平成25年6月21日 ①保育に携わる人材の確保と専門人材の育成について

松崎:    今、この子育て支援のための新しい制度について少し伺っていたが、私からは保育所整備に伴って必要となる保育士のことについてまず伺っていきたいと思う。保育士不足が生じているということは、すでに多くの人が知っているところであるが、急ピッチで進む保育所整備というところがその背景にあると思う。ただ、当局の説明を聞いていても、やはり人材の育成ということは大変重要な部分で、県の施策という意味でも、広域性、あるいは専門性というところからは、やはり必須の記載事項に計画の中でもなっているということであるから、まずその点を聞いていくが、どのくらいの保育士が保育の仕事に現在県内で従事しているのかということと、年間何人ぐらい新たに保育士が増えているのかを聞く。

次世代育成課長:                昨年4月1日時点での県内の認可保育所における保育士の従事者数は、18,347人である。新たな保育士の増の部分だが、県内の保育士養成校をこの3月に卒業し、資格を取得した方が2,451人、それから保育士資格については、保育士試験に合格することによっても資格を取得することができ、その保育士試験、神奈川県の保育士試験の合格者が920名、合計で3,371人が昨年の新たに資格を取得したところである。

松崎:    実際には最初に申し上げたとおり保育士不足の規模が明らかになっているが、保育士の数を確保するために県が独自に今行っている取組みは何なのかお答え願いたい。

次世代育成課長:                県独自の取組みということでは、新たに就業する保育士の確保と、離職防止に取り組んでいる面がある。

 まず、共通の取組みとして県内の児童福祉施設に多年勤務して、特に顕著な業績がある保育士に対して知事がほう賞する、神奈川県保育賞を実施している。この保育賞は、現場の保育士の皆さんが保育の仕事を継続する上での、大きな励みになっているという保育関係者のお声を頂いているところである。同時に、保育賞授賞式には、県内の保育士養成校の学生が参加し、受賞者のメッセージを直接聞いて、保育の仕事のすばらしさ、やりがいを実感し、保育士を目指す志を一層強くする機会となっていると、養成校の関係者から評価を頂いているところである。

 さらに近年、課題を抱えた子どもや保護者への対応で燃え尽きてしまって、離職する保育士が増加傾向にあるので、平成24年度から虐待を受けたお子さんや、虐待傾向にある保護者、あるいは、発達障害があって育てにくいなど課題のある子どもへの支援についての専門研修を実施している。この研修は、施設長や主任保育士を対象とした集合研修と共に、保育所の現場に専門家を派遣して職場ぐるみで実施する研修を行い、保育士が個人で問題を抱えこんでしまって離職につながることがないよう、組織としての対応力強化に重点を置いたものとしているところである。

松崎:    確かに、賞によって汗をかいている方の現場での営みというものに対してきちっと光を当てるということは大切だと思うし、また専門研修、あるいは1人にしない、チームで対処するというようなところも、これからもっと大事になるんだろうと思うが、ただ一方で、保育人材の不足というのはそれを遥かに上回るような勢いで、今深刻になりつつあると思う。そこで、県の同じような取組みで考えられるのは、看護師に対して資格を持っておられる、経験のある方に、潜在看護師の方々に対して、もう一度職場について頂けないかというような取組みをしていると思うが、同じような形で、資格を持っておられる経験のある方々に、もう一度カムバックしていただくようなそういった取組みはやっていないか。なにか考えていないか。

次世代育成課長:                いわゆる潜在保育士の再就職の問題であるが、この部分については県からの委託により、神奈川県社会福祉協議会のかながわ福祉人材センターにおいて、求職希望の福祉人材の方に登録をしていただき、就職の紹介、斡旋をする福祉人材バンク、それからそういったご希望の方に、就職支援のガイダンスなどの実施をしており、保育士も社会福祉人材の一環として、対象として取組みをさせていただいている。

 ただ、委員ご指摘のように非常に保育士の不足が顕在化しているので、こういったものについて今後検討をさらにする必要があると受け止めているところである。

松崎:  そういう取組みをぜひ拡充をしていかないと、課題の解決というのはなかなか難しいのかなと。そういうセンター機能というようなものも、それ自体ももっと評価しないと、そこだけでは、やはりなかなか細い枝の幹だけでは、受け止め切れないものがたくさんあるのかなと思う。それと、もう一つだが、横浜市は確かに待機児童ゼロということで、林市長は、全国的に阿部総理も含めてスポットを当てていると思う。我々若手としてもそこを評価しているわけであるが、その一方でさっきおっしゃっていたみたいに、これから幼稚園のことを考えるときに幼稚園の経営に当たられている方ご自身が選択をどうするかということもかなり悩まれている方なので、それとおなじようにやっぱりということは、粋をなす利用者の方々も、保育の面も含めてどういうふうに選択をしていこうかということがこれからかなり悩まれる場面が出てくると思う。待機児童ゼロになったという横浜市の場合、保育コンシェルジュという言葉が非常に脚光を浴びているが、これを具体的に県はどういうふうに見ていて、利用者サイドの視点に立ってどういうガイダンスも含めて働きが必要なのか、あるいはそういう人材は横浜にはいるけど、神奈川県全体としてみた場合は、どれくらいおられるのか、足りないとしたらどうするのか、たくさん聞いてしまうが、考え方があったら、考え方だけでも示していただけないか。

