういったものもある。

従って総合的に判断しているので、確かに古いものもあるが、毎年毎年の予算編成の厳しい中で、言葉は悪いが生き残ってきた事業なので、それはそれなりに存在意義というものがあり、事業の質というものを精査しながら、10年前、20年前と同じような形の事業内容を繰り返しているわけではないと理解している。

菅原委員               ● 今、生き残ってきたという表現があったが、私は、生き残らせてきた部分も多少なりともあるのではないかと思っている。例えば県のOBが、出向しているような団体もあるわけで、それがすなわち悪いとは思わないけれども、補助金の額がそこの報酬になっているような、結果的にそういった形になっているようなものも存在するわけである。

こういった中で、報酬があるかないかは別にして、団体に評議員や理事という形で、県の職員が加わる形というものも見られるのだが、こういう風に評議員や理事になるという際の基準というものはあるのか。

川崎商工労働総務課長       ○ これはあくまでも団体の自立性に基づく運営に関わり、県の職員等が役員に就任している事例を見ると、公金を支出している以上は、その団体の経営あるいは収入・支出というものがきちんと行われているかどうか、こういった要素もあるので、それは個々の団体ごとの判断により、役員として入っているということである。

菅原委員               ● ということは、基本的に公金を支出している団体にのみ評議員、理事という形でいくということでよいのか。

と言うと、逆に公金が支出されていない場合でも県の部長、課長さんなりに評議員になっていただきたいという団体もあるかもしれない、そういったところの棲み分けはどうなっているのか。

川崎商工労働総務課長       ○ 公金を支出するものにあっては、当然に私どもとしては、評議員とか役職員という形、あるいは、別の検査という形で事業の管理等を行っていくわけだが、それ以外にも県が所管している、特に商工労働部が所管する団体について、お金は出していないが役員に就任している場合もある。この場合、基本的に県の現役であれば給与は出ませんが、そういった形での就任はさせていただいている。

菅原委員               ● 逆に公金を出していても就任をしていない団体もあろうかと思うが、その辺の整合性はどうなっているのか。

川崎商工労働総務課長       ○ それについては、それぞれの団体の要請、定款に基づくところの事業運営、総会といったところでのいろいろな要請といったものがあるので、お金が行っているところに全てに対し行っているとか、商工労働部が所管しているところ全てに行くとか、一律的なものはなく、個々の判断で役員の就任を出しているところである。

菅原委員               ● 先ほどの、その役員就任のひとつの理由として、やはり公金を出したのであればそれを適性にチェックしていくのは当然だという考えがあったと思うんですね。確かにその公金の出し方も少ない多いがあるわけですから、非常に少ない割合、数パーセントの団体にまで行く必要はないと思うんです。しかし、今のチェックという考え方に基づくのであれば、その割合の大きい団体には逆に行かなければならないのではないかというふうに私は考えるわけです。今のご答弁をお伺いする限りはですけれども。そういった中で、支出割合の多さを見てみますと、例えば、神奈川県の繊維協会などはですね、補助金の割合が運営費に占める割合が57.9%であるにもかかわらず。評議委員だとか理事の方にはいってはいないわけです、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

佐藤工業振興課長             ○ 繊維協会につきましては、公益性の高い事業を実施していただいているということで、県の補助金を支出してございます。この団体は、会費収入と県の補助金でなりたっておりまして、当然のことながら、補助金の割合が高くなってきております。

特段、県の職員が役員ということでは就任してございませんけれども、県の補助金支出の段階では、会計監査という形で、支出にあたってのチェックというのは厳密にやっておりますので、特段役員として就任してはございませんけれども、補助金の支出にあたっては適正に執行されるよう指導をしているという状況でございます。

菅原委員               ● 今、役員に出てなくても、適正に監査などで見ていくと答弁があった。

 そうであれば、他の団体も名前を連ねる必要はないのではないかと思ったりする。

 やはり役員に名を連ねれば、1年に1回か2回、会議があるだろうし、そこに課長や部長が身体を運ばなければならない。仕事が増える訳である。

 そもそも、役員を出すか出さないかの基準というものを、その目的も含めて、もう少し明確にする必要があると思うが、いかがか。

川崎商工労働総務課長       ○ 団体に対する指導監督の中の一環として、役員を出すかどうかという判断があるわけであるが、それについては、全庁的な取組みとして「第三セクター等指導調整指針」という一定のものがある。

