平成25年6月21日 ②神奈川県が行うグローバル人材の育成について

松崎:    グローバル人材を育成すると県民局の方からも強く打ち出しているわけだが、どんな人材をグローバル人材と考えているのか。

国際課長:          政治・経済・社会等のあらゆる分野で、「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」が国境を越えて高速移動し、全地球的規模で様々な課題を捉えることが不可欠となったグローバル化した世界の中にあって、豊かな語学力、コミュニケーション能力、主体性と積極性、異文化に対する理解、を身につけて国際的に活躍できる人材を「グローバル人材」と考えている。

松崎:    そんな人がいるのだろうか。

国際課長:            確かにそうした人はたくさんはいるわけではないと思うが、そうした人材をできるだけ育てていきたいと考えている。

松崎:  育てていきたいという気持ちはすごくわかる。私も同感だ。特に国際課でそう考えるならば、まず率先し、県庁の中にそうした人材がたくさんいるようになるのが望ましいと思う。そこでお聞きするが、国際課の事業だけでそうした人材育成は可能か。

国際課長:            「グローバル人材」の概念に含まれる先ほど申し上げた要素はかなり幅広いことであるので、委員のご指摘のとおり、国際課の事業だけでできるというのは、無理だと思っている。

 教育委員会でも教育委員会の立場で、国際的な人材の育成ということで様々な取組みみをしていると聞いているので、そうしたことと相まって、グローバル人材が育成されればいいと考えている。

松崎:    昨年度、文教常任委員会に所属しており、今年度は県民企業常任委員会にきた。教育委員会においても確かに国際化ということには随分と考慮をしたいろいろな手を打とうとしていることは承知しているし、具体的な県立高校の中でも、そうしたことに特色を持たせようとするところもある。ただ、そういうふうにして、では人材育成というのは、例えば県立高校3年間が過ぎました、あるいは国際課としてセミナーを開きました、そこに参加をしたという時点では、グローバル人材が育ったということにはならないということで、10年とか15年とか、長い時間がかかると思う。この息の長い中での取組みみをどうするのかというのが、今の事業の並んでいるところでは見えてないのだが、どのように考えるか。

国際課長:            まずは今年度の予定している事業を展開していく中で、いろいろなことが見えてくるかと思う。その中で反省すべき点があれば反省しながら次の事業に役立ててまいりたいと思う。

松崎:    私はなにも高いところから反省しろと言っているわけでは全くない。具体的にスタートを切る時に10年、15年かかるぞということは気構えとして持っていないと、単年度事業としてセミナーを開きました、参加者が30人でした、それでそのことについて事業評価をしてだめだからやめてしまおうとか、そういうことになると全然グローバル人材が育たないから言っている。

  例えば、セミナーを開きました、ここに載っている「青少年国際セミナー」がある。それで、具体的に例えばハーバード大学とか超有名、超スーパーなところでなくても、アメリカがいいなと思って行ってみる、あるいは中国がいいなと思って行ってみる、行ってみたけれど行った先がすごくよくてもう神奈川県に帰ってこないかもしれない。帰ってこないけれどその人は本当にスーパーな人になって、スーパーな人に別にならなくても、本当にその土地で立派な人として成長していくことが大いに考えられる。神奈川県の事業として、この人たちにある意味では税金を投入して送り出した結果、帰ってこなくなった場合、そのことはどのように考えるか。成果であるか 。

国際課長:            委員のおっしゃるとおり、世界的にいろいろと活躍される方、そこに残って活躍される方などいらっしゃると思う。企業にしても経済にしても世界的に展開していく中で、神奈川出身の方が、神奈川出身のグローバル人材が、世界を舞台に活躍されること、あるいは世界のある国で平和と安定に資するようなグローバル人材の活躍があること、そのこと自体、広い意味でいえば神奈川の発展に繋がるという思いで、この事業を展開していきたいと思っている。

松崎:    なかなか練られた答弁をしているので、考えてしまうのだが、一つ、最近、本会議の答弁で、確か知事がおっしゃったのか覚えていないが、ヨーロッパとかアメリカの駐在事務所を廃止するような話をされている。ところが、本県の実情を考えてみれば、アメリカとは災害時の応援協定などを結んでいたり、それから、神奈川の今のライフイノベーションなどを考えても、米国との関係は切っても切れないと思う。人材の面でも。それから、羽田が国際化して24時間化していくという中では、アジアもあるが、やはり欧米という関係もあるし、具体的に言うと、JALだANAだというところも、国際線も、サンフランシスコだ、東海岸というところへ考えている。そうした中で、例えば、アメリカとの関係などを例に取ると、これ、どういうふうにこれから考えていくのか。商工労働、産業労働だから、駐在事務所のことは関係ないよ、という話になると、そんな程度なのかと思ってしまうが、どう考えるか。もし、課長が難しければ、局長で結構だ。

