3月4日常任委員会 立民・松崎委員答弁関係

(松崎委員)

基地問題は、第2の基地県である本県にとって県政の重要課題であり、また、当委員会で質疑をさせていただいてきました。その中で、昨年11月のオスプレイの墜落事故について、我が会派の代表質問で取り上げたところ、ここにきて大きな動きが生じております。12月7日以降、米軍は全世界のオスプレイの飛行を停止しておりますが、新聞各社の報道によると、既に米国は飛行再開を決定し、今週日本政府に説明したうえで、近く飛行を再開するとのことであります。この動きについて、事実関係をお伺いします。

(基地対策課長)

  新聞各社の報道は、米国AP通信の記事を基にしたものでございます。それによりますと、複数の米政府関係者の話として、米国オースティン国防長官は、軍のオスプレイの飛行再開計画を承認したとのことです。米軍は今週中にも日本政府への説明を予定している、その後、順次飛行を再開する方針だという記事があります。報道内容について、防衛省南関東防衛局に事実関係を照会しております。現時点では、米側の方から、オスプレイの国内の運用に関する事前調整という話は来ていないとのことで、それ以上の情報提供はございません。我々は南関東防衛局に対して、何か動きがある場合には速やかに情報提供するよう申し入れたところでございます。

(松崎委員)

  今の状況を踏まえ、県として今後どのように対応していくのでしょうか。

(基地対策課長)

 県としてこれまで、県市協として原因究明・安全対策の徹底等を国に要請しております。また、飛行停止措置をとった後にも、渉外知事会として、事故原因を踏まえた安全対策と、安全が確認されるまでの飛行停止、さらに適時適切な情報提供を要請しております。こうした要請事項が確実に履行されるよう、国に働きかけていきたいと考えております。

(松崎委員)

  事態は非常に切迫していると思います。報道によりますと、アメリカは日本政府に説明次第、飛行を再開するとのことであります。飛行再開前に日本政府の意向を聞くとか調整のプロセスが考慮されていないと感じます。このままでは自治体に安全性の説明がなされないままに、米国の判断だけで再開されてしまうのではないか、私はそれを恐れます。そのことに対する県の見解、また安全性に対する説明のないままに飛行するようなことがあったらどうするのか、基地対策部長にお伺いします。

(基地対策部長)

 安全性についての説明のないままに、米軍の判断だけで飛行が再開されたらどうするのか県の見解を、というお尋ねでございますが、そのようなことはあってはならないと県としては考えております。これまで日本政府は、平成24年にオスプレイを我が国に最初に配備したとき、オスプレイの安全性について日本政府は独自に検証を行い、安全性についての考え方を発表してきました。平成28年に名護市沖で不時着水、かなり大きな事故でしたけれども、これが起きた時も、飛行再開にあたり、安全性について見解を表明してきました。それが今回、その安全性についての検証を行わず、安全性についての説明もないままに飛行が再開されることがあれば、それは、国として、安全性についての見解が後退してしまうということになります。昨年11月、あれだけ大きな事故が起きている中で、そのようなことは許されないと考えます。従いまして、まずは安全性について、日本政府として判断を行い、説明するよう強力に働きかけてまいりたいと考えております。

次に、安全性について説明がないままに米側の判断だけで飛行が再開されたらどうするのかというお尋ねですが、万一そのようなことがありましたら、飛行再開を延期してでも日本政府としてしっかり安全性を検証を行い、説明を行うよう求めるほかはないと考えております。

(松崎委員)

事故以来これまで私が当委員会において、徹底した原因究明と安全対策を求めてまいりました。これは今も変わりません。飛行再開に当たりこうした措置が取られているか確認するよう求めます。オスプレイに対する県民の不安に向き合い、再発防止と速やかな情報開示を引き続き求めていただくよう、これも要望させていただきます。

次に、在日米軍の民間施設利用については、一般質問において、知事から「民間施設が事実上の基地のように使用されてしまう可能性」についてご答弁があったところです。こうした動きが現実になった場合、県内にどのような影響を及ぼすのか、また日米地位協定上どのような問題をはらんでいるのか、本日はその辺りをお尋ねしてまいります。

