令和6年3月4日(月) 総務政策常任委員会

(立憲民主党・かながわクラブ 松崎委員)

(松崎委員)

  続きまして、私から何点か伺っていきたいと思います。まず、財政運営についてです。本定例会では、令和6年度当初予算が提案され、また、この総務政策常任においては、中長期の財政見通しについて報告がなされています。

そこで、今回、私から、これらの内容も踏まえまして、本県の財政運営について確認を行います。まず、現在の財政状況について、確認を行います。財政調整基金について、先日公表された6年度当初予算の記者発表資料によると、令和6年度末の基金残高見込みは710億円ということです。

そこで、コロナ禍で大きく落ち込んだ時期と比較すると、だいぶ回復しているようにも見えますが、この710億円という残高については、どのように評価していますか。

(財政課長) 

財政調整基金の残高は、新型コロナ対応により、一時約300億円まで縮小しましたが、その後の国による財政措置や、県税収入の増などにより回復し、令和6年度末には710億円となる見込みです。

この規模は、残高の目安としている標準財政規模の5%相当となっておりますので、概ね適正な水準であると評価しています。

一方で、近年は堅調に推移している税収ですが、海外経済の下振れリスクなどもあり、今後の動向は不透明であることから、現在の残高水準を維持できるよう、気を緩めることなく、財政健全化の取組を進めていく必要があると考えています。

(松崎委員) 

次に、今回報告のあった中長期の財政見通しについて質問していきます。前回の中期財政見通しでは、5年間の財源不足額の合計をおよそ2,600億円と推計していたと記憶しています。一方、今回の推計結果について、17年間の推計期間うち、令和10年度までの5年間を切り出してみると、その不足額の合計は2,300億円であり、前回からやや減少しているものの、概ね同じ規模と見ることができます。

そこで、近年は税収も堅調で、事業見直しも毎年のように行っておりますが、財源不足の規模は変わっていません。こうした財政状況が続く要因をどう見ているのか、どう考えているのか、伺います。

(財政課長)

  本県としては、これまで、事務事業の見直しのほか、クラウドファンディングや遊休資産の貸付けなど、歳入確保の取組を進めてきたところです。

こうした取組にも関わらず、財政状況が大きく変わらない根本的な要因は、地方全体で、仕事量に見合った安定的な税財源が不足しているという、地方税財政制度そのものにあると考えています。また、地方自治体間で比較した場合でも、その税収には大きな偏在があることも問題です。

そのため、国から地方への税源移譲や地方自治体間の税収偏在の是正、地方交付税の総額確保など、地方税財政制度の見直しについて、国に強く働きかけいく必要があると考えています。

(松崎委員)

 今、話のありました地方自治体間の税収の偏在是正について質問していきます。

この問題については、1月26日の一般質問で取り上げました。知事からは、「従来の税源移譲に加え、今後は、地方自治体間の税収偏在の是正に向けた措置を講じるよう、国に要望していく」という答弁がありました。

それに関連して、今回当局から提出のありました中長期の財政見通しでは偏在是正という新しいキーワードが加わっています。そこで、この部分の当局の考え方について、一般質問に引き続き、更に確認していきたいと思います。

中長期の財政見通しでは、財政の課題として、自由に使える財源について、都道府県間で大きな格差があるとのことです。県では、具体的にどのような分析を行い、こうした記載をしているのでしょうか。

(税制企画課長)

地方自治体が、自由に使える財源をどの程度確保できているかを把握するための全国共通の指標としては、経常収支比率というものがございます。

この指標は、県税や交付税などの一般財源のうち、人件費や公債費などの経常的な支出がどの程度を占めているかを示すものです。この経常収支比率が低い場合、人件費などの経常的な支出の割合が低く、自由に使える一般財源が多いことになります。その結果、財政の自由度が高いという評価になります。

本県が独自に調査したところ、令和4年度決算における経常収支比率は、都道府県の平均が93.3%であるのに対し、最も低い団体は79.5%となっております。

本県の経常収支比率は98.5%と、都道府県間では全国で45番目、下から申し上げると3番目という非常に悪い比率であり、財政の硬直化が進んでいます。全体として、団体間では大きな格差が生じている状況となっております。

(松崎議員)

経常収支比率に格差があるということでありますが、その要因は一般質問の中でも触れたように、都道府県間で格差が大きい法人関係税収にあるかと思います。

法人関係税はこれまで偏在是正措置が講じられてきたはずでありますが、その部分はどのように分析しているのでしょうか。

(税制企画課長)

