2016年12月15日 県民・スポーツ常任委員会質問要旨

(質問要旨)

若手セーラーの育成について

松崎        東京五輪に向けては、大会成功のための準備だけでなく、大会後のレガシーとして何を残すかということが、言うまでもなく重要である。

 県としても、江の島のセーリング競技開催に向けて準備を進めているところであるが、大会後も見据えて取り組んでいかなければならない。知事もこれまで、本会議の答弁の中などでも、東京大会を契機に、江の島をセーリングの聖地にしていくという答弁をしている。

 その実現のためには、江の島のセーリングを支える人の力が不可欠であると同時に、若い世代には、次の世代を担うセーラーとして活躍していただきたいと願うところである。

 そこで、大会後のレガシーとなるような、若手セーラーの育成について、県立高校でのヨット部の立ち上げという観点を含めて、伺いたい。

 私立高校でのヨット部の活動についてはよく聞くところであるが、県立高校でもヨット部の活動が盛んに行われるくらい、多くの高校生がセーリング競技に興味を持ってくれればと思っている。

 神奈川でセーリング競技を普及するためには、やはり若い世代に裾野を広げていくことが重要である。

 県は、今年度から、小中学生を対象とした体験会をやっており、これは非常に重要なことだと考えるが、今後は、もう少し上の若い世代にもセーリング競技の浸透が求められていると考える。

 こういった観点から、どういうことが必要であると受け止めて考えているのか、伺いたい。

オリンピック・パラリンピック課長              

 県では、今年度より、委員のお話のとおり、小中学生を対象にしたセーリングの海上体験会を実施しております。

 セーリングに初めて触れる小中学生から、「楽しかった」「もっと乗っていたかった」などの感想を聞いており、この中から、未来のセーラーへと育つ人が出てくることを期待しています。

 委員のおっしゃいました、もう少し上の若い世代にという観点でございますが、今後は、この海上体験会の対象を、高校生にも拡大していくことを検討してまいりたいと考えています。

松崎        高校生にも拡大していきたいということで、セーリング体験会、それによる効果も一定の期待をできると思う。ただ、これだけでセーリング人口を増やすというのは、なかなか難しいのではないかと思う。

 また、セーラーとしての第一歩を踏み出した人に対して、さらに競技者としてその先に進んでいただく、そのための取組みというのはまた格段の取組みが必要かと思われるので、その点について考えをお聞きしたい。

オリンピック・パラリンピック課長              

 セーリングの競技としての魅力を感じてもらい、自分もやってみよう、あるいはステップアップしたいという気持ちを持ってもらうためには、やはり、トップアスリートのパフォーマンスを間近で見ることが最も効果的でございます。

 技術的な部分での学びが大きいことはもちろん、トップアスリートの熱気に触れることで、より一層高みを目差す心が宿ってくるものと考えます。

 2020年のオリンピック競技大会が行われることによりまして、本大会だけでなく、プレ大会、プレプレ大会が実施されることで、トップアスリートを身近に見る機会が増えることとなりました。

 さらに、2018年、2019年、2020年と3ヵ年連続での、江の島における「ワールドカップ」開催が決定いたしました。県では、藤沢市とともにこの大会に協力し、2020年に向けた機運醸成を図ってまいります。

 今後こういった国際大会が江の島で多く開催され、トップアスリートの技や熱気を間近で感じる機会を増やすことで、特に若い世代のセーリング人口の拡大と技術力の向上につなげたいと考えております。

松崎       64年からぼぼ50年経って、オリンピックの開催ということに再びなっている。ということは、今度のオリンピックから、また、何年か何十年かわからないが、そのうちに、やはりまた江の島で開きたい、また江の島で開かれるんだ、そういう形で結びついていく、3度目のオリンピックぐらい、やはりきちんと念頭において、人材を育成する、そして、連綿とセーラー人口としてつながっていくという形を描くべきであると思う。 それが、知事の言ったセーリングの聖地という言葉を使う以上は、それぐらいの意気込み、迫力がないといけないと思っている。 そこで伺うが、東京大会の後も、江の島を拠点に若い世代がセーリング競技に熱中し、その熱気に江の島が包まれるということがなければいけないと思う。それが、セーリングの聖地である。 東京2020大会に向けて、江の島会場の整備を進めていくものと思うが、大会後を見据えた環境整備の考え方について伺いたい。