県民局長:            海外駐在事務所は、経済交流を中心に機能を持たせていただいており、当然、県民局が所管している国際課の仕事である、友好都市提携とか、様々な交流についての窓口的な機能も、当然関わっていただいているが、基本的に経済交流中心の中で、海外駐在事務所のあり方を、今日的視点で、今回見直しをしたいということを知事が答弁していた。ただ、私どもとしては、確かにメリーランド州などについて、北米についてのこれまでの交流の実績だとか、今後の展開を考えれば、重要な地域であるという認識を当然持っている。ただ、それが、駐在事務所との関係でどうかというのは、またちょっと違う視点だと思っているので、いろいろなご意見をいただきながら、私どもも、産業労働局に対しては、私どもの考え方をお話しさせていただく中で、今後のありようが決まってくるのかなと考えているところだ。

松崎:    確かにまた練られた答弁で本当に困っているけれど、もう一つある。なぜこれを聞いたかというと、実際に国際課、県民局でこういう留学応援セミナーなど、あるいはインターナショナルカレッジとか苦労していろいろなことを考えて、さぁ若い人たち来ました、高校生来ました、大学生に通う人も来ましたという時に、では例えば高名大学、あるいはまたどことかの大学などではなくて、サンフランシスコに行ってそこから世界を見てみたい。いろいろな人が来る。そうして目覚めたときに、では神奈川県は目覚めさせるだけ目覚めさせておいて、あと具体的にこんな風なことが希望なんだよということが出てきたときに、タグを子供たちが若い人たちがみんな一個一個つけたタグに対してどういう発信ができるのか、どういう繋ぎ渡しができるのかということになる。それで、そのときは「いや、知りませんよ。あなたが希望を持ったのだから、あなたが自分で歩いて来いよ。」という話にしてしまうのか、それとも例えば駐在所のことは一例ですけれども、何か繋ぐ機能、橋渡しする機能があれば、少なくともする。後の具体的な費用はアルバイトして、自活して稼いでいけよ、くらいのところでもよいとは思うが、そういうところが問われると思う。窓口がこんなにきれいに100%あっても、それは全部絵にかいた餅に過ぎなくて、あとは全部穴あけるところから始めようという風にするのか、そこなのだと思う。そこの考え方を最後に聞かせていただきたい。

国際課長:            そうしたことは、私どもが25年度に展開しようと思っている事業の中でも意を用いて展開していこうと思っているが、やはり例えば高校生の方、海外に目を向けて進んでいきたいと思う高校生の方、どんな悩みを持っているのかを聞く場面もあるので、その中でいろいろな手の差し伸べ方を検討しながら進めていきたいと思う。

県民局長:            グローバル人材、コミュニケーション能力ですとか、いろいろな定義の仕方をさせてもらったが、やはりこれだけ社会が動いている中で、世界的に視野を持って、自分の考え方、自分の行動力で生きていく、世界に羽ばたいていけるような人材を育てていきたいということである。それにあたって、確かに火をつけただけか、という話もあるが、自らそれを元に歩いていただければ一番いいことだと、やはり思う。ただ、それに至るまでにいろいろなステップ、いろいろな場面があると思うので、それに応じた支援というのは、強制的にも必要な部分は、やっていきたいと思う。その中で、例えば高校生であれば、今、答弁させていただいたが、進路指導の中で、どういう大学でいけばどういう留学先を確保できているか、あるいは大学の中でも留学生との交流をどういう風に作っていったらいいのか、そういう一環として今、「かながわ国際ファンクラブ」を作らせていただいて、そこで、具体に留学生あるいは留学経験者と、高校生や大学生らが実際に話をしながら自分でステップを見つけ出せるような試案を考えているので、そういうことも通じて行っていきたいと思うし、あとは友好交流先との中では、実際にメリーランドへ高校生を派遣する事業もしているが、それがやはり非常に良い経験になって、ホームステイ先からよい収穫を持って、神奈川に帰り、それを友人に広め、そしてまた理解が広がって、さらなるグローバル人材が育つきっかけにさせていただいている。そうしたいくつかの手段を組合せながら、トータルとしてグローバル人材を育成していく方向にもっていけたらと考えている。

松崎:    非常に真摯な答弁をいただいたと思う。ぜひとも、神奈川の明日を形作っていく彼たち、彼女たちの希望を形にするためには、まず踏み出す最初のステップだけで結構であるから、そこのところについてはよく心配りをされた支援をぜひお考えいただいて実行していただくように要望して、質問を終わらせていただく。