平成25年10月28日決算特別委員会での質疑のまとめ

(2)学校における消費者教育について

松崎:     主要施策説明書34ページ「6 安全で安心できる消費生活などの確保」の中で、学校における消費者教育の推進に取り組んだ、との記載があります。これについて何点か伺います。

まず、消費者被害に遭うということを防ぐためには、学校での消費者教育が重要と考えますけれども、24年度に消費者行政の中ではどのような取り組みを行ったのか伺います。

渡邉消費生活課長:             学校での消費者教育については、県では教育委員会や私学の担当課などの行政機関のほか、公立・私立の教育機関関係者などで構成する、「学校における消費者教育推進協議会」を設置し、推進方策について協議しております。具体的には、協議会における検討を経て、中学生向け及び高校生向けの授業での活用を目的とした教材や、教員向けの指導用解説書を作成・配布しております。

  また、これとは別に、その時々の消費者被害の状況に応じた教材等も作成しております。例えば、平成23年度になりますけれども、近年急速に若年層にも普及したパソコンやスマートフォンによる、インターネットの利用を通じた被害について具体例を疑似体験できるDVD、これは「インターネットの危ない世界」というDVDでございますけれども、こういったものも作成しました。

  さらに、消費者教育における教員の指導力向上のため、小・中・高等学校の教員を対象とした研修を実施しているところでございます。

松崎:     答弁ありがとうございます。そうしますと、これは教育局に伺わなければいけないのですけど、若い人への消費者教育として県立高校では、さまざまな教育を行っているということは聞いているのですが、具体的な取り組みについて詳しくお伺いしたいと思います。

久保田高校教育指導課長:                 県立高校としましては、全ての生徒に対して家庭科でありますとか公民などの授業の中で、消費者被害の未然防止などを目的とした消費者教育を行っております。具体的な例といたしましては、家庭科の授業で、消費者問題の現状と課題について、生徒自身がグループで話し合うなどのワークショップの実施、さらには金融機関の職員を講師とした、マネートラブルトラブルに関する講演会などを行っている学校もございます。そのほか先ほども答弁でありましたけど、高校生が被害に遭いやすい占いサイトであるとか、オンラインゲームなどによるインターネットのトラブルを擬似的に体験できる教材が、県民局のほうから全県立高校の方に配布されております。使用状況について確認させていただいたところ、144校中45校がすでに家庭科や情報科の授業で活用しておりまして、9校が今後活用する予定で、18校が現在検討中であると把握しているところであります。

松崎:     DVDが配られていて、144校中45校が活用しているということですが、まったく活用していない学校は何校あるのですか。

久保田高校教育指導課長:                 144校のうち、45校が活用しているということですので、99校が活用していないということになります。

  9校が今年度中に活用予定で、18校が今現在検討をしているということでございます。

松崎:     すると残りの72校はどうなっているのですか。

久保田高校教育指導課長:                 現在72校については活用していないという状況が現在、把握できたとこでございます。このような教材の活用は非常に重要なことであると考えておりますので、なぜ活用されていないのかということにつきまして、原因を把握していくとともに、これからも周知するとともに多くの学校で活用できるよう働きかけていこうと考えております。

松崎:   高校生といっても発達段階、それぞれ16歳、17歳、18歳とか全日制の普通科の学生だとそういった年齢だと思うのですけど、そういった年代の子どもたちであるということに違いは無いです。同じような危機感を持って、県民局から、県民の税金で作成をされたものが配布をされている。使用されていないという状況について、今把握をして、これから対策をってことなんですけど、そもそも危機感があるのか無いのか、どうなんでしょう。危機感があって、子どもたちを守らなければならないというのであれば、なぜ教育局として積極的に活用すべしということを一律に徹底しないのですか。

久保田高校教育指導課長:                 委員ご指摘のとおりですが、全ての県立高校で授業の中で、消費者被害の未然防止ということは扱っております。さらにそれ以外の取り組みにつきましても、講演会でありますとか、それぞれの関係機関の方からの話や、ワークショップなどを実施している現状がございます。従いまして、非常に有効なものであるとの認識はございますけれども、このDVDの活用につきましては、今後にということで、先ほど答弁させていただいた状況でございます。

松崎:     それにつきましては、活用してくださいとここで要望するまでも無く、当然活用するべきものであると思いますので、当局としてもそういった考えで間違いないですね。

久保田高校教育指導課長:                 有用な体験ができるDVDでございますので、今後活用させるように働きかけていくことを考えております。

松崎:     では、これも先ほど答弁中にございましたけれど、授業の中で消費者教育をやっているということですが、それでは年間何時間くらいを、県立高校では消費者教育のために当てているのでしょうか。

久保田高校教育指導課長:                 家庭科の中でも家庭基礎、家庭総合という科目がございますけど、この消費者教育については4時間程度と把握しております。

松崎:     4時間で十分なんでしょうか。

久保田高校教育指導課長:                 それ以外にも実施していく必要が、昨今の状況から考えた場合には、あるのではないかと考えておりまして、それぞれの学校ではマネートラブル以外にもインターネット上のトラブルについては、様々な取り組みをさせていただいているというところでございます。