オリンピック・パラリンピック課長              

 2020年のオリンピック大会に向けましては、江の島で、艇整備庫などの整備が求められているところでございます。こうした施設があれば、そこを活用しての研修を実施するなど、ジュニア・ユースの育成に役立つというふうに私どもは考えております。

 また、そういった施設につきまして、大会後ですけれども、ジュニア・ユースの育成拠点、それから、活動拠点になるような機能を持たせていく、こういったことも検討していきたいと考えているところでございます。

松崎         ぜひとも、東京大会の後、ネクスト江の島という、例えばこれは私の言葉であるが、こういった言葉が合言葉になって、次また江の島で会おう、というセーラーたちの合言葉になる。それが若い世代でまた、実現をするという形が、オリンピックの聖地、江の島が聖地だと知事が言う中身だと思う。

 そこで伺うが、セーラーの育成について伺ってきたが、県立高校でのヨット部の活動というものが、セーラーの育成には、本県としては大変重要ではないかと思う。 せっかくオリンピックのセーリング会場が半世紀ぶりに江の島に決まった。県を挙げて機運を盛り上げていく、オリンピック後のレガシーを残していこうと考えている。

 そうすると、将来のセーラーを育成して、セーリング文化を広めていくためにも、県立高校での部活は大変効果的であると考えている。こう考えているのは、私一人ではなくて、関係者も大勢そういう声を上げていることと思うが、例えば海洋科学高校では舟艇部というものがあり、マリンスポーツに大変力を入れているわけであるが、こういった学校の例を聞くまでもなく、県として、オリンピックを将来のレガシーにつなげていくために、県立高校におけるヨット部の立ち上げについて、取り組むべきだと考えるが、どう考えているか。

スポーツ局参事監              

 現在の高等学校で、ヨット部として部活動に取り組んでいる学校、これは実質的には私学、私立の学校三校ございます。そうしたことで、県立高校など、もっと多くの学校で、これが広がっていけば、セーリング競技の普及、発展に効果があるのではと考えております。

 そうしたことから、私どもといたしましても、今年度、県立高校におけるヨット部創部を検討していこうということで、今お話のありました海洋科学高校、それから、江の島周辺の高校など、数校の校長先生から聞き取り調査をしてまいりました。

 その結果、大きく四つの課題が出てまいりまして、一つ目はヨットに意欲関心のある生徒がいるかどうか、それから、二つ目はヨットや救助艇を購入する費用、それから三つ目はそのヨットの保管場所、また保管する費用、そして四つ目は、この指導にあたる顧問の配置、こうした四つ課題が出てまいりました。 中でも最初に申し上げました、生徒の関心、やりたいという意欲、これが、ヨット部を創って、その後も継続させていくためには、最も大事なポイントだというふうに考えてございます。

 そこで、来年度はまず、この江の島での海上体験会、これに小学生から高校生まで多くの若い世代に参加をしていていただきまして、ヨットの楽しさを味わい、関心をもっていただけるようしっかりと取り組んでまいりたい、特に高校生につきましては、重点的にこの体験会の広報をしっかりして、参加を促していきたいというふうに考えてございます。

 こうした活動を通しまして、県立高校にヨットを創りたい、という声、あるいは動き、こうしたものが出てまいりましたら、教育委員会あるいは、県のセーリング連盟等の関係団体、こちらとともに、でき得る限りの支援をしてまいりたいと考えています。

(要望)      過去、県の姿勢というものにつきましては、私もいろいろ側聞してきた経緯もあるが、今の答弁を聞いていると、一歩前進したというふうには受け止める。ただ、そういう機運が盛り上がってくればというあたりが、私からすると、まだ受身なのかな、という気もしないでもない。

 これは、レガシーだと言っているからでなく、海に親しむという本県の気風、もともと持っている文化であるので、そこのところをしっかりと力を入れて取り組んでいく、という能動的な姿勢で取り組んでいただきたいと思う。

 2020年以降も、若い世代のセーラーが湘南の海で、神奈川の海で風を感じ、世界のトップセーラーを相手にセーリングの技術を競う姿を、若い、あるいは多くの県民が見て、応援していく、という形がしっかりとできあがるように、県立高校でのヨット部の立ち上げについて精力的に取り組んでいくことを要望する。