調べましたところ、民間施設利用の拡大は昨年1月の日米安全保障協議委員会「2プラス2」で決定したとのことであります。日米の防衛・外務の担当大臣による会議でございます。出席閣僚のレベルからすると、日米首脳会談に次ぐ重要な会議であり、従って、決定事項は大変な重みを持っているということだと思います。そこでお尋ねしますが、米軍による県内の民間施設の利用状況はどうなっているんでしょうか。また昨年1月の日米合意に基づき米軍が民間施設を利用したケースはあるのどうか伺います。

(基地対策課長)

昨年1月の「2プラス2」の共同発表以前から、他県では、報道等によりますと、米軍機が民間空港に乗り入れたり、友好親善のために船が港湾に入港することはあったと承知しています。一方、県内に民間空港はなく、港湾への入港状況についても、横浜ノースドックに隣接する民間ふ頭に船が接岸することがあったほかは、承知していない状況でございます。

また、昨年1月の「2プラス2」の共同発表に基づく新たな措置としての米軍による民間施設利用ですが、外務省に問い合わせたところ、日米の協力のあり方を検討しているところであり、現時点で「2プラス2」の結果を受けた使用例があるわけではないとの回答でした。

(松崎委員)

  外務省から回答があったのはいつでしょうか。

(基地対策課長)

  民間使用の使用例があるわけではないという話があったのは、2月27日です。

(松崎委員)

  ずいぶんと時間が経ってるんですね。念のため確認ですが「横浜ノースドックに隣接する民間埠頭」とは、瑞穂埠頭の民間企業が管理している部分ということでしょうか。

(基地対策課長)

  その通りでございます。

(松崎委員)

  民間施設の利用にも様々な形態があるということが分かってまいりました。また「2プラス2」合意に基づく使用については、現在、検討中とのことであります。以前、横浜港内の民間の造船所で米艦艇の整備が行われたとの報道を見たことがありますが、今回の新たな民間施設の利用につながる動きといえるのでしょうか。

(基地対策課長)

民間造船所での米艦艇の整備については、私どもで承知している限り、「日米2プラス2」合意より前の、平成31年から開始されております。外務省によると、昨年1月の「2プラス2」共同発表に基づく新たな措置としての米軍による民間施設利用については、民間空港や港湾が例示されており、民間造船所は例示されていません。よって、現時点では直接の関係はないのではないかと受け止めております。

  一方で、民間造船所で米艦艇の整備をする場合、造船所が所在する民間港湾を米軍艦艇が航行しますので、今後、例えば整備の回数が著しく増加するようなことがあれば、知事が一般質問で答弁したような基地問題と同様の問題が生じる可能性は否定できないと考えております。今後の動向を注視してまいります。

(松崎委員)

  そうなりますと民間企業におけるアメリカの艦船の整備についても、どのくらいの頻度で行われるのかということが一つの問題だというふうに思うわけであります。これまでアメリカの艦艇の整備の実績は分かっているのでしょうか。

(基地対策課長)

  防衛省からの情報提供によると、平成31年4月に最初の整備のための入港があり、それを含めこれまで5隻、同じ船を2回整備しているケースがございますので、延べ6回の整備のための入港を確認しております。

(松崎委員)

  整備が行われた5隻について、名前などは分かりますか。

(基地対策課長)

  31年以降の時系列順で申し上げますと、イージス艦のミリアス、補給艦のラッパハンノック、補給艦ビッグホーン、補給艦ペコス、輸送艦ブランズ・ヴィックの5隻の船が入港しています。

(松崎委員)

  民間施設の利用について話を戻します。一般質問の答弁では、渉外知事会で合意に達すれば、利用に制限を設けることを要請するとのことでございました。現時点での県の見解として、どのような制限を設けることが必要だと考えられておられるのでしょうか。

(基地対策課長)

  日米地位協定第5条の規定により、我が国の民間空港や港湾に出入りする米軍の航空機や艦船については、日米地位協定が締結されたときに作成する合意議事録により、海上交通や航空交通に関する日本の法令の適用を受ける、となっております。一方で、現行の日米地位協定第5条には、使用目的や使用回数の制約等はなく、「日米2プラス2」という安全保障協議の場で決定したことを考えますと、民間施設が事実上の基地のように使われてしまう可能性が否定できないと考えております。こうした懸念を取り除くためには、米軍の民間施設利用を最小限にするとともに、使用目的等に関する情報提供や、必要に応じ自治体や施設管理者との協議を義務付けるなどの制約を設けることが必要だと考えております。

(松崎委員)

  これまでの話を総合しますと、昨年1月には、民間の空港や港湾の軍事利用が正式に日米の外交文書で位置づけられ、また民間造船所での米艦船の修理につきましても、それ以前から粛々と進められている実情がございます。これは見方によっては重大な問題と言えるでしょう。そして研究者の方々からは、しばしば「日米地位協定は全土基地方式である」というふうに言われるわけであります。そうしたことが進んでいるということなのでしょうか。日米地位協定の課題について、基地対策部長のご見解を伺います。

(基地対策部長)

いわゆる「全土基地方式」とは、日米地位協定第2条の規定により、理論上は、米軍は日本のどこにでも基地の設置を求めることができるというものです。ご指摘のとおり、研究者の方から言われているそうした用語でございます。これに対し、昨年1月の「日米2+2」で決まった民間空港、港湾の安全保障上の使用は、日本政府の見解によると、日米地位協定第2条ではなく、第5条の「出入り権」により使用できるというものでございます。県の問題意識は、これによって、仮に基地ではない民間施設が基地と同じように使われることがあれば、地位協定第2条の手続きを経ることなく、事実上の基地、またはそれに準ずるものになってしまうのではないかというものでございます。そういうことになれば、日米地位協定の根幹に関わることになりかねません。そうならないように、使用の仕方や手続きなど一定の制約が必要ではないかと考えております。

(松崎委員)

  日米安全保障条約体制の根幹には、日米両国民同士の信頼がなければならないと思うわけであります。信頼が傷ついたり裏切られたりと、どちらかの国民が受け止めたりすることがあると、安全保障体制そのものが揺らいでしまうと思います。そういうことのないようにしなければいけないし、我々地方自治体に関わる者は考慮に入れながら発言したり行動したりしていく必要があると思っております。そのために必要な提言なり、あるいはまた注意喚起ということをしていただきたいと思うのですが、この質問の場合は、米軍による民間施設の利用拡大の動きという問題です。これは全国的な問題だと思います。渉外知事会の対応がどうしても必要だと思うから、先日の本会議でも質問させていただき、知事から一定のご見解が示されているところでありますが、今後の対応についてお聞きします。

(基地対策部長)

この問題については、昨年1月の日米安全保障協議委員会で打ち出されたものであり、従来からある親善訪問等のための民間施設利用とは一線を画するものだと受け止めております。利用のされ方によっては、基地周辺住民の方々に影響を及ぼす可能性もあります。現在国において検討しているとのことですが、その使用が行われる前に、ルールも含めて決めていただく必要があると考えております。現在、外務省は日米地位協定第5条、既存の条文で対応できるという考え方のようですが、第5条は通行に関する国内法が適用されるという以外は制約がございません。どのような民間施設の利用を考えているのか、その影響の可能性によっては、第5条の改正等、検討していただく必要があるのではないかと考えております。また、日米地位協定第2条が骨抜きになるようなことがあってはならないと考えております。そのあたりの国の考え方は、今後しっかりと確認してまいります。この問題は、全国に影響が及ぶ可能性のある問題でありますので、渉外知事会においてもしっかりと議論をしていきたいと考えております。

(松崎委員)

今日の質疑において、日米安全保障協議委員会、通称「2プラス2」でございますが、これに端を発する、米軍による民間空港・港湾の利用に向けた検討が行われているということが明らかになったわけであります。これは「新たな全土基地方式」ともいうべきものでありまして、今後の動向によりましては、基地周辺住民の方々をはじめ県民の生活に大きな影響を及ぼす可能性がございます。また、こうした問題が国民に対する十分な情報提供がないままに進められていることも問題であります。本県だけの問題ではございませんので、渉外知事会において関係都道府県と議論をしていただき、先日知事からご表明があったとおり、日米地位協定の改定を含め、必要な働きかけを行うよう求めます。