委員のご指摘のとおりでして、地方自治体間の偏在是正措置として、平成20年度には地方法人特別税及び譲与税が、令和元年度には特別法人事業税及び譲与税が、それぞれ導入されております。これらの譲与税はそれまで地方税だった法人事業税の一部を国税化し、一度国が集めた上で一定の基準に従って各都道府県に再配分するものでございます。

この制度改正により、法人関係税の税収は、法人の事業活動を表す県民総生産との比較では、地方自治体間で一定の是正が図られており、本県でも概ね500億円程度の増収につながっております。

しかし、現実には、制度改正後も都道府県の経常収支比率には大きな格差が生じており、依然として行政サービスの地域間格差は解消していないものと考えられます。

(松崎委員)

今後、地方自治体間の税収の偏在を是正していくために、県として具体的にどのようなことを行っていくのか、現時点の見解を伺います。

(税制企画課長)

地方自治体間の税収の偏在を是正するには、他の地方税財政制度との整合や各自治体への影響などを考慮しながら、国において制度設計を行う必要がございます。   

県といたしましては今後、偏在是正のための制度改正を国に要望していくことになりますが、具体的には、既存の特別法人事業譲与税の拡充も選択肢になるものと考えております。

なお、地方自治体間での税収偏在が比較的少ない、個人県民税や地方消費税につきましては従来通り、国か地方への税源移譲を要望してまいります。

(松崎委員)

自主財源が潤沢な自治体がその財政力にものを言わせて巨額な行政サービスを独自に展開しますと、その周辺自治体は大きな影響を受けてしまいます。周辺自治体の住民からすれば、なぜ自分達の自治体では同じことができないのか、と疑問を持つのではないでしょうか。

自治体独自の行政サービスは必要ですが、住んでいる場所を理由に大きな不公平感を生まれてしまうと、住民の奪い合いにつながりかねません。そうした状況が放置されている現在の状況は決して望ましいことではないと思います。

神奈川県としては、同じ境遇にある他の自治体と足並みを合わせ、国に対して偏在是正を強く働きかけるよう要望します。

次に県債の管理について確認していきます。私は財政運営には明確なゴール、明確な目標設定が不可欠であり、目標があるからこそ皆が一丸となって、達成に向けて突き進むことができるという信念から、財政運営の明確な目標をきちんと示すべきだと訴え、財政当局と真剣に議論してきました。

その成果の一つが、今から10年ほど前に県民の皆様にお示しできた県債管理目標であったわけであります。そして県債管理目標を掲げて取り組んできた中で、6年度には目標である2兆円台に到達することになりますが、共にこの課題に取り組んできた私といたしましても、ここで一つの結果が出たものと受け止めております。

また、今後は県債管理方針として、引き続き県債を管理していくことについて、今回の中長期の財政見通しの報告の中で示されております。県債を管理・活用していくことは、県の財政運営において必須であることは言うまでもありませんが、そうした観点も踏まえつつ、県債に係るこれまでの取組と、今後のあり方について確認してまいります。

さて、平成25年2月に県債管理目標を策定するにあたって、私も厳しい指摘や提案をさせていただきましたが、それだけ当時の県債を取り巻く状況は、本当に厳しいものでありました。あらためて、県債管理目標を設定した当時の状況や、県債を管理することとした理由などを確認します。

(資金調査担当課長)

バブル崩壊後の経済対策として県債を大量に発行したことや、平成20年9月のリーマンショック後に急増した臨時財政対策債の影響により、県債の発行額が3,000億円規模にまで膨らんだことから、本県の県債残高は急激に増加しました。

それに伴い、公債費も増加を続けました。この状況が続けば、公債費は毎年度、数百億円単位で増加していくことが見込まれ、その後の財政運営を圧迫することは確実という状況にありました。

また、公債費のみならず、介護・児童・医療関係費の急増や公共施設の維持修繕コストの増加などが見込まれており、これらの義務的経費の増加により、このままでは県財政は立ち行かなくなるのではないか、との強い危機感もありました。

そうした状況の中、本県の財政構造を改善させるための対策の一つとして、臨時財政対策債を含めた県債全体の残高を減少させることで公債費の増加を食い止め、将来負担を軽減することを目的に、平成25年2月に県債管理目標を設定し、取組を進めてまいりました。

(松崎委員)

過去の厳しい状況に対し、着実に取り組んでこられた結果、少しずつではありますが県債の状況は改善に向かいました。県債管理目標の取組を進めたことにより、県債の状況は良好な状態となったとのことでありますが、具体的にどういうことなのか、分かりやすく説明していただきたいと思います。