松崎:     多様な被害があると思いますので、様々な取り組みが必要だと私も思います。

それでは県民局消費生活課長へもう一度伺います。

教員向けの研修を行ったとおっしゃっていますが、実績はどういうものでしょうか。24年度の実績を教えて欲しい。

渡邉消費生活課長:             消費者教育教員研修ですけど、教員が参加しやすいようにということで、夏休みの期間中に実施しております。平成24年度は全8日間の日程で、計354名が受講しております。参加者の反応の中には、「学校での授業や生徒指導、保護者への説明にそのまま使える素材だった。」あるいは、「新しい情報を子どもたちに話すことができる。」こんなような感想がございました。

松崎:     夏休み8日間、354名の参加ということですけど、どういった科目の先生なのでしょうか。

渡邉消費生活課長:             技術・家庭科関係でございますが、こちらが31.7%でございました。あと、社会科系が18.2%。その他として50.1%でございます。

松崎:     それでは、本来対象とすべき、いわばこの354名の分母は何名なのでしょうか。本来参加すべき方々というのはトータルで何名ぐらいなのでしょうか。

久保田高校教育指導課長:                 先ほど県立高校で授業を実施しているということで、正確な把握ではございませんが、ざっとで、公民科のほうで約300弱、家庭科のほうでも200強、情報のほうでも200弱ではないかという風な感じでは捉えております。

松崎:     そうすると、大体800名というふうにざっくり考えていいですか。

久保田高校教育指導課長:                 厳密な調査ではないが、そのくらいの数ではないかと把握しております。

松崎:     そうするとずいぶん乖離がある。参加してもらわなくてはいけない方は800名おられるけれど、実際の参加は354名にとどまっている。この差、どういう風に受け止めたらいいのでしょうか。これは、その、例えば子どもを取り巻く状況に対する危機感が希薄なのか、それとも、そうではなくて大変忙しい最中であるから、時間をとるのが大変難しいという、行きたいけれども行けないという人が過半数を占めている、どちらなのでしょうか。

渡邉消費生活課長:             参加者につきましてですが、この研修は単年度ということではなくて、毎年毎年開催しております。24年度に参加できなかった方については、25年度に参加していただくということで、なるべく参加していただきたい。こんな風に思っております。

松崎:     期待を込めてという意味合いの答弁でしたけれども、実際にそうやって必ず違う人が参加するというようなローテーションみたいなものが年度を越えて組まれているのでしょうか。

渡邉消費生活課長:             必ずしもローテーションで決まっているわけではございません。

松崎:     随分伺ってきたけれども、それはひとえに、若者というふうに県民局は呼んでいて、教育局のほうでは高校生という風に呼んでいる、おそらくは同じ子どもたちがかなりいるという、その若い層で消費者被害に遭わないための対策という点に絞ってお聞きしています。

  そうすると、これはかなり課題も見えてきているのですけども、いかがでしょうか。その、指導力向上を教員の方に図るといっても、インターネットサイトを使った詐欺というだけでも手口はどんどん巧妙化していると、本会議等においても県警察からも伺っているところでして、アップデートされた内容で勉強して、勉強というのか知識を得ていかないと、教える側というのは子どもたちからすると、さらされている危険について有効な警告をしてくれる存在でなくてはいけないわけだから、そこが大変難しいのかなという風に思います。

  どのような工夫をして、それでは、そういう研修をしているのでしょうか。

渡邉消費生活課長:             まず、教員研修の企画については、協議会のもとに設置した、小・中・高等学校の社会科や家庭科など関係教科の教員などで構成するワーキンググループによりまして、前年度研修の参加者アンケートなどを参考にして、教育現場の声を反映したものとなるように検討しております。

  具体には、「模擬授業形式」や授業での実施方法を想定した「グループ討議」などを取り入れて、実際に授業ですぐに活用できるような講座を行っているところであります。

また、参加者の意見を反映して、教材としてそのまま授業で活用しやすいレジメの作成を講師に依頼するとともに、座学だけでなく実習や体験を盛り込むなどの工夫も行っているところでございます。

松崎:     教育局長にお伺いしますが、学校現場から実際に県民局が開催しているそういった研修の場へ参加される方の数とか、あるいはまたこれからどうしていくのかといった課題があると思われる答弁を今いただいていますが、教育局長としてはあるいは県民局としては、こうした24年度中に浮き彫りになっている課題について、今年度あるいはこれからどういうふうに取り組んでいくお考えなのか、基本的な部分をお聞かせいただきたいと思います。

安西教育局長:   一番いいのは全教員が参加をして、そしてその研修を受けた内容を子どもたちにフィードバックできるというのが、一番望ましいと思います。

  または、そう言いながら、なかなか時間の取れない教員もいます。そういった部分については、一つはローテーションで行くというのが一つの手、それからもう一つは、受けた研修を自分のものだけにしないで、学校に戻ったら必ずそれを全教員にフィードバックする、そういった形で最終的には全教員がきちんと受け止めて、最終的には生徒が被害を受けないような形にしていきたいと思っております。 松崎:     要望を述べます。消費者教育は家庭科や社会科との結びつきが強いということに着目をされて、研修を強化していくことは結構ですが、特定の教員だけの問題と捉えられがちなのではないかという懸念があります。言うまでもありませんが、消費者教育は子どもたちの生きる力を育てるというものであり、犯罪に遭わないために活用されるべきものであります。学校全体で取り組むという、今の教育局長の答弁を重く受け止めさせていただきます。今後、教育委員会と県民局が連携をさらに密にしていただいて、各学校で実際に消費者教育が効果的に進むよう取り組んでいただくように要望をいたします。