  基本的には、役員に就任してほしいという就任の要請があり、それに対して県として判断をし、就任を承諾する、あるいは承諾の中での判断がある。

一義的には、その法人の運営にあたって必要な要請として、個々に判断させてもらっている。

菅原委員               ● 補助金を運営費補助として出す場合は、包括的というか総括的というか、すべて目的を明記せずに渡すわけであるが、補助金の使い方として適正であるかどうか、お答え頂きたい。

 まず始めに食費。例えば、お弁当を食べるとかの食費、あるいは懇親会のようなものもあるかもしれない。

 こういったものに補助金が使われるのは適正だろうか。

川崎商工労働総務課長       ○ 私たちの補助金は、事業に対しての助成が前提である。

事業を展開する上で必要な経費については、補助金の対象になりうると考えている。

菅原委員               ● では、事業でないものは適正ではないとのことだったが、慶弔費みたいなものは適切か。

川崎商工労働総務課長       ○ 基本的には、慶弔費に対する考え方としては、報償費という整理があるが、慶弔費については、基本的には団体の個々の付き合いの範囲で処理がなされるべきものと考えている。

しかし、団体の中にあっては、事業の運営上、どうしても欠かせないものであるならば、対象内という判断をさせていただきたいと考えているところである。

菅原委員               ● 事業に必要であればか。

 例えば、地震等がどこかで起きた。議会も義援金を募ったりするが、義援金に対してお金を出すことは適切か。

川崎商工労働総務課長       ○ よく災害が起きると見舞金という形で出している。これは県においても義援金あるいはお見舞金として、新潟県等被災したところに支出している。

 それが事業展開上必要だ、例えば、事業連携している先が被災したということであれば、見舞金という科目の支出は対象になりうるものと考えるが、ただ、その規模、時期等について総合的に勘案すべきものと考える。

菅原委員               ● 今聞く限り、何でもOK、解釈次第、事業遂行に必要であればというが、どんな理由でも成り立つだろう。何でも使っていいという解釈が成り立つと思うが、その点はいかがか。

川崎商工労働総務課長       ○ 団体補助金に関する基本的な考え方は、公益上必要がある場合においてのみ補助することができるという地方自治法の規定に基づいてやっている。当然、行政実例の中においても、客観的に公益上必要であると認められなければならないこととされており、何でもいいというよりも、補助対象事業を明確にすることが、公益上必要であることを明らかにすることに通じるものと思っており、まずは補助対象事業の明確化が大変大切であろうと思っている。

菅原委員               ● 補助事業の明確化、これは非常に大切だと思う。

ただ、運営費で補助をしていく限りは、常にその都度、色々な解釈をしていかなければならないと思う。

 もし補助対象を明確にするのであれば、運営費として丸投げするのではなく、ある事業に対して、事業費を補助していけば、しっかりとその点も明確になるだろう。

例えば、事業費補助にしていけば、その団体の中の慶弔費、それも非常に私的な慶弔費やそのほか諸々に使われたとしても、明確に区別ができると考える。

ただ、今の運営費を補助するやり方というのは、ある事業に対して1千万円位かかるでしょう、だから1千万円出しましょう。しかし、お金に色はないから、どこででも使えてしまう。この点が曖昧になるわけです。

だったら、事業費という形でなるべく補助をしていく方が、明確になると思うが、いかがか。

川崎商工労働総務課長       ○ 補助対象経費の明確化という話の中で、補助対象経費になり得ることが補助金を出す場合の大前提であり、補助対象経費になったから直ちにお金が出て行くものではない。また、補助金の一つの大きな前提であるが、予算の執行にあたっては、最小の費用で最大の効果をあげていかなければならない、これも自治法に基づく考え方であり、必要最小限での経費が求められる。

 それから、非効率に事業を執行している場合には、実際の経費ではなくて、補助対象事業を実施するために必要な最小限の経費を補助対象事業費としている。

 また、その積算にあたっては、予算の範囲内としているので、補助対象経費=補助金の計上というものではない。

菅原委員               ● しかし、ある団体に1千万円出しました。それなりに使われた。あるいは他のものに使われてしまった。収支を見ればわかるわけであるが、そういう時でも返してくれと言って、お金を戻すことはしないわけか。