次世代育成課長:                委員ご指摘のように、新制度においては、利用者にとっては教育・保育の必要量の認定制度、それから現在の認可保育所以外にも小規模保育などいろいろな保育事業が導入されており、選択の支援というものは非常に重要になってくるものと考えている。そういった中で市町村が利用者支援を行うということが、子ども・子育て支援法と児童福祉法双方に位置づけられたところであり、市町村の取組みをしっかりとやっていただくことが重要であるというふうに受け止めている。

 こういった相談や支援を行っていただく人材としては、保育に関する幅広い知識と共に、当事者によりそって、当事者の立場に立った相談技術を持っている方が必要となってくると受け止めている。

 このため、具体的な人材としては、保育士など保育の専門家の方、県内に子育ての当事者の立場で保育関係の情報の収集・提供を行っているような子育て支援のNPO等もある。そういった方たちの活用が想定されるところかと思う。

利用者支援事業については、国の子ども・子育て会議などでもいろいろ検討が進められるようであるので、そういった検討に注視しながら、本県として取組みを進めて行きたいと考えている。

松崎:    今までいろいろ伺って来たところで、若干整理させて頂くと、一つは保育士が足りないから確保しなければいけないということ、そのためには、新たに保育士を志す人たちと、すでに経験のある人たちを掘り起こさなければならない。それから受け止めるための人材センターみたいなところも、もっと機能強化しないといけないし、幹から伸びる枝みたいな役割をなさる方々も、必要である。それから、今おっしゃったNPO等の連携というものもあるし、まして専門人材の養成、確保が必要だ。そして、幅広い知識とさっきおっしゃったが、私は、経験ということも当然含んでいるのだと思う。そうすると、幅広い知識、経験プラス寄り添うハートのある人に、こういうコンシェルジュみたいなものを横浜以外のところでもしっかりやってもらいたい。そうするとやらなきゃいけないことがすごくたくさんあるではないか。これについて、ではどういうふうに、具体的に複数年度でどれくらいの達成をいつ頃までにやろうか、予算的な手当てをどうしようかというのは、子ども・子育て会議を設置するというけど、その中で解決できるのか。そうではなく、地域のニーズやら何やら全部把握しようとしたら、そんな会議とか20人いないとかで、私にはなかなか900万人の県で、20人がマックスでそれで解決いかないだろうと思うが、どうか。

次世代育成課長:                実は新制度においては、さらに幼保連携型の認定子ども園では、幼稚園教諭と保育士資格を併用する保育教諭という資格が新設されたり、あるいは放課後児童クラブの指導員にも資格制度が導入されたりといったことが予定されている。そういった資格制度の導入に伴い、その資格取得の支援といった部分も県の役割となってくる。

 今、20人の子ども・子育て会議でという話があったが、子ども・子育て会議には部会を設けることもできるので、大変大きな問題なので、専門の委員なども加わっていただいて、集中的、専門的な検討を行うということと、市町村とも連携してやっていったり、NPOと連携してやっていったりというようなこともあるので、子ども・子育て会議の場だけでなく、平行してそういった検討も進めて、集約する場として子ども・子育て会議を活用させていただくというような、そのようなことになろうかと考えている。

松崎:    今答弁の中でも大変スケールの大きい問題だというお話があり、私もそう思う。そしてもうひとつは政令市との関係。横浜は横浜でやっているが、県としてはやっぱりそれにきちっとした県としての役割、特に専門人材や人材確保、育成の問題は、県が非常に主導的にこれから関わっていくということか。そこで県民局長にお聞きしたい。政令市との関係も含めて、これからどういう人材確保、育成策というのをトータルで考えていくのか、ご所見があればぜひ伺いたいと思う。

県民局長:            子ども・子育ての新制度、27年4月本格スタートということが予定されている。これは、やはりこれまでの間の中で一番大きな変更を、当事者、利用者にとっても、また、それから事業者にとっても、市町村にとっても大きな影響を及ぼすものである。

 その中で、神奈川県、つまり都道府県の役割というものが、子ども・子育ての実施の主体は市町村ということであるが、広域自治体としての都道府県は、ご指摘のとおり保育士を含めた専門人材、この確保、育成、そしてまた障害を持った子ども、あるいは社会的養護を必要とする子どもへの支援を、専門的、広域的な視点から、しっかり取り組まなければならないと考えている。

 このため、今回子ども・子育て会議の設置の提案をさせていただいているが、それだけではなく、日ごろから市町村としっかりと連携をとること、それから幼稚園、保育園等々当事者の方々と情報交換を密にしてしっかりとやる。そういうことを通じて、保育所あるいは幼保連携型のこども園、あるいは幼稚園というハードの部分もしっかりと整備していき、それを支える多様な人材、これも新たな育成の部分もあるだろうし、潜在保育士さんと呼ばれる方々をもう一度職場に戻ってもらうためにどうしたらいいか、ということもしっかり並行して、考えながら、27年4月が円滑にスタートできるように我々としては大きな問題と受け止めて、取り組んでいく所存である。

松崎:    この子ども・子育て支援の新制度が、充実したものとなるかどうか、ということについては、子どもや親子に直接接して支援を行う、今まさにテーマとさせていただいた、専門人材の確保、それからその専門という部分の専門性の向上、これが鍵を握っていることは言うまでもないと思う。県が、ぜひ専門的広域的な機能を発揮して、政令市も含めて、この子ども・子育て支援の人材育成について、しっかりと取り組んでいくよう要望して、もう一問、次の質問に入りたいと思う。