(資金調査担当課長)

まず県債残高の状況ですが、委員ご指摘のとおり、令和6年度には、県債管理目標に掲げた2兆円台に到達することが確実な状況に至りました。具体的には約2兆8,800億円と見込んでいます。

  県債残高は平成26年度にピークを迎え、そこから7,000億円を超える規模で縮減したこととなります。

また、県債管理目標策定の背景となりました、増加を続ける公債費については、令和4年度にピークを迎え、今後は、中長期的に減少していくと見込んでいます。

  続いて、全国との比較という観点では、指標の一つに、将来負担比率があります。これは、各団体の財政規模に対して県債残高がどの程度財政を圧迫しているかという指標となりますが、4年度決算における将来負担比率は72.7%と、全国で3番目に良い状態となっております。

  また、将来負担比率は算定上、臨時財政対策債を除いたものですが、本県独自の試算で、仮に臨時財政対策債を含んで算定した場合であっても、同程度の順位となると見込んでいます。

  このように、県債残高と公債費は共に減少しており、財政指標の面からも、良好な状態になったと考えています。

(松崎委員)

そこで、次に県債の将来推計について伺います。今回、財政当局から本県財政の中長期の推計結果が報告されており、県債残高についても今後の推計結果が提示されています。

県債残高については、今後も減少していく推計となっていますが、気になるのは県債残高の5割を超えている臨時財政対策債の残高の推移です。私の記憶では平成27年度からこの状況が続いているかと思います。

公債費もピークを過ぎたとはいえ、過去の臨時財政対策債の大量発行による公債費の増加が本県の財政硬直化に繋がっていることは事実であり、今後どのように推移するのかという点について、特に注視すべきと考えています。

今回、報告された県債残高の将来推計のうち、臨時財政対策債については、どのように見通したのか、また、それによる公債費への影響について確認します。

(資金調査担当課長)

まず、今後の臨時財政対策債の発行見込額については、県税等の収入の伸びや、国の地方財政計画などの将来推計、また、本県の給与費や社会保障関係費の伸び等を基礎として算出しました。

その結果、今回の推計結果では、来年度から2040年度にかけて、概ね800から1,000億円程度の発行額で推移するものと見込んでいます。

次に、臨時財政対策債にかかる公債費のうち、元金償還の部分ですが、既に発行済みの臨時財政対策債の償還計画に、今後発行見込の償還計画を加味して毎年度の償還額を推計しました。

その結果、当面は1,000億円を大きく上回る規模で推移することが確実であると見込んでいます。

こうした推計の結果を整理すると、臨時財政対策債の残高は、2034年度頃には、その他の県債の残高を下回ることになり、2040年度には1兆1,000億円程度にまで減少すると見込んでいます。

委員ご指摘の通り、平成27年度以来、臨時財政対策債が県債残高の5割以上を占める状況は、今後10年程度は続くことが見込まれます。

(松崎委員) 

臨時財政対策債の残高は減少傾向にありますが、残高の半分以上を占める状況が今後も続く見通しであるということが今報告あったわけです。

一方、全体の残高を見ますと、バブル後の経済対策として大量に発行した県債のその償還が終わることも減少の要因にあるのでしょうが、県債残高の減少幅が大き過ぎるのではないか、といった印象も受けます。そこで、今後、老朽化対策など様々な県政の課題に県債を活用していく必要があるにもかかわらず、なぜ県債残高は大幅に減少を続けるのでしょうか。

(資金調査担当課長)

まず、今後の県債残高ですか、これまで県債残高が拡大してきた要因の一つである、バブル崩壊後の経済対策として大量発行してきた県債については、これまで償還を進めてきたことで、県債残高を押し下げてきましたが、発行から30年が経過しており、今後数年で償還が終了することになります。

もう一つの拡大要因である、リーマンショック後に2,000億円規模で大量発行されてきた臨時財政対策債については、現在進行形で多額の償還を進めているところです。

それに対して、近年は、国税及び県税の増収等を受けて、臨時財債対策債の新規発行額が比較的抑えられており、今回の推計では大幅な増額は見込んでいないことから、県債全体といたしましては、毎年度新規発行額を償還額が大きく上回る状況にあるため、残高は大幅に減少するものと見込んでいます。

なお、その他の県債については、水防災戦略や公共施設等総合管理計画等の事業費の増額に連動させた形で発行額を算出しています。その残高は、2040年度に向けて若干の増額となる見込みです。

(松崎委員)

あえて申し上げますが、今回の推計結果というのは、あくまで現時点で想定できる条件のもとで見立てた結果にすぎない。このことだけは一言申し添えておきたいと思います。

  次に、県債管理方針について確認していきます。

県債管理目標を達成することから、今後は名称を県債管理方針に改め、県債残高を3兆円未満に維持する形で管理していくことについて、本委員会に報告されていますので、その詳細を確認する必要があると考えています。

ある政策目標を達成したら、それを突き詰めていくのか、あるいは、方向性を転換するのか、これはケースバイケースであります。しかし、様々な選択肢がある中で、今回は取組の方向性を転換する形になりますので、議論の前提としてその理由を踏まえる必要があります。

  今回、報告のあった県債管理方針のもと、今後は県債を管理していくこととしていますが、どのような考え方でこの方針を整理したのか、伺います。

(資金調査担当課長)

県債管理目標を定めた当時は、県民生活に影響を与えないよう配慮しつつも、将来の財政負担の軽減のため、可能な限り県債残高と公債費を縮減すべき状況にありました。このため、県債管理の目指すべき姿あるいは達成すべき姿として、目標を定めたものです。

その後の着実な取組の結果、県債残高や公債費の縮減だけでなく、財政規模に対する残高の比率も減少するなど県債を取り巻く環境は大きく改善しましたが、今後は、老朽化した県有施設の更新や長寿命化、災害に強い施設整備等を進めていく必要があります。また、脱炭素社会の実現等の新たなニーズへの対応も必要となってきます。

更に、人口減少社会を迎え、これまで以上に世代間の負担のバランスが求められる中にあって、今後必要となるのは、従来の県債の縮減目標ではなく、県債管理に係る良好な状態を維持しつつも、突発的な財政需要にも十分に対応できる柔軟な基準であると考えています。

そこで、今後の県債管理の考え方として、目標達成後の良好な状態を維持しながら、必要な投資を抑制することなく、県債を適切な範囲で管理していくことといたしました。

具体的には、新たに県債管理方針を定めさせていただきましたが、県債残高のラインを3兆円とし、その範囲内で発行額を管理していくこととします。

(松崎委員)

考え方として、お金が足りなくなる、借金がたくさんある。切り詰めていこう、とにかく切り詰める。単年度の支出、これをとにかく切り詰めれば明日が見えてくるはずだというふうに考えていたのを、後の世代の方々にも適度にも負担を願おう。そして、さらにその先にいる次の世代の方々にも、ご負担をいただく、この循環をしっかりと回すことに責任が持てるのであれば、そのようにした方がより次に繋がるだろう、持続可能であろうと。こういう考え方に、私は変えていくべきだということを、当常任委員会で昨年主張させていただいたことを今でも鮮烈に記憶しております。

今日ご報告をいただいている内容は、これまでの縮減を大前提としたスタンスから、適正水準の範囲内で適宜適切に管理していくことが、今後の取組の方向性であるという報告だというふうに理解しております。

そこで、私が幾度も当局と議論し続けてきた内容となりますが、県債管理目標から引き継がれている要素というのもあるはずだと思うのですが、いかがでしょうか。

例えば、今回、報告された県債管理方針になります。従来の県債管理目標と同様に、臨時財政対策債、これについてどう整理していくのか。これを含めて整理するというふうになっていますけど、その理由を教えてください。

(資金調査担当課長)

県債管理目標を設定した当時、リーマンショック以降の財政状況の悪化の中、臨時財政対策債の大量発行による公債費の増加が財政硬直化の要因の一つとなっていました。

臨時財政対策債は、元利償還金の全額が交付税の算定対象となるものの、償還財源となる地方交付税が全体としてはなかなか増えていかない、そういった背景がある中で、県民にとっては将来の借金であることに変わりがないことから、臨時財政対策債を含めた県債全体を対象として目標を定め、これまで管理してきました。

今回、こうした過去の経緯も踏まえて検討しましたが、理由といたしましては、

臨時財政対策債については、国に制度廃止を求めていますが、未だに制度が廃止される見込みは示されておらず、かつ、臨時財政対策債が県債残高の5割以上を占めていること、また、公債費は中長期的に減少するものの、現時点で県の財政硬直化が解消している状況ではなく、継続して臨時財政対策債を管理すべきであること、こういった理由から、引き続き臨時財政対策債を含めた県債全体を対象として管理していくことが妥当であると、そのように判断しました。

(松崎委員)

県債管理目標を策定した当時、私からも県債全体の残高の減少を目指さなければいけない、つまり臨時財政対策債も県債でありまして、管理すべきものであると議論させていただいたことを今でも覚えております。

今後もしっかりと管理していただきたいと思っておるわけであります。

これまで10年間もの長い間、取組を進めてきました県債管理目標、これが達成に至ること、そして今後は県債管理方針に基づいて県債を管理していくこと、それぞれ答弁をいただき内容を理解いたしました。

ここで大きく取組の考え方、この転換を計ることになります。今まさに重要なターニングポイントにあるといえます。県債残高と公債費の増による財政負担の拡大に対して県はこれまで様々に取り組んで来たことは承知しています。そして今、県債管理目標から県債管理方針に転換いたします。

そこで最後となりますが山田総務局長に、これまでのご経験も踏まえ、県債の適正管理について総括していただきたいと思います。

(山田総務局長)

私は、平成7年度に財政課に異動になりまして、その時の最初の担当事務が公債費の担当でした。県債の償還です。私が担当するときには、公債費の額は1,000億に満たなかった状態でしたが、私が担当してすぐに1,000億台に乗りまして、そのあと、公債費は増加を続ける一方でございました。

あまりに急増しましたので、公債費をしっかり管理する必要があるということ 

 で、平成8年度には、私が担当の時代に公債管理特別会計を設置しました。

ちなみに、そののち公債費の事務を引き継いだのが、隣に座っている中谷政策局長であります。

その後、平成19年度に財政課資金班長になりまして、あのときはプライマリーバランスの黒字化、あれを目標にしておりまして、実は松崎委員とも、その時にやりとりをさせていただきました。

平成4年度以降、プライマリーバランスはずっと赤字が続いておりまして、「これは子供や孫への赤字の付け回しだ、モラルハザードを起こしている」と非常に厳しい言葉をいただきまして、強く、公債費の抑制に取り組まなければならないというふうに感じたところでございます。

その翌、平成20年度は予算編成班長になりました。リーマンショックの直撃を食らいまして、年末になっても、予算の収支が絶対にこのままだと合わないというふうに追い込まれまして、ようやく予算が成立しそうだというふうになったのが、臨財債が急増したためでした。それまで、数100億円だったものが1,599億になりました。借金ではあるけれども、ようやく収支均衡できるというふうに感じたのを覚えています。

その後1,000億、2,000億という臨財債の発行が続きまして、それが結局、公債費の負担増となって繋がっていきました。

これを含めて管理しないと、公債費は減っていかないだろうというご指摘を、やはり松崎委員からいただきまして、県債管理目標ということで臨財債を含めて、残高を管理するということをやってまいりました。

公務員人生の中で、公債費が減少する場面に遭遇できるとは、正直思ってなかったですけれども、ついに公債費が減少に転じるということで非常に感無量であります。

この公債費の良好な状態、県債の償還というのは30年にわたって続きますので、中々トレンドの転換は難しいですし、労力も要ります、長い時間もかかります。この良好な状態というのは、維持していきたいというふうに思っていますけれども、一方で、県債というものは、ハード整備に非常に大きな影響を与えます。

これからはインフラの老朽化、そういうものも進んでまいります。やはり、適切な県債の活用というのも大切だと思っています。

やはり、貨幣価値というのが変わるもので、同じ1万円と言っても、明治時代の月給40円の時代の1万円と、今の1万円では、明らかに価値が違います。

同じように経済規模、財政規模、これが拡大していく中にあっては、その規模に応じた県債の適切な活用は、決して悪いことではないと思っています。

この公債費の抑制ということと、県債を適切に活用した、ハード整備を中心とする県民生活への対応、これのバランスをとるために生まれたのが今回の県債管理方針であると考えています。

この県債管理方針のもと、適切な財政運営に今後とも努めてまいりたいと思います。

(松崎委員)

大変重い総括をいただきましたけれども、それだけ県民生活のすべてにわたって影響が直接及ぶ事柄でございますので、県当局におかれましては、これからも、しっかり肝に銘じて取り組んでいただきたい。

私としましては、これまで要望しておりますけれど、この経済を活性化させるために、一方でその積極的に事業を展開していくのは当局として必要ですし、財源としての県債も重要なツールであります。

今回ご報告のありましたように県債管理目標から大きく転換して、県債管理方針のもとで、発行を抑制しない前提で、県債を管理していくことになります。

言うまでもなく、県債は借金でありますから、発行しすぎれば財政を圧迫する要因になりますが、事業を前に進めていくために、本当に必要な箇所に県債を財源として活用する、それがしっかりとした財政運営に繋がっていく、また財政運営に基づいているということが大事だというふうに考えておりますから、引き続き適正管理、これを引き続き県債に関しても行っていただきたい。