川崎商工労働総務課長       ○ 補助金の交付決定にあたっては、基本的には補助金の交付申請という手続きをまず行ってもらう必要がある。

 交付申請が適正と判断された後に、補助金を交付決定していくが、補助金の交付決定については、各事業進行に基づいて一括して支払うのではなく、事業の進捗に応じて分割して支払う、あるいは建物が完成した後に額を確定させて支払うなど、というものもある。

 ただ今お尋ねの、「余った場合には返還させるのか」ということについては、法令等に基づき、検査、履行確認を行い、不用額や、あるいはこれは補助対象経費に当たらない、または補助金の目的に外れているなということが途中で出てきた場合には変更承認を行う場合もあるが、基本的には不用額として「額の確定」を行い、県に返還してもらう。

菅原委員               ● 今まで返還された事例はあるのか。

川崎商工労働総務課長       ○ 「返還」という強い言葉を使ったが、不用額という形で県に戻入する、一回出したお金を戻すことはある。

 例えば昨年も、事業見直しをした結果、不用額については額の確定を行い、県に戻入した事例がある。

菅原委員               ● ただ、それはすごく正直な場合だ。必ずしも全てがそのように素直にやってくれるかわからない。何とか理由を付けて、事業費の中の収支に潜り込ませてしまう。そういったこともできるわけであって、そこまでの細かいチェックはやはりできないわけか。

川崎商工労働総務課長       ○ 細かいチェックはしている。書類の審査だけでなく、現場検査もしている。また、中間検査で大きな変更が認められれば、変更承認もとるよう指導している。

菅原委員               ● 「やってますよ」と言われれば、それ以上突っ込めないが。

 チェックという言葉、あくまでも行政からのチェックだったが、補助金は県民の税金である。ということは、補助金をその団体で適切に使っているのかどうかということを、県民の皆さんが知る権利があると思う。それは補助金の多寡に関わらず、補助金が少しでも入っている団体は、それなりの情報を公開すべき責任があると思う。最近は便利になったので、どの団体もホームページを持っている。

 そうであれば、補助金をもらっている団体の財務の状況、事業の状況の全ての資料を持っているが、これを全てホームページ上からは手に入らなかった。ある団体においては、こういった情報全てがホームページで公開されていて、大変すばらしいと思うが、その一方で、ある団体では、その収支状況すら公開されていない。

 そういったところは、補助金を出す要件として、ある程度情報公開をしなければだめですよと相手の団体に求めていってもよいのっではないかと思うがいかがか。

川崎商工労働総務課長       ○ 県からの補助金は、確かに税金、公金であるので、補助対象団体についても積極的に公開を促すことについては、委員のお話のとおりである。

 県についても、県民本意の県政を目指していく中では、情報公開の充実や積極的な情報提供に努めている。

 ただ、一方では情報公開条例の中には、非公開情報の扱いもある。特に、先程来議論されている団体というのは第三者機関であり、専ら法人等の扱いについては、特別な情報公開の扱いにもなる。

ただ、県が取るべき立場としては、基本的には公開が原則である。商工労働部が所管している団体については、基本的にはホームページに記載しており、その中でつまびらかになっているかどうかは一部課題はあるが、基本的には財務状況も含めて透明度を高めていく指導をしていく。

菅原委員               ● 「指導していく」とのことだが、私は、そうあるべきだと思う。指導ではなく、「そうでなければ補助金は出せませんよ」くらいの強い姿勢で臨まなければならないと考える。特に補助金の割合が2割、3割、4割、5割と大きな団体は、それが数%であればよくはないがしょうがないと私は思うが、3割、4割と、運営費のほとんどを補助金でやっているような団体は、そうでなければならないと思っている。

出せない情報、例えば役員の方の住所などは県民も知りたいわけではなくて、事業の内容と収支の内容は、NPOだって申請に出していくわけであって、こんなことは当然のことである。

それをしっかり、来年度あたりからちゃんとここにある団体は全部出ている状態にしてほしいが、いかがか。

川崎商工労働総務課長       ○ 基本的には、商工労働部が所管している公金、あるいは職員、OB等が就任しているような団体には、基本的には公開が原則という視点でこれまでも臨んでいるので、ただ今、委員のお話を受け、もともと透明度を高める取組みはしているが、引き続き、そういった視点に立ち、やってまいりたいと考えている。

菅原委員               ● わかった。来年度以降、こういった情報がホームページでしっかりとれるようになっていると私は約束していただいた、努力していただけると思っているので、よろしくお願